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ふと、鏡を見たときに「あれ?なんだか老けた気がする…」とショックを受けたことはありませんか?その原因は、目元のシワやお肌のたるみ、シミだけではないかもしれません。実は、私たちが毎日おしゃべりをして、おいしくご飯を食べるときに見える「口元」。ここに、見た目の年齢を大きく左右するヒミツが隠されています。今回は、歯科治療の最前線から、10年後も若々しく健康でいるための「大人の選択」をご紹介します。

なぜか65歳以上のむし歯が増加!?そのワケは…

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むし歯の保険治療「銀歯」の隠れたリスクとは?

みなさんは、むし歯ができた時、どのように治療を選択されていますか?「とりあえず、保険の(銀歯)治療」と考えていませんか?

保険治療はお財布に優しいですから、そのお気持ちは良くわかります。

でも、ちょっと待ってください。話したり笑ったりした際に、お口の奥で「ギラリ」と光る銀歯が「昭和の雰囲気」を漂わせ、老けて見える原因になっている可能性があります。

見た目だけではありません。銀歯の平均的な寿命はわずか5年程度。つまり5年ほど経つと、銀歯治療の最大の欠点である「銀歯の下でむし歯が再発するリスク」が高まります。このむし歯を「2次むし歯」といいます。

「むし歯が再発しても、また治療すればいいだけでしょう?」と思うかもしれません。でもそこには落とし穴があります。

人間の歯は、無限に削れるものではなく、一般的に「むし歯の治療は5回まで」と言われています。歯は治療を繰り返すとどんどん弱くなり、むし歯の進行や強度不足などで抜歯しか方法がなくなってしまうためです。

つまり、再治療のたびに、歯を失うカウントダウンが加速していきます。

治療の現場でも、50代前後になって、初めて事の深刻さに気づく患者さんが多くいらっしゃいます。

みなさん異口同音に「あの時、もっとしっかりと考えて選べば良かった…」と後悔されるのは、歯を失うと、その後の治療にはもっと多くの時間とお金を使うことになるからです。

銀歯が5年ほどでダメになる原因は…

ではなぜ、銀歯は5年ほどでダメになってしまうのでしょうか? その理由は、銀歯を歯に着ける際に使う「接着剤(セメント)」にあります。

ここで、昔ながらの「昭和のお風呂」をイメーシしてください。

昔は浴室の壁や浴槽にタイルが使われ、タイルとタイルの隙間を白い目地で埋めていました。どれだけキレイに埋めても、時間とともに目地がポロポロと剥がれてきて、その隙間から水が入り込みます。

内部がカビだらけになってしまう一因です。

銀歯の下も同じです。銀歯は長年使用すると少しずつダメージを受けて、セメントが溶けてわずかに隙間ができます。その隙間に菌が侵入し、むし歯を発生させます。

また、銀歯が原因で金属アレルギーが発生するリスクも。

銀歯に使用される金銀パラジウム合金で約2割の人がアレルギー反応を示します。銀歯治療が結果として、原因不明の体の不調を招いてしまうケースもあるのです。

「保険でできる白い歯」のメリットと盲点

「銀歯がダメなら、最近、保険適用された白い歯にすれば良い」と思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

確かに保険適用の範囲が広がり、プラスチック(樹脂)とセラミックのハイブリッドレジンを材料とした白い歯を選べるようになりました。


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ハイブリッドレジンのメリットは、白くて、金属アレルギーの心配もなく、保険治療できることです。

一方でデメリットもあります。

この材料をわかりやすく例えるなら「子供用のプラスチック食器」です。落としても割れないので使い勝手が良いですが、毎日使うと表面に細かい傷がたくさんつきませんか?

カレーを入れると色が食器に移ったりしますよね。

お口の中のハイブリッドレジンも、毎日の食事で少しずつすり減り、数年でツヤがなくなり、黄ばんできます。傷ついた表面はザラザラになるので、汚れ(プラーク=細菌の塊)がこびり付きやすくなるのです。

汚れが溜まると、歯周病リスクを高めてしまいます。

また強度が劣るため、割れることも少なくありません。このため、耐久年数はおよそ5〜7年とされています。特に歯ぎしりや食いしばりのある人には、歯への負担が大きくなるのであまりお勧めできません。

自費治療の「白い歯」を歯医者が勧める本当の理由

このような理由から、われわれ歯科医師は自費治療の白い歯(セラミックやジルコニア)を勧めることが多いです。「本音はお金儲けでしょう?」と言う声も聞こえそうな気もしますが、答えは「ノー」。

本当の理由は、見た目の美しさ以上に、「歯の命」を守りたいからです。実際、当院をはじめ、歯科で臨床に関わる人には自費診療を選んでいる人が多くいます。

自費治療の白い歯の最大のメリットは「接着」です。

先述したように保険の銀歯治療が「昭和のお風呂」だとすると、自費治療の白い歯は「令和のユニットバス」だと考えてください。

ユニットバスは、床も壁も一体型の構造です。水が壁の裏に漏れることはないため、内部でカビが発生するリスクもほとんどありません。

これと同じように、自費治療の「接着治療」では、歯と治療材料が一体化するため、水分も一切通しません。そのため、銀歯のように接着剤が溶け出す心配がなく、菌が入り込む隙がないのです。

その結果、10年経ってもむし歯が再発しない確率(生存率)は、95%以上というデータもあります。

自費の白い歯は主に2種類あり、1つは「セラミック(陶器)」で、もう1つは「ジルコニア(人工ダイヤモンド)」です。

ここで、既述した食器の例えを思い出してください。保険の白い歯(ハイブリッドレジン)が「子供用のプラスチック食器」なら、自費のセラミックは、高級な「九谷焼の食器」です。九谷焼のお皿は、何百年経っても色褪せることもなく、表面はツルツルで、汚れもサッと落ちます。

お口の中でも同様に、セラミックは変色せずに、プラークは落としやすくなります。天然歯と見分けがつかないほど透明感があり、最も美しく仕上がります。

もう一つの人工ダイヤモンドであるジルコニアは強度に優れているので、割れる心配がほとんどありません。

一方で、セラミックは陶器なので、強い衝撃を受けた場合、割れる可能性があります。その点、ジルコニアにはその心配はありませんが、非常に硬いため、何らかの理由で除去する必要が出た際には大変手間がかかることを覚悟したほうがよいでしょう。

医学的に優れた「大人の選択」とは?

50代という年齢は、お口にとっての曲がり角です。お肌のケアと同じようにケアを変える必要があるかもしれません。

「若い頃に全部治療したから大丈夫」と安心している方に、知ってほしいことがあります。

年齢を重ねると、どんなに健康でも少しずつ歯ぐきは下がっていくものです。

すると以前治療した時は歯ぐきで隠れていた、歯と被せ物との境目が露出するようになるため、口元が黒ずんで見えて、相手に老けた印象を与えます。

また、境目の隙間に汚れがたまり、歯周病や口臭の原因に。

このため、歯科医師の立場からは再治療をお勧めしたいのですが、前述の通り「治療を繰り返すと歯の寿命が短くなる」のです。

これを最後の治療にするためには質の良い治療を選択することが大切。

歯の寿命を考えるなら、接着治療も有力な選択肢です。前歯は見た目の自然さに優れたセラミック、奥歯は強度の高いジルコニアなど、それぞれの特徴を踏まえて選ぶことをお勧めします。

口への投資は最高の「健康投資」

さらにご自身での「セルフケア」に加え、定期的に歯科医院での「プロケア」を受けて、お口の健康の維持・向上に努めることも欠かせません。


(写真提供:Photo AC)

「人は歯から老いる」。長年多くの患者さんを診てきて、心からそう確信しています。

歯がボロボロになると、食べ物がしっかりと食べられなくなり、十分な栄養が取れません。胃腸に負担もかかります。

笑うときには口元を隠すようになるかもしれません。

つまり、美味しく食べたり、楽しくおしゃべりしたりの、日々の生活に支障が出ます。

お口への投資は単なる「贅沢」ではなく、生涯を通じた最高の「健康投資」といえるではないでしょうか。