『糖尿病』の人が「現在の幸福度を維持する」ための血糖値コントロールと運動時の注意点

糖尿病は「血糖値の病気」ではなく、全身のバランスの病気です。食事・運動・薬の3本柱をどう続けるかが鍵になります。放置すれば合併症を招く一方で、正しい管理によって健康に長生きするのも十分に可能です。一体どのような点に注意すればよいのか、ヘルスマネージメントクリニック西新宿の宮元先生に聞きました。

※2025年10月取材。

監修医師:
宮元 周作(ヘルスマネージメントクリニック西新宿)

宮崎大学医学部卒業。宮崎大学医学部附属病院臨床研修修了。社会福祉法人聖隷福祉事業団聖隷三方原病院後期研修修了。医療法人社団幹人会菜の花クリニック院長を務めた後2024年にヘルスマネージメントクリニック西新宿を開院。日本内科学会認定内科医、日本糖尿病協会会員、日本性感染症学会会員。

糖尿病で管理すべきポイントは? 食事、運動、薬物、生活習慣がなぜ大事なのか?

編集部

糖尿病の治療で最も大切な目標は何ですか?

宮元先生

糖尿病の治療で最も大切な目標は、「血糖値を下げる」そのものではありません。あなたの人生における幸せをできるだけ減らさずに守ることです。血糖値の低下を治療目標に据えると、「人生が不幸になっても血糖値さえ下がればよいのか」という話になります。現在の幸福度維持が最大の治療目標です。

編集部

目標を達成するためには、何が必要ですか?

宮元先生

不可欠なのは「血糖値のコントロール」です。血糖値のコントロールがうまくいかないと合併症のリスクが高まり、人生における幸せが損なわれる可能性があるためです。

編集部

具体的に、どのような方法に取り組みますか?

宮元先生

まず日常で取り組みやすい方法は、食事の見直しです。血糖値は食事から直接影響を受けます。特に、糖質の取りすぎは血糖値を急上昇させ、インスリンへの負担を増やします。反対に、バランスよく食べる食事は血糖値の変動を抑え、薬やインスリンに頼りすぎないコントロールが可能です。

編集部

そのほかには何が必要ですか?

宮元先生

運動も重要です。運動をすると筋肉が糖を消費し、血糖値が自然に下がるためです。また、インスリンの効きがよくなり、血糖コントロールが安定します。継続的な運動は体重管理にもつながり、糖尿病の悪化を防ぐ有効な手段です。

編集部

そのほかにはありますか?

宮元先生

薬による治療も重要です。薬物療法は不足しているインスリンの働きを補う基本の治療法です。食事や運動のみではコントロールが難しい人に必要です。また、睡眠不足やストレスは血糖を上げるホルモンを増やすため、規則正しい生活リズムを保つよう心がけましょう。

食事、運動の管理方法と注意点

編集部

糖尿病を管理するため、具体的に何をすればよいですか?

宮元先生

これからお話しする内容は、糖尿病のコントロールや健康維持に「理想的」といわれる取り組みです。すべてを完璧に実践するのは困難です。大切な目的は、「こうした方法がある」と知っておくことです。その中から、ご自身の生活や体調に合った方法を少しずつ取り入れてみてください。

編集部

はじめに、食事について教えてください。糖尿病の人にとって理想的な食事とはどのような内容ですか?

宮元先生

炭水化物・たんぱく質・脂質をバランスよく適量摂ります。食物繊維を多く含む野菜や海藻を先に食べる「ベジファースト」も、血糖値の急上昇を防ぐ効果が期待できます。

編集部

食事の時間や回数における注意点はありますか?

宮元先生

食事は1日3回、できるだけ決まった時間に摂るのが理想です。空腹時間が長すぎると血糖値が乱れやすく、食べすぎの原因になります。夜遅くの食事は血糖が下がりにくいため、就寝2時間前までに済ませましょう。

編集部

次に、運動について教えてください。

宮元先生

ウォーキングや軽いジョギング、サイクリングなどの有酸素運動が効果的です。1回20~30分を週に3~5回行うのを目安に継続しましょう。特に、食後30分~1時間後に体を動かすと血糖上昇を抑えやすくなると分かっています。

編集部

運動時の注意点はありますか?

宮元先生

血糖値が極端に高いときや、空腹時の運動は危険です。低血糖や脱水のリスクがあるため、事前に軽く食事を取り、水分をこまめに補給するなどの工夫が必要です。心臓病や神経障害がある人は、必ず医師へ運動の強度を相談しましょう。

薬物、生活習慣の管理方法と注意点

編集部

糖尿病の薬はどのように作用するのですか?

宮元先生

経口薬は、血糖値を下げるホルモンであるインスリンの働きを助ける、糖の吸収を緩やかにする、といった作用があります。一方、インスリン注射は体内で不足しているインスリンを補います。薬の種類や量は症状に合わせて個別に調整します。

編集部

薬を使っている人が注意すべき点は何ですか?

宮元先生

できるだけ薬に頼らないのが理想ですが、必要なときには迷わず使う姿勢も大切です。薬の使用をためらい、「もう少し食事や運動を頑張って、血糖値をコントロールしよう」と先延ばしにする人もいます。しかし、その間も高血糖の状態が続きます。3年、5年と悪い状態が続けば、その分だけ合併症のリスクが高まります。薬は一度始めても、状態が安定すればやめられます。大切なのは、今の血糖を適切にコントロールする点です。

編集部

生活習慣における注意点はありますか?

宮元先生

睡眠不足やストレスは血糖を上げるホルモンを増やします。十分な睡眠とストレス解消を心がけましょう。喫煙も血管を傷つけ、合併症のリスクを高めるため禁煙が重要です。

編集部

糖尿病と上手に付き合うために大切なポイントは何ですか?

宮元先生

糖尿病は「完治」よりも「コントロール」を目標とする病気です。焦らず、医師・管理栄養士・看護師などと協力しながら、無理のない範囲で続けるのが大切です。数値だけにとらわれず、日々の積み重ねを大事にすれば健康維持につながります。

編集部

最後に読者へのメッセージをお願いします。

宮元先生

糖尿病の治療は、数値をよくするだけの目的ではありません。治療の本当の目的は、糖尿病があっても人生を豊かに、彩りあるものとして歩み続ける点にあります。趣味を楽しみ、大切な人と過ごす時間を守るために、治療を前向きに続けていきましょう。

編集部まとめ

治療は「我慢や制限」ではなく、「人生をよりよく生きるためのサポート」です。糖尿病と向き合うなかで大切なのは数値だけにとらわれず、自分らしい幸せを大切にしながら治療を続ける姿勢です。心のゆとりこそが、健康を支える大切な力になるのかもしれません。

医院情報

ヘルスマネージメントクリニック西新宿

所在地 東京都新宿区西新宿6-5-1新宿アイランドタワー東棟2F

診療科目 内科、糖尿病内科

診療時間 月~金10:00~18:00

休診日 土・日・祝

03-6258-5363

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