当ファンドでは、こうしたインパクト投資を高い透明性をもって実践するために、解決すべき社会的課題を11個の投資テーマとして設定し、各投資テーマに関連する企業を3つの基準で選定しています。

 まず、投資テーマについては、「衣食住の確保」、「生活の質向上」、「環境問題」と大きく3つの分野に分け、分野ごとに3〜4の個別投資テーマを設けることで、合計11個の投資テーマを設定しています。

 投資ユニバースである全世界の上場株式約10,000銘柄は、この投資テーマに基づいて次の3つの基準でスクリーニングされ、最終的には500銘柄程度まで絞り込まれたインパクト投資ユニバース(投資銘柄候補)が作られます。

 基準の1番目は「中核事業基準」です。この基準は、投資対象企業にインパクト事業への高い集中度、事業比率を要求するもので、テーマに沿ったインパクト活動が事業活動の大半(50%以上)を占めることが条件となっています。

 2番目は、「付加的インパクト基準」です。この基準は、投資対象企業におけるインパクト事業の付加価値・参入障壁の有無を問うもので、他の手段では簡単に満たすことの出来ない社会的ニーズを満たすことに取り組む企業であることを要求しています。たとえ課題解決に寄与するとしても、公的サービスや慈善事業、競合他社に簡単に取って代わられるような事業活動は対象外となります。確固たる付加価値や参入障壁は、企業価値の向上に必要不可欠だと考えるためです。

 3番目は、「測定基準」です。この基準は、投資対象企業が与える社会的インパクトが定量的に計測可能であることを要求するものです。例として、投資対象企業のインパクト事業によるCO2の排出削減量、手ごろな価格帯の住宅提供戸数、などが挙げられます。

 こうした厳しい基準を通過した企業からなるインパクト投資ユニバースは、相対的に中小型の高成長企業が多く含まれるため、株価の変動性が高くなる傾向があります。つまり、高度なアクティブ運用能力が求められる投資ユニバースであると言えるでしょう。その後は成長性や株価上昇余地、内包するリスクなどのファンダメンタル分析を通じて、60〜70銘柄のポートフォリオが構築されます。

 ――設定から5年目を迎えていますが、直近1年間のパフォーマンスが極めて優れているのは、何か理由がありますか?

高橋 先を見据えて運用している当ファンドは、コロナ後に非常に良いパフォーマンスを出していると思います。当ファンドを設定した2016年以降の株式市場では、極めて米国の大型株が強い環境が続いていました。それが、コロナ後の環境では、世の中の流れが、それまでとは全く違うものとなりました。パンデミックがあぶり出した地域格差、あるいは、脱炭素社会への主要国のコミットメントなど、SDGsと親和性の高い投資テーマに着目するファンドだからこそ、今後のパフォーマンスにぜひ期待頂きたいと考えています。純度の高いインパクト投資にこだわってきた当ファンドが、大きく羽ばたける環境が整ってきました。

 ――ウエリントンの運用力は?

高橋 ウエリントン社はボストンを拠点とする、米国で最も歴史のある大手独立系運用会社の1社であり、現在国連PRI(責任投資原則)のボードメンバー(理事)を輩出している2社のうちの1社です。純度の高いインパクト投資の実践にあたっては、ファンダメンタルズと社会的インパクトの分析を高いレベルで両立させる必要があり、リサーチの規模と質、そして社内のコラボレーションが要求されます。同社はパフォーマンスに対する強いコミットメントはもちろんのこと、社内コラボレーションを重視する企業風土に加え、世界中に配置されているグローバル産業調査アナリストや、サスティナブル投資の専門チームを擁しており、今後の可能性が未知数であるインパクト投資への挑戦に必要な戦力を十分に備えていると言えます。