前編(3月11日)では、夜勤前の「食事」「仮眠時間」、夜勤中の「仮眠時刻」「仮眠時間」について、「美人をつくる熟睡スイッチ」(ジービー)の著書がある、睡眠改善インストラクターの小林麻利子さんに教えていただきました。

 後編では、夜勤中の「食事」「採光」、夜勤後の「睡眠」に目を向けます。対象となるビジネスマン像、チェックポイントは前回同様、以下の通りです。

【性別】男性
【年齢】30代
【職業】ネットワークエンジニア(運用監視)
【夜勤体制】交代制
【当日の出勤時間】午後8時〜翌午前9時(途中120分の仮眠時間を取得可。業務終了日の翌日は日勤に戻る)

【夜勤前】1.食事 2.仮眠時間
【夜勤中】3.仮眠時刻 4.仮眠時間 5.食事 6.採光
【夜勤後】7.睡眠

 それではさっそく「5」の、夜勤中の「食事」から見ていきましょう。

睡眠不足だと食欲増進ホルモンが出る

「夜勤の間は何も食べないことを心がけてください。お菓子の差し入れも基本的にNGです」(小林さん)

 睡眠が不足した状態では、胃から分泌される食欲増進ホルモン「グレリン」の動きが活発になるため、脳の摂食中枢が刺激され、自然とおなかが空くのだそう。しかし、何かを口にしてしまうと、脂質やホルモンの代謝リズムが乱れてしまうことから、夜勤中の食事は極力控えるようにします。

 米スタンフォード大学が約1000人を対象に行った研究で、8時間睡眠者と5時間睡眠者を比べたところ、後者のグレリンが14.9%増加したという結果も出ているそうです。

 また深夜に近づくと、「BMAL1(ビーマルワン)」と呼ばれる、内臓脂肪を増加させるタンパク質も多く分泌されるため、深夜の食事は太りやすくなるデメリットがあります。BMAL1の分泌は午後2〜3時が最も少なく、午後10時〜午前2時が最も多くなるそうです。

 それでは、空腹に耐えられない場合はどうしたらよいのでしょうか。

 小林さんは、ガムをかむことを薦めます。ガムを20分間かみ続けると、脳内で作られ、疲労回復に効果のある「セロトニン」濃度が増加するといった研究結果もあるそう。「夜勤中におなかが空くのは、睡眠不足のほか、体の疲労も原因であるため、その対策にはガムが打ってつけなのです」。

ブルーライトカットの眼鏡が役に立つ

 続いて「6」の、夜勤中の「採光」です。

 仕事上のケアレスミスを減らすためにも、明るい光の下にいることが必要です。3000〜1万ルクスという高照度の光の下で仕事をしていると、体内時計がずれて昼間の体内リズムに近くなり、仕事をスムーズに進めることができるといいます。

「ただし、夜中の明るい光は体内時計を整える『メラトニン』の分泌を妨げる効果もあります。そのため、健康を重視するのであれば、ブルーライトをカットする眼鏡をかけたり、照明の照度を落としたりすることが必要です」

 逆に、あまりにも明るすぎると視覚神経が疲労してしまい、逆に眠気を感じるという研究もあるといいます。そのため、照度の調整ができるオフィスであれば、眠気を抑えられる照度はどのくらいか、試してみるとよいそうです。

 また朝9時の退社までに眠気を取り、その日の夜の寝つきをよくするために、外へ出て光を浴びたり、光の当たる窓際の席に移動したりしましょう。

シューマンの「トロイメライ」が効く

 最後に「7」の、夜勤後の「睡眠」です。

 夜勤後は、体を「寝るモード」に切り替えなければなりません。そのためには、サングラスで光を遮り、ヒーリング音楽などを聴きながら帰宅することがベストです。「特に、シューマンの『トロイメライ』は腎臓の交感神経が低下するといった研究報告があるため、オススメです」。

 帰宅後は遮光カーテンで外の光を遮り、部屋の照明を落として2〜3時間の睡眠を取るようにします。その際、必ずタイマーを使い、寝過ぎにないように注意します。「夜の本番睡眠に悪影響を及ぼさないように、短時間の睡眠を心がけてください」。

 体温は早朝から徐々に高くなるため、帰宅後はできるだけ早く睡眠を取ります。すぐに寝られなかったとしても、目を閉じて呼吸をゆっくり繰り返すだけで効果があります。

 寝つきが常に悪いのであれば、帰宅後すぐに入浴するとよいそう。お湯の入っていない浴槽に栓をして、シャワーを浴びながらお湯をため、そのまま浸かります。お湯の温度は、副交感神経を優位にする40度以下に設定することが大切です。汗がじんわり出てきたら、浴槽から上がります。

 お風呂に入って体温が少し上がると、体から放熱が行われ、眠りに入りやすい状態になります。寝る前の軽いストレッチも、肝臓や副腎などの交感神経を低下させ、血圧や体温低下を促す効果があります。

日勤時の振る舞いにも注意しよう

 小林さんは最後にこう話します。

「夜勤があるというだけでも、生活習慣病のリスクが高くなるため、通常の日勤日は睡眠不足の状態を作らないようにしてください」

 今回説明した対策は、身体にリスキーな夜勤の中での“よりマシな”選択肢といえます。夜勤の有無だけでなく、日勤時の振る舞いにも気を付ける必要があるようです。

(オトナンサー編集部)