残るは「熱海」だけに(画像は「熱海秘宝館」WEBサイト)

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秘宝館」が絶滅の危機に立たされている。全盛期は全国の温泉などに20館以上存在していたが、2014年3月末で佐賀県嬉野市の「嬉野武雄観光秘宝館」が閉館し、そして、栃木県日光市の「鬼怒川秘宝殿」が2014年夏までに閉館する予定だ。これで秘宝館静岡県の「熱海秘宝館」のみになってしまう。

老朽化した施設のリフォームやアトラクションの修理、入れ替えが資金面で難しく、運営を行う人材も集まらないといった理由だが、ファンたちは、日本特有の財産が失われる、などと悲嘆にくれている。

「これもクールジャパンだろ。補助金出してやれよ」

ゴールデンウィーク真っ只中の2014年5月3日、「ツイッター」でこんなことがつぶやかれた。

「現存する二つの秘宝館の内のひとつ『鬼怒川秘宝殿』が故障した展示物の修理ができなくなり、老朽化が進んだために、今年中に閉館予定。具体的な閉館日は未定。オーナーさん曰く『夏頃までは営業できるかも?』とのこと」

ネットではこのツイートに「とうとう鬼怒川も?」などと、閉館する前に一度は行ってみたい、としてちょっとした騒ぎになった。14年5月6日にはツイッターに「鬼怒川秘宝殿【公式】」を名乗るアカウントが出現し、閉館を阻止したいと考えたのか秘宝殿のPRを開始している。本人を認証するマークが付いていないため「成りすまし」の可能性もある。

ただ、秘宝殿の閉館を惜しむつぶやきが多数寄せられていて、

「鬼怒川秘宝殿も閉館。。。なくなっちゃうじゃん!秘宝館が!」
「これもクールジャパンだろ。補助金出してやれよ」
「なんとか無償に近い形で修理を買って出てくださる…ような状況は望めないものでしょうか」

などといったことが書き込まれている。

名物館長が倒れた後には後継者のなり手無し?

秘宝館」は男女の性の営みをユーモアラスな演出で表現し、ボタン、ハンドルを操作することで思いもよらない展開が待っている、といったアトラクションが特徴だ。性を題材にしたお土産品なども人気で、1970年代のレジャーブームから全国の温泉地などに建てられるようになり、80年代前半に最盛期を迎え「大人の遊園地」などとも言われた。

しかし、レジャーの多様化などの影響もあって2000年に入り閉館を余儀なくされていった。「鬼怒川秘宝殿」のオープンは1981年10月で、春画などの人形が多く飾られる「和風」の秘宝館として知られていた。

本当にこの夏までに閉館するのかを14年5月7日に直接問い合わせてみたが、平日は営業をしていないためか電話はつながらなかった。市の観光協会のHPに秘宝殿の紹介があり、秘宝殿の公式HPのURLが張られていて、そこをクリックするとアカウントは削除されていた。

市の観光協会の担当者に話を聞いてみたところ、秘宝殿の名物館長が13年夏に倒れて入院して以降、後継者は現れていないのだという。なんとかオーナーや従業員が秘宝殿の営業を続けていたようだが、

「前館長が倒れてしまってからは館が営業しているのか、していないのか分からないような状況が続いています」

ということだった。