長友佑都に変わり途中出場となったDF中山雄太【写真:ⓒJFA】

写真拡大

栗原勇蔵の目】パスがうまい中山を使うことで1列前の三笘も生きる

 森保一監督率いる日本代表は、11月16日に敵地で行われたカタール・ワールドカップ(W杯)アジア最終予選第6節でオマーンに1-0で勝利した。

 元日本代表DF栗原勇蔵氏は、来年1月以降の残り4試合において、左サイドバック(SB)にDF中山雄太(ズウォレ)のスタメン起用を提言している。(取材・構成=Football ZONE web編集部)

   ◇   ◇   ◇

 日本は前半にポゼッション率60%を超え、同15分にMF伊東純也(ヘンク)のクロスからFW大迫勇也(ヴィッセル神戸)がヘッド。同23分にはDF長友佑都(FC東京)の折り返しからファーサイドで伊東がダイレクトシュートを狙うもゴールならず。その後は拮抗した展開が続き、前半をスコアレスドローで折り返した。

 勝ち点3が欲しい森保一監督は、ハーフタイムにMF柴崎岳(レガネス)に代わってA代表初選出のMF三笘薫(ロイヤル・ユニオン・サン=ジロワーズ)を投入。4-2-3-1システムの左サイドに入った三笘はファーストプレーでドリブル突破を仕掛け、後半4分にはサイドからの攻撃でゴール前のチャンスを創出していく。

 FW古橋亨梧(セルティック)も投入して攻める日本は後半36分、長友に代わって途中出場したDF中山雄太(ズウォレ)の縦パスに反応した三笘がペナルティーエリア内で倒れ込みながら中央へクロス。これを伊東が押し込み、日本が敵地で1-0と勝ち点3を手にした。

 この試合、三笘と中山の左サイドコンビ、大迫と古橋の2トップは1つの見どころになった。日本代表はオマーン戦で年内の戦いを終え、2022年に中国戦(1月27日)、サウジアラビア戦(2月1日)、オーストラリア戦(3月24日)、ベトナム戦(3月29日)と残り4試合を戦う。W杯アジア最終予選の経験を持つ栗原氏は、長友の先発起用は交代枠を使ってしまう観点からも回避すべきだと持論を展開する。

「オマーン戦の中山は動きが良かった。(サイドの1列前で)三笘のようなタイプを使うなら、中山のパスの上手さも生きます。攻撃の選手でもないので、90分持たない長友を先発で使う意味が分からないというのが正直なところです」

大迫を代えないなかでは、両サイドで“変化”をつけるべきだと見解

 森保監督は11月シリーズ2試合で、大迫、伊東、南野の3人を連続してスタメン起用した。伊東が君臨した右サイドは、今回出番がなかったMF堂安律(PSV)、膝の負傷からの復帰が近づきつつあるMF久保建英(マジョルカ)がおり、左サイドで輝きを放った三笘を含めて、対戦相手に合わせたタレントの使い分けを推奨する。

「大迫基準の布陣ならほかを変えるしかない。新戦力の三笘が結果を出して代えやすくなったし、堂安、久保とタレントがいていくらでも工夫のしようがあります。伊東はオマーン戦、後半に入ってミスが多くなっていた。そういう時は細かい動きができる久保、堂安を使ってもいい。タレント豊富なのに、使い切れていないのが現状です。対戦が残っているなかでは、サウジアラビアがほかのチームとは1つ、2つレベルが違って、各ポジションとも質が高い。そこに負けるようだと話にならないですけど、勝てるようなら勢いに乗って行けると思います」

 森保監督は22年のW杯アジア最終予選の残り試合で、どのような采配を振るうのか、興味深いところだ。

[プロフィール]
栗原勇蔵(くりはら・ゆうぞう)/1983年9月18日生まれ、神奈川県出身。横浜F・マリノスの下部組織で育ち、2002年にトップ昇格。元日本代表DF松田直樹、同DF中澤佑二の下でセンターバックとしての能力を磨くと、プロ5年目の06年から出場機会を増やし最終ラインに欠かせない選手へと成長した。日本代表としても活躍し、20試合3得点を記録。横浜FM一筋で18シーズンを過ごし、19年限りで現役を引退した。現在は横浜FMの「クラブシップ・キャプテン」として活動している。(Football ZONE web編集部)