山崎元教諭が勤務していた千葉県立若松高校。元教諭の生徒からの評判は悪くはなかった

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「昨年4月下旬から今年の4月まで、少なくとも5回程度、ホテルでキスなどのわいせつ行為をしたそうです。出会ったときから相手が18歳未満で、他校に通う生徒だと知っていたそうです」

 またしても明らかになった教師による淫行事件について、千葉県教育庁の担当者は、苦々しい表情でこう語る。

 前述の経緯は千葉県立若松高校の山崎正美元教諭(50)のことだ。元教諭は10月18日付で懲戒免職になっている。

「“SNSでやりとりをしているうちに好意を持つようになった”と言っていました。女子生徒は山崎元教諭に学校や家庭などの悩み事を相談していたのではないでしょうかね。親密になるにつれ山崎元教諭は彼女に恋愛感情を持ってしまったものと考えます」

 と担当者が続ける。

 メールのやりとりから始まり、相談に乗り、やがて食事やドライブを楽しむようになり、ホテルへ……。快楽の先には、懲戒免職というぬかるみが待っていることは知っていたはずだが……。

 教師のわいせつ事件が止まらない。

 文部科学省によれば、

「統計が出ているのが平成27年度までのものです。いま現在、わいせつ事件を起こした教員の数は、平成27年度が過去最多の224人、うち免職は118人です」

 と担当者。どんな行為かというと、身体に触る、性交、盗撮・のぞきが上位を占める。

 冒頭の千葉県でも、本年度(4月から10月まで)で、わいせつ行為で懲戒免職になった教員は6人にのぼるという。

 高い倫理観を求められる教育者でありながら、目の前の誘惑に屈してしまう。

「なぜわいせつ事件を起こすのか、明確な理由がわかれば、対策もできるんですけど。自覚を促す努力はしても、なかなか有効な手がありません」

 と文科省担当者も地団駄を踏む。教師と生徒の距離を近づけるツールとして、スマートフォンの普及を挙げる。

生徒からの評判は

「ひとつ考えられることは生徒と直接連絡をとることが容易になったこと。昔は教師は生徒の自宅に電話をしていました。もし仮に、毎日連絡が入るようであれば、親も怪しいと思うでしょう。今はSNSやメールで親の知らないところで子どもと教師が連絡をとることができるんです」

 そのため、教師に対し生徒との間でのSNSツールの使用や出会い系サイトなどの利用を禁止する学校は少なくない。山崎元教諭が勤めていた若松高校もそのひとつだった。

 事件は、生徒から親バレしたと伝えられた元教諭が8月17日に校長に報告、発覚した。

 若松高校の教頭が明かす。

「学校ではいたってまじめ。なぜあんなことをしたのか、まったく想像ができません」

 生徒たちの評判も、おおむねいいものばかりだ。

「声が高いめがねのおじさん」(高2女子)、「普通に人気もあったと思います」(高1女子)、「普段やさしいし、怒ることもない」(高2男子)、「結婚していて、子どもが2人いるって話していたのを聞いたことがあります」(高3男子)

 元教諭は家庭がありながらも女子生徒に手を出していた。ただし、「離婚をしてまでとは思っていなかった」と一部メディアが報じている。

 生徒の話の中に、気になる証言があった。

「生徒が困っているようなことがあれば相談に乗ってくれる気さくな先生」(高2男子)

 山崎元教諭本人も、文部科学省のインタビュー(平成22年11月22日実施)で「生徒のなかには家庭的に問題のある子が少なくない。学校内で対応しようとしてもどうしても限界がある」と答えていた。

 行きすぎた指導を、まるで肯定するかのような発言。

下心があるからやり取りもマメ

 元教諭は、県教育庁の事情説明に対し、「自分の気持ちの弱さから多くの人に迷惑をかけてしまった。女子生徒の心や身体を傷つけてしまって大変申し訳ない。自校の生徒や先生も裏切ることになってしまい、大変申し訳なかった」と、謝罪の言葉を口にしているが、どれだけ信用できるのか。

 生きづらさを感じる少女たちの支援を行うNPO法人『BONDプロジェクト』代表の橘ジュンさんは、

「先生でも、相談を聞いている大人が加害者になるケースはたくさんあります。下心があるからやりとりもマメ。困っている子を救うんだから何をしてもいい、自分は許されると思っているんですよ」

 橘さんによると、少女たちを食いものにする『ズルい大人』との出会いは「インターネット上や街中」が主という。

「誰でもいいわけじゃない。大人はターゲットを決めてから声をかけます。どこか弱っていたり、周囲から守られていないような雰囲気を出している子、関係や行為のことを言わないだろうと思われている子が狙われる傾向です」

 こうした大人と援助交際をしている少女もいるが、

「お金だけが目的じゃない。何らかの心のキズや問題を抱えた少女たちは満たされたい気持ちを持っています。そのときだけでも必要としてくれる人を求めて彼らについて行くんです」(前出・橘さん)

 少女たちの弱みにつけ込み、自分の欲望だけを満たしていく教師の果てに待っているのは退職金も出ない懲戒免職だ。キャリアも信用もなくし家族との関係もあやうくなったわいせつ教師。今後は刑事事件や慰謝料などの問題が出てくる可能性もある。

 モラルなき教育者は大きなツケを支払わされる。