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北海道・知床沖で遊覧船が沈没し、20人が死亡、6人が行方不明となっている事故。運航会社の社長に禁錮5年の実刑判決が言い渡されました。乗客の家族は、「命の重さに見合う判決とは受け止められない」と胸の内を明かしました。

■初公判では「罪が成立するのかわかりません」

17日、北海道の釧路地裁に姿を見せた「知床遊覧船」の社長・桂田精一被告。2022年4月、業務上の注意義務を怠って遊覧船を沈没させ、乗客・乗員26人を死亡させた罪に問われています。

去年11月の初公判で、桂田被告は「罪が成立するのか私にはわかりません」と話していましたが…。

裁判長
「被告人を禁錮5年に処する」

17日、釧路地裁に言い渡されたのは、禁錮5年の実刑判決でした。

■事故当時、乗客たちは親族に電話「今までありがとう」

4年前の4月、知床沖で発生した遊覧船「KAZU I」の沈没事故。乗客・乗員20人が亡くなり、いまも6人が行方不明のままです。

事故当時、乗客たちは親族に電話をかけていたといいます。

乗客から親族への電話(運輸安全委員会の報告書より)
「浸水して足までつかっている。冷た過ぎて泳ぐことはできない」

乗客から親族への電話(運輸安全委員会の報告書より)
「船が沈んでいる。今までありがとう」

事故で、22歳の息子・鈴木智也さんを亡くした男性。

鈴木智也さんの父親
「変わり果てた息子と対面したときは本当にかわいそうで。冷たい海で何日もさまよっていたかと思うと、いまも涙が出てくる」

車からは、一緒に乗船して亡くなった恋人にあてた手紙とネックレスが見つかりました。

鈴木智也さんの父親
「『お嫁さんになってほしい』と手紙につづっていたのを読んで、楽しい思い出が、何でこんな悲惨な、つらい思いをしなければならないのか。本当に言葉が出なかった」

■明らかになった“ずさんな安全管理”

事故後、明らかになったのが、運航会社の“ずさんな安全管理”です。事故当日は荒天が予想され、他の船の船長が止めたにもかかわらず出航した「KAZU I」。

さらに、国の運輸安全委員会は、船の甲板にあったハッチのふたに不具合があり、浸水が拡大したと指摘。会社の安全管理体制の欠如が、事故の一因だと結論づけました。

■求刑通りの禁錮5年の実刑判決 被告側は即日控訴

裁判の最大の争点となったのは、桂田被告が“事故を予見できたかどうか”です。

これまでの裁判で、検察側は「強風・波浪注意報が出ていて、事故発生の恐れを予見できた」と指摘し、業務上過失致死の罪で法定刑の上限である禁錮5年を求刑。

一方、弁護側は「海水が流入したハッチに不具合があることを知らされておらず、予見の可能性を認めることはできない」などとして、無罪を主張していました。

そして17日、釧路地裁は、荒天により死亡事故が起きることは予見できたと指摘。桂田被告に、求刑通りとなる禁錮5年の実刑判決を言い渡しました。

裁判長
「出航の取り止めを怠った過失により船を沈没させ、乗客らを溺水により窒息死させた」

乗客の家族は、法定刑の上限である禁錮5年の判決について理解を示しつつも…。

乗客の家族
「26名もの方が犠牲になったと考えると、命の重さに見合う判決とは、私には受け止めることはできなかった」

被告側は、この判決を不服として即日控訴しています。