中国では27日、貴州省のカク章県で4月6日に自分の専用車に水をかけたとして、中国共産党同県可楽郷委員会の袁沢泓書記が、13歳の少女に手錠をかけて20分にわたり街を引き回したとする動画が発表された。カク章県と可楽郷の共産党委員会は関係者を停職措置にして、事実の調査を進めているという。中国新聞社が報じた。(「カク」は「赤」を2つ左右に並べる)

 事件当日は、可楽郷の副郷長が街にある露店などを撤去させる作業をしていて、(出店していた)少女や少女の家族と争いになったとされる。少女は水または飲料水を袁書記が乗る専用車と知らず、かけてしまったという。

 警察官が少女に手錠をかけて警察車両につなぎ、約20分にわたり“見せしめ”として街を歩かせるなどした。警察側は「少女の体が大きいので、未成年とは思わなかった」と弁明した。袁書記は「未成年とは知らなかった。いわゆる、デモ行進だよ」などと述べた。

 中国版ツイッターである微博に、目撃者が撮影したと思われる画像などが掲載され、多くの人が関心を持つようになった。

 カク章県と可楽郷の共産党委員会は27日午後、調査チームを設置し事実の確認作業を始めた。袁書記や事件に関係した警察官を停職措置として、調べを進めているという。

 中国は各行政区画に「委員会」を置いている。委員会のトップは書記だ。省長、市長など「行政トップ」が行政分野における最高責任者であるのに対し、共産党委員会の書記は「行政・立法・司法、思想教育など社会すべて」を指導する役割りであり、省長や市長よりも地位が高い「各行政区画の最高指導者」だ。

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◆解説◆ 中国では長い歴史を通じて、「官」と「民」の格差が極めて大きな社会/社会観が形成された。「官」は「絶対的存在である皇帝の臣下として『民』を支配する者」であり、「民」は「常に支配される者。支配の網の目を多少なりともくぐりぬけないと、生きていくことが困難な存在」でありつづけた。

 共産党による革命は、「官」の特権の廃絶も目指した。毛沢東が「知識分子」に対して不信感を持ったことはよく知られているが、知識人が事実上、特権階級の一翼であったことも“敵視”の理由のひとつだったと考えてよい。

 しかし、今度は共産党幹部が新たな伝統的「官」と同様な存在と自らをみなす傾向が顕著になった。「上には弱いが、民にはたいていのことが許される」という特権階級としての発想は今なお広く深く存在する。

 中国共産党が注力している綱紀粛正は、危機感を持った者と伝統的な特権意識に浸る者との戦いとも言える。汚職問題も「根は同じ」であり、「自分の持つ地位や権力からすれば、多少のことは問題ない」と考えて、私利私欲に走るケースが目立つ。さらに、家族や親族が権力者の“特権”を「最大活用して当然」と考える精神的風土も根強い。

 1949年に中華人民共和国が成立よりもはるか以前の1932年、共産党が支配していた江西省の中華ソビエト共和国の幹部が、地位を利用して公的財産を私物化、非共産党支配地域との密貿易、他人の妻をわがものにするために夫を殺害したなどの罪で、死刑に処せられた例がある。(編集担当:如月隼人)