森保J、ベトナム攻略のポイントは高さか? 敵の弱点を突くなら1トップのチョイスは誰に…
その欧州組には、期待の古橋亨梧(セルティック)や主力攻撃陣の南野拓実(リバプール)、伊東純也(ヘンク)らが含まれている。吉田麻也(サンプドリア)や冨安健洋(アーセナル)らもそう。彼らをスタメンにズラリと並べた場合、終盤になって運動量が低下したり、ケガのリスクが高まるなど、不安要素が多くなる。コロナ禍の特別ルールで5人交代枠はあるものの、ある程度コンディションのいい選手を先発に多く入れることを考えるべきではないか。
まさに過酷な条件下のベトナム戦だが、目下、グループ最下位に沈んでいる相手との対戦だけに、日本は可能な限りのゴールを奪って勝つ必要がある。ここまで4試合で3ゴールしか奪えていない得点力不足をどう解消するか……。それは今回の最重要テーマと言っていい。
注目すべきはFWの起用法だろう。通常であれば、1トップは大迫で決まりなのだが、ご存じの通り、大迫は10月12日のオーストラリア戦(埼玉)で左ひざを負傷し、11月3日のベガルタ仙台戦で復帰したばかり。6日の徳島ヴォルティス戦では値千金の決勝弾を挙げ、「痛みがやっと消えてくれたなと。長かったですけど、ここからコンディションもすごく上がっていく」と安堵感を吐露していた。ハノイ入り直後の代表メディア対応でも「足は全く問題ないので」と全快を強調していた。
とはいえ、強度の高いアウェー2連戦で彼をフル稼働させるのはどうしても不安がつきまとう。別の選択肢も用意しておいた方が賢明だろう。直後に控えるオマーンとの直接対決に大迫を取っておき、ベトナム戦は他の選手で乗り切るという戦略も一案ではないか。
その前提で考えてみると、森保一監督の持ち駒は、オーストラリア戦で途中から1トップに入った古橋、これまでもたびたび最前線でプレーしている浅野拓磨(ボーフム)、今季のJ1で21ゴールを挙げている前田大然(横浜)、そして同13ゴールの上田綺世(鹿島)の4枚。南野拓実(リバプール)をトップに上げる選択肢もないわけではないが、よほどの非常事態にならない限り、その策は採らないはず。おそらく上記4人の中から最適な人材を選ぶことになるだろう。
コンディションを重視するなら、早い段階でハノイ入りした前田がベスト。6日のFC東京戦でハットトリックを達成し、最高の状態で代表合流を果たし、中4日で本番を迎えられるのだから、チームで最も恵まれた状況にいると言っていい。本人も「コンディションはすごくいい」と自信満々にコメントしていた。「代表で前をやりたい気持ちは変わらない」とも強調していて、1トップ争いに堂々と名乗りを上げている。
しかしながら、森保監督は東京五輪でも前田の最前線起用に躊躇し、結局、一度もトライしなかった。やはり「最前線は起点になれるタイプ」というイメージが強いようだ。加えて言うと、前田は最終予選初参戦で南野や伊東らとの連係が確立されていない。そこもひとつ気がかりな点ではないか。
大迫に近いタイプという視点で見ると、上田の方がベターだろう。実際、ベトナムの5バックは180?台の選手が1人か2人。中央の統率役であるクエ・ゴック・ハイは176?、左CBのブイ・ティエン・ズンは172?だ。その陣容を踏まえると、ヘディングで勝てる人材が前にいた方がいい。彼ら守備陣は中に絞る傾向も強く、サイドが空く分、日本がクロスを上げるシーンは多くなる。そういうチャンスを確実に仕留めるだけの決定力が彼にはある。前田同様、A代表の主力攻撃陣との共演経験の少なさというマイナス面はあるが、高さで勝負できる利点にフォーカスすれば、彼はいいチョイスと言っていい。
合流がギリギリになる古橋や浅野の場合はコンディション面に不安があるうえ、スピード系でターゲットマンタイプではない。スコットランドで公式戦12得点とブレイク中の古橋には大きな期待が寄せられるものの、ベトナム相手に動き出しの速さがダイレクトに生きるかどうかは不透明だ。ベトナム守備陣は斜めの動きに弱く、背後を空けるという分析もあるが、パク・ハンソ監督も日本対策を徹底的に講じて来るはず。今回はややラインを下げ、自陣にブロックを作ることも考えられる。
となれば、古橋が縦横無尽に駆け回るスペースを見出すのは難しくなる。相手の出方次第ではあるが、オーストラリア戦同様に相手の足が止まってくる後半からの方が彼のゴール前の鋭さをより生かせそうだ。浅野にしても同様。むしろサイドのジョーカーとして使った方が推進力を発揮できるのかもしれない。
こういった比較検討の結果、現状では大迫の代役に最も近いのは上田ということになる。ただ、誰が出るにしても、求められるのはズバリ、ゴールという結果だ。
「まずは日本代表が試合に勝つことを考えてプレーしたいですし、チーム全体として誰が出てもいいので、いい入りをしないといけないのかなと思います」と大迫も勝利第一を強調していた。周囲を巧みに生かし、チームを勝利へと導くゴールを奪えるFWは果たして誰なのか……。指揮官の最終決断をしっかりと見極めたい。
取材・文●元川悦子(フリーライター)
