全国の景気動向推移

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帝国データバンクが実施した調査によると、2019年10月の景気DIは前月比1.1ポイント減の43.9となり3カ月ぶりに悪化した。

10月の国内景気は、消費税率の引き上げと台風19号などの自然災害に下押しされた。消費が落ち込み、小売業など個人消費に関連する業種を中心に大きく悪化したほか、大雨による被害が企業活動の停滞を招いた。加えて、自動車や半導体関連を中心とした輸出低迷を背景に製造業の悪化が続き、設備投資意欲も低迷した。また、建築着工の減少傾向や人件費などの負担もマイナスに働いた。他方、米中貿易摩擦緩和への期待などを受けた株価上昇やラグビーW杯の盛り上がりが一部で好材料となった。

全10業界中8業界が悪化、消費税率引き上げと台風が影響及ぼす

業界別にみると、10業界中8業界が悪化、2業界が改善した。
なかでも『小売』は前月比5.6ポイント減の37.0と3カ月ぶりに悪化した。悪化幅は、2014年4月(消費税率8%、10.7ポイント減)、2011年3月(東日本大震災、6.0ポイント減)に次ぐ、2002年5月の調査開始以来3番目の大きさとなった。
消費税率が引き上げられ消費マインドが低迷するなか、台風などの相次ぐ自然災害もマイナス要因となりスーパーや食品小売などで影響を受けた。また家電や家具類などの耐久財で駆け込みの反動がみられた。一部で軽減税率やポイント還元事業への対応にともなう混乱も響き、『小売』は9業種中8業種が悪化した。

地域別では、消費税率引き上げで『南関東』『東海』『近畿』など大消費地を抱える都市部での悪化が目立った。

国内景気は、低調な設備投資や消費税率の引き上げにより後退局面入りの可能性が続くなか、さらに台風による被害が悪影響を及ぼした。

今後は下振れ材料多く、不透明感が一層強まる

今後は、消費税率引き上げにともなう消費の落ち込みの程度と、その後の動向が重要になってくる。また人件費や輸送費が引き続き企業経営に重荷となるうえ、製造業を中心に世界経済の減速がマイナスに働くであろう。米中などの貿易摩擦および世界的な金融緩和政策の動向も注視する必要がある。一方で、自然災害からの復旧・復興や防災を目的とした公共事業は景気を下支えする一因になると見込まれる。東京五輪に向けた機運の高まりや都市部の大規模開発、省力化投資の需要拡大も好材料となろう。

今後の国内景気は、消費の動向が鍵を握るなか、貿易摩擦や世界経済の減速といった懸念材料も多く、不透明感が一層強まっている。

TDB景気動向調査 調査概要
調査対象企業:2万3731社
有効回答企業:10113社、回答率42.6%
調査期間:2019年10月17日〜31日
調査方法:インターネット調査