子どもと一緒にスモールステップで進もう。自閉スペクトラムの子が「二次的な障害」に陥らないために
自閉スペクトラムの子は、本人は頑張っているにもかかわらず、うまくいかない経験を重ねやすく、不安や戸惑いを抱えながら毎日を過ごしています。こうした子どもの不安に寄り添い、特性にあったサポートをするための書籍『自閉スペクトラムの子の育て方のコツがわかる本』より、子どもたちが少しずつ「自信」を育み、「自己決定力」や「相談力」を身に着けるためのコツを、日常生活の具体的な場面を通してご紹介します。
何よりも注意したいのは「二次的な障害」
自閉スペクトラムの子どもは、暗黙のルールや人の表情の変化を読み取ることが苦手なため、生活のなかで戸惑うことが多く、知らず知らずのうちに無理をして周囲に合わせようと頑張ります。
その結果、ストレスから少しずつ心身のエネルギーが奪われると、心身の不調や登校しぶりだけでなく、ときに攻撃的な反応などが二次的な障害として現れることがあります。
自閉スペクトラムの支援でもっとも大切なのは、二次的な障害へ進展させない、そして定着させないこと。子どもが安心して過ごせる環境づくりが何よりも大切です。
■子どもをとりまく環境が、特性とマッチしているか
自閉スペクトラムの特性があっても、理解のある環境があれば、子どもは適応し、個性を発揮できます。反対に、理解のない環境は、子どもにとって適応しにくくストレスのかかる状況を生んでしまいます。ミスマッチによるストレスが続くと、二次的な障害が起こりやすくなります。
■無理が続くと二次的な障害に
二次的な障害には、気分の落ち込みや不安、体調不良のほか、不登校、カンシャクや暴力といった情緒や行動の問題も含まれます。
■ほかの発達障害との併存で「生きづらさ」が強くなることも
自閉スペクトラムでは、しばしばそのほかの発達障害(ADHD〔注意欠如多動症〕やSLD〔限局性学習症〕など)との重複も見られます。
ADHDでは、多動や衝動性、不注意といった特性が、SLD は、読み・書きや計算困難といった特性があります。
ほかの発達障害が併存すると、生活上の困りごとが増えるだけでなく、「わざとやっている」「なまけている」など、あらぬ誤解や批判を受けるケースも見られます。
社会で役立つスキルを無理なく育てたい
これから子どもが歩む長い人生を考えてみてください。社会で役立つスキルを身につけることと、勉強や成績、どちらが大切でしょうか。社会で役立つスキルとは、人との関わりのなかで、困りごとを相談したり、自分の考えを伝えたりする力のこと。こうした力は、日々の関わりのなかで育っていくものです。
苦手を直すより、環境を工夫する。頑張らせるより、支える。周囲の深い理解のうえにあるサポートは、子どもの力を引き出す源になるはずです。急ぐ必要はありません。伴走する気持ちで、無理のない支援を目指しましょう。
■大切なのは着実に成長すること
目標に向かって高い段差を速いスピードで上る子もいれば、低い段差をゆっくりと上る子もいます。優劣を競うものではありません。大切なのは、その子に適したペースやレベルで、着実にステップを上っていくことです。
■子どもといっしょに「スモールステップ」のイメージで
高い目標を設定するのでなく、できることやできそうなことをわが子に合ったレベルでゆっくり上っていきましょう。子どもが落ち着いてとりくめるだけでなく、「できた!」という達成感が子どものこれからの自信につながります。
■あせりは禁物。一歩一歩進めばいい
子どもに無理をさせないサポートを心がけましょう。過剰な訓練でステップを上らせても、長続きしないばかりか、子どもは意欲を失います。また、失敗や挫折は、子どもから自信を奪い、二次的な障害の原因になります。子どもに合ったペースで進むことが、二次的な障害の予防につながります。
