2023年に生まれたサラブレッドの頂点を争う競馬の第93回日本ダービー(東京優駿(ゆうしゅん)、GI)が31日、東京芝2400メートルで行われる。

 競馬に携わる人々が憧れる夢舞台に立てるのは、わずか18頭。3歳クラシック三冠初戦の皐月(さつき)賞(GI)の上位組に加え、前哨戦を制した新興勢力も台頭して混戦に拍車を掛けている。世代最強の座をかけた競馬の祭典から目が離せない。(常陰亮佑)

シリウス、左回り3戦3勝

 ロブチェンが20年のコントレイル以来となる2冠獲得に挑む。皐月賞では先手を取って押し切り、中山芝2000メートルのコースレコードを更新。昨年末のホープフルS(GI)は鋭い決め手を繰り出して優勝しており、自在な戦法で勝利を重ねてきた。騎手の松山弘平は11度目の挑戦で悲願のダービー制覇を目指す。

 リアライズシリウスは皐月賞でロブチェンとたたき合いを演じ、3/4馬身差の2着に敗れた。ロブチェンを3着に退けて勝った共同通信杯(G3)を含め、今回と同じ左回りでは3戦3勝。新馬戦から手綱を取る23年目の津村明秀とのコンビで逆転を狙う。管理する手塚貴久調教師(61)(美浦)は、23年と25年のダービーでともに2着。今回はスプリングS(G2)の勝ち馬で、ダミアン・レーン(豪)を配したアウダーシアとの2頭出しで臨む。勝てば5人目のクラシック完全制覇となる。

 皐月賞3着のライヒスアドラーと4着のアスクエジンバラは、ロブチェンから0秒3差と大きく負けておらず、巻き返しに闘志を燃やす。フォルテアンジェロは皐月賞で出遅れながらも5着まで追い上げており、スムーズなレースができれば浮上する余地がある。

 皐月賞未出走組も上位を狙う。ゴーイントゥスカイは今回と同舞台で実施された前哨戦、青葉賞(G2)で鋭い末脚を駆使して勝利。この競走の1着馬が本番も制した例はないが、36回乗って6勝と騎乗数、勝利数のいずれも首位の武豊がジンクスを打ち破るか。京都新聞杯(同)を勝って3戦3勝で臨むコンジェスタスは、唯一の無敗馬。京都新聞杯では共同通信杯の2着馬を差しきっており、実力と勢いを兼ね備えている。このほか、報知杯弥生賞ディープインパクト記念(同)1着のバステールら重賞勝ち馬も控えている。

 キズナ産駒のアウダーシアとパントルナイーフ、ロジャーバローズの子・メイショウハチコウ、コントレイルを父に持つゴーイントゥスカイとコンジェスタスが勝てば、祖父ディープインパクトと父に続く初の親子3代制覇の偉業となる。

新種牡馬の子、4頭

 今年は皐月賞の1、2着馬をはじめ、重賞を勝利した新種牡馬(しゅぼば)の産駒が4頭出走する。将来の日本競馬界を背負う若き調教師たちも初めて管理馬を送り込むなど、例年以上に新鮮味のあるダービーとなった。(下山博之)

コントレイル産駒に勢い

 ロブチェンの父・ワールドプレミアは菊花賞、天皇賞(春)と長距離GIを勝ったが、皐月賞とダービーは出ていない。同馬が暮らす牧場「優駿スタリオンステーション」(北海道新冠町)を運営する株式会社優駿の藤本一真さんは「父に似て末脚が鋭い産駒が多い」と分析する。

 リアライズシリウスを送り出したポエティックフレアはアイルランド調教馬で、英2000ギニーなどGIを2勝。受胎率が低かったが、少ない初年度産駒から活躍馬が出た。繁養先の社台スタリオンステーション(北海道安平町)の徳武英介場長は「仕上がり早で完成度が高く、一瞬の爆発力がある」とみている。

 2020年に無敗で三冠馬に輝いたコントレイルの産駒は、ゴーイントゥスカイとコンジェスタスの2頭が前哨戦のG2を制して本番にコマを進めてきた。徳武場長は「長めの距離で長く良い脚を使うタイプが多い」と好走を期待する。

初舞台に管理馬4頭…開業4年目の上原佑調教師

 ダービー初挑戦となる開業4年目の上原佑紀調教師(36)(美浦)はライヒスアドラー、ゴーイントゥスカイ、フォルテアンジェロ、グリーンエナジーを出走させる。管理馬の4頭出しはフルゲートが18頭となった1992年以降では、中央で歴代2位の1570勝を誇る藤沢和雄氏が2002年に遂げて以来2人目で、「日々積み重ねていることが結果として表れてうれしい」と実感を込めた。

 騎手でダービーを3勝した福永祐一調教師(49)(栗東)がアスクエジンバラで初参戦。ジョッキー時代のライバルだった岩田康誠を配して臨む大舞台に向け、「そういう(ダービーに出走できる)レベルの馬を預託していただいている。幸運なこと」と開業3年目で挑む大一番への心境を明かした。