レギュラーガソリンはどこで入れても同じ!

 クルマにこだわりを持っている人のなかには、ガソリン(燃料)の銘柄にもこだわっている人がいる。「●●のハイオクじゃなきゃダメだ」とか「◆◆以外のガソリンだと調子が悪くなる」といった話を聞くこともある。

 逆に、そんなことには無頓着で「安いところで入れればいいや」というドライバーもいるだろう。はたして2020年現在において、ガソリンのブランドや銘柄にこだわる意味はあるのだろうか?

 まず結論を言ってしまえば、通常の市販車を普通に乗っている限りはガソリンの銘柄にこだわる必要はない。

 なにしろ、元売りといわれる石油を精製して、ガソリンなどの燃料を生産している企業体は日本に3つしかないのだ。その3社とはJXTGホールディングス(ENEOS)、出光興産(出光・昭和シェル)そしてコスモ石油となっている。

 さらにいえば、レギュラーガソリンについては、需要と生産のバランスを取りやすくするために各社が融通し合えるよう、同じ規格で生産している。プライベートブランドの格安スタンドを含めて、レギュラーガソリンについてはどこで入れても同じものしか手に入らない。

 ポイントを貯めているなどの燃料の質以外の部分で特定のブランドにこだわるのであれば理解できなくもないが、レギュラーガソリンについては安いところで入れるのが正解といえそうだ。

元売りの統合によりハイオクで個性をアピールできない部分も

 では、ハイオクについてはどうなのか。統合から間もない出光・昭和シェルについては出光が「スーパーゼアス」、シェルが「V-Power」とそれぞれ独自のブランドハイオクを展開しているほか、コスモ石油も「スーパーマグナム」という名前でアピールしているが、シェア50%を占めるという業界最大手のENEOSは「ENEOSハイオクガソリン」と素っ気ない。

 これは現在のENEOSが旧Mobileなどのブランドを展開していた東燃ゼネラルを吸収して、そのガソリンスタンドの看板をENEOSに書き換えていることを考えれば納得の施策だ。旧ブランドに慣れていた既存顧客を維持するには、新たな商品名をアピールするよりも、単に「ハイオク」として販売したほうが馴染みやすいと考えられるからだ。もっとも、ENEOSハイオクガソリンの実態は、2018年9月より旧Mobileブランドで扱っていた「シナジーF-1」となっていたりするのだが……。

 出光・昭和シェルが同じように考えるかは不明だが、元売りの合併には生産性の効率化も狙っているわけだから、同じグループ内で異なる商品のハイオクガソリンを展開するというのは無駄でしかない。将来的にブランドを統一するとなれば、個性的な名前のハイオクガソリンを売っているよりもシンプルに「ハイオクガソリン」としたほうが都合よいことは容易に想像できる。

 ちなみに、JXTGホールディングスは2020年6月の株主総会で社名をENEOSに変える予定だ。ますますENEOSブランドの強化が進むだろう。

 将来的に、出光・昭和シェルも単独ブランドになって、コスモも含めた国内3元売りが競い合うようになれば、ふたたびハイオクガソリンを軸としたブランディングによって差別化を図るかもしれないが、リブランディングの真っ最中的な状況を考えると、しばらくはハイオクで個性をアピールする時代は来ないのではないだろうか。

 なお、マニアックなチューニングとして「現車合わせ」といってコンピュータープログラムを、そのクルマのためだけに行なう際には、特定のハイオクガソリンでギリギリまで点火時期などを詰めているケースもある。そうしたクルマでは、ハイオクガソリンの特性が微妙に異なるだけで、性能を発揮できないことがあるため、特定のハイオクガソリンにこだわる必要はあるが、そのハイオクガソリンがいつまでも存在しているかといえば、保証の限りではないというのが現実だろう。