14日、エルサレム旧市街のダマスカス門で行われたパレードに参加したベングビール氏/ILIA YEFIMOVICH/AFP/AFP via Getty Images via CNN Newsource

(CNN)極右として知られるイスラエルのイタマル・ベングビール国家安全保障相が拘束されたガザ支援船団の活動家を嘲笑する映像が公開され、国際社会の激しい非難を引き起こしている。イスラエルの首相からも公に叱責(しっせき)を受ける異例の事態となっている。

ベングビール氏の事務所が公開した2本の動画には、パレスチナ自治区ガザ地区への支援物資を届けようとしていた船団に乗船していた活動家たちが警察に拘束される様子が映っている。一部の活動家は身体的な苦痛を伴う姿勢を取らされているのが確認できる。場所はアシュドッド港の仮設拘置所だ。

1本の動画では、女性が英語で「パレスチナを解放せよ!」と叫んだ後、強引に床に座らされている。警官が静かにするよう女性に告げる声が聞こえる。

ベングビール氏は「よくやった」と声を掛け、「イスラエルへようこそ。我々がここの主人だ」と付け加えた。

もう1本の動画には、数十人が両手を後ろ手に縛られ、頭を地面につけてひざまずく様子が映っている。

「彼らは誇り高い気持ちでやって来た。まるで偉大な英雄のように。今の姿を見るがいい。この有り様を。英雄でも何でもない。テロ支援者だ」。ベングビール氏はイスラエル国旗を手に、拘束された人々を指さしながらそう主張している。

船団の最初の船は先月、バルセロナを出港した。活動家たちは、この行動を「暴力と人道危機が深刻化する中での民間人による介入」と説明している。

船団がガザ地区へ向かう中、イスラエル軍は一連の阻止行動を開始した。

船団の広報担当者、デビッド・ヒープ氏は20日、CNNに対し、約60隻の船が妨害を受け、400人以上の活動家が拘束されたと明らかにした。

イスラエルの人権団体アダラの弁護士らは、拘束された人々の一部とアシュドッド港で面会することを認められた。その後、非拘束者らはイスラエル南部のネゲブ砂漠にある刑務所に移送された。

拘束された人々の映像が公開されると、即座に国際社会から非難が巻き起こった。

イタリアのメローニ首相はいち早く声を上げ、今回の事案を糾弾。活動家たちの人間としての尊厳を侵害するものであり「容認できない」と強調した。メロー二氏はイスラエル側から、比較的同国に理解のある欧州連合(EU)首脳と目されている。

ガザ地区におけるイスラエルの攻撃を厳しく批判しているスペインの首相は問題の映像について、ベングビール氏が「国際船団の乗組員を侮辱している」様子を示していると指摘。EUに対し、ベングビール氏への制裁を求める意向を表明した。スペインは同氏の入国を禁止する措置に踏み切っている。

英国のクーパー外相は「本当に衝撃を受けた」と述べ、政府が関係する自国民の家族と連絡を取っていると付け加えた。また、英国としてイスラエル当局に説明を求めていると明らかにした。

カナダ、ポルトガル、イタリアは、この事案を受けてそれぞれの国に駐在するイスラエルの代表者を召喚すると発表した。フランス、アイルランド、トルコも非難の声を強めている。

かねて挑発的な姿勢で知られるベングビール氏だが、今回の言動は自国の閣僚の目から見ても明らかに行き過ぎだったようだ。イスラエルのサール外相とネタニヤフ首相は相次いでベングビール氏を公に非難した。

サール氏はベングビール氏が「恥ずべき姿を露呈」し、イスラエル国家に「故意に損害を与えた」との見解を示した。

ネタニヤフ氏は活動家らの拘束を擁護する一方、ベングビール氏の行動は「イスラエルの価値観と規範に反する」と主張した。

マイク・ハッカビー駐イスラエル米国大使も、ベングビール氏の「卑劣な行為」を糾弾。X(旧ツイッター)への投稿で 「船団行動は愚かなパフォーマンスだったが、ベングビール氏は自らの国の尊厳を裏切った」と述べた。