日本酒には「賞味期限」がない! おいしく飲める期間は?
一時期のブームが去ったとはいえ、ファンには依然、根強い人気を誇る「日本酒」。その魅力は何といっても、蔵元や製法の違いによって、さまざまな味のバリエーションが楽しめるところでしょう。
スーパーで一升瓶を買い、自宅で楽しんでいる人も多いことと思いますが、この日本酒の瓶をよく見ると、「賞味期限」がないことに気がつきます。日本酒に賞味期限がないのはなぜなのか、また、日本酒をおいしく飲める期限とは――。
オトナンサー編集部が、和文化研究家で日本礼法教授の齊木由香さんに聞きました。
光の当たらない涼しい場所で保管する
齊木さんによると、日本酒のラベルに賞味期限が記載されていないのは、食品衛生法の規定によるもの。同法は、食品については消費期限(賞味期限)の記載を求めていますが、日本酒には「製造年月」の記載を義務付けているそうです。
ただし、日本酒にもおいしく飲める期間があり、「種類によって異なりますが、一般に、普通酒は製造年月から約1年間、吟醸酒は約10カ月、生酒は6〜8カ月です」。この期間は保存状態がよい場合の目安で、保存状態が悪ければ香りや風味は劣化します。
そこで、齊木さんがオススメするのは、すぐに飲まない日本酒を光の当たらない涼しい場所で保管すること。そうすることで、日本酒はよりおいしく変化するといいます。
「吟醸酒や生酒は冷蔵庫で保存すると、よりおいしく飲むことができます。銘柄や寝かす時間によっても異なりますが、共通しているのは『まろやか』になること。香りも甘く深くなります。ただし、封を開けたらなるべく早く飲みましょう」(齊木さん)。
しかし、普通酒は品質管理が難しいため、オススメできないとのこと。「室温20度前後であまり温度差のない場所に保管すると、中には熟成するものもありますが、味の変化が出にくい、または劣化の可能性があるため、基本的には1年以内に飲みましょう」。
ビールやワインは熟成に向くのか
齊木さんによると、日本酒店の中には、蔵から出荷された状態を維持するのではなく、独自の温度管理と保管方法で、「うまい」と感じる状態まで日本酒を寝かせる、こだわりのお店もあります。10〜15年貯蔵した「熟成酒」を販売する蔵元もあるほどだとか。
「鎌倉時代から明治初期まで、日本酒のビンテージ『古酒』は珍重され、高級酒として宮中のお祝い事にも用いられてきました。熟成酒をたしなみながら、かつての日本酒文化に思いを馳せるのも粋かもしれませんね」
ちなみに、ビールやワインも熟成させることで味が良くなるのでしょうか。
「ビールやワインも、熟成によって味わいが良くなることはありますが、すべてが熟成に向いているわけではありません」
ビールの場合、酵母を残して瓶詰めされたものは、熟成によって味が良くなりますが、一般に市販されているビールは、工場で酵母を取り除いてから出荷されるため、熟成には向かず、むしろ、時間の経過とともに味が落ちていくそうです。
ワインも、時間の経過とともに、味わいや色合い、香りが変化し、おいしく熟しますが、それは良質なビンテージの赤ワインなどに限られ、デイリーワインやテーブルワイン、ボジョレヌーボーなど早飲みに向いているワインは、一般に時間の経過とともに味が落ちてしまいます。
「熟成を楽しみたい場合は、熟成に向いているかどうか、保管で気をつけるべきことは何かなどを、お店の人に確認してみましょう」
(オトナンサー編集部)
