アメリカとイスラエルによるイランとの戦闘をめぐり、トランプ大統領とローマ教皇やイタリアのメローニ首相との間で“場外乱闘”が起きているという。

【映像】キリストに「平手打ち」されたトランプ氏(実際の動画)

 ニュース番組『わたしとニュース』では、この“場外乱闘”の背景や各国の反応について、国際政治学者の三牧聖子氏とともに深掘りした。

■トランプ大統領がまたも“キリスト風”画像を投稿で波紋も

 トランプ大統領がSNSに投稿した画像が波紋を広げている。ローマ教皇がイランの核保有を容認していると一方的に主張した後、自らをイエス・キリストに見立てた画像を投稿すると、批判が殺到。その後、投稿は削除されたのだが…。

 ここにきてトランプ氏は、トランプ氏とみられる人物がキリストに肩を抱かれている第三者の投稿画像を引用して投稿し、「かなりいいぞ!!!」とコメント。この“キリスト”風画像をめぐって再び波紋が広がっている。

 こうした状況を踏まえ、三牧氏は「現教皇のレオ14世は初めてのアメリカ出身の教皇で、教皇としての務めでもあるわけだが、平和への訴えを強めてきた。これは決してアメリカだけに訴えているのではなくて、今まではウクライナ戦争においてはロシアを批判して『戦争をやめなさい』などと、ずっといろいろな戦争を、イランの現体制による人権侵害、デモ隊の弾圧等も批判をしてきた。あらゆる人権侵害、戦争に反対ということで、今回のイラン戦争に関しても双方戦争をやめるようにと反戦の訴えを強めていたところ、トランプ大統領やバンス副大統領は『教皇は政治に関わるな』と対立を強めてきた」。

 こうした流れの中で、“キリスト”風画像が投稿されたことには「トランプ大統領の意図はわからないが、教皇よりも『むしろ私こそが神なんだ』と言わんばかりの投稿。これに関しては、アメリカの敬虔なキリスト教徒、カトリックのみならず、キリスト教徒から広く非常に反発が出て、(最初の画像を)削除したということだと思う」

 こうした中、イラン側も“参戦”。在タジキスタンのイラン大使館が、キリストとみられる人物が“キリスト”風のトランプ氏に平手打ちをして地獄に落としたような動画を投稿した。

「このイラン戦争は、キリスト教の言葉が非常に多く使われていて、これはイランの過激なイスラム教徒に対する聖なる戦いなのだと。戦争にキリスト教徒の言葉が使われていることに対して、やはり教皇としても問題と感じて、キリスト教は平和の宗教であるということを非常に活発に発信されているところもあると思う」(三牧氏)

■トランプ氏の盟友、イタリア・メローニ首相も猛反発のワケは

 SNS上の“場外乱闘”はこれだけにとどまらず、トランプ氏の盟友としても知られるイタリアのメローニ首相も教皇への批判に真っ向から反発しており、亀裂が深まっているようだ。

「私が言ったことは私の考えです。特に教皇に関する発言は受け入れられません。私は教皇レオとの連帯を表明し続けます。さらに言わせてもらえば率直に宗教指導者が政治指導者の言いなりになる社会では私は安心して暮らせません。だからこそ私は同意せずそれを表明したのです」(メローニ首相)

 一方で、トランプ氏もイタリアメディアの取材に対し「(メローニ首相は)もはや以前とは違う人間だ」と猛反発している。三牧氏はこの背景について次のように語った。

「やっぱり世論もあると思う。今回のアメリカとイスラエルの軍事行動に対しては非常に世論の反発が強くて、メローニ首相もそういう世論を汲んで、トランプ氏の批判、まずはこの軍事行動から距離を置く。さらには、レオ14世の冒涜と言うしかない言動に関しても、やはり世論を汲んで批判的なスタンスだ」(三牧氏)

 今回、ヨーロッパではメローニ首相をはじめ、アメリカとイスラエルの戦闘に対して国際法違反だと明確に言及している国も多いという。

「メローニ首相は『国際法の範囲外だ』という表現をして、さらに戦闘の初期にアメリカ軍によって小学校が誤爆されたことに関しても『虐殺であり、謝罪すべきだ』という、かなり踏み込んだ批判もしている。今回のアメリカの軍事行動にイタリアの基地を使わせるといったことはしないとしているが、これもやはり世論の批判が非常に強いから。メローニ首相は3月に司法絡みの選挙で敗北していて、今のアメリカの行動はどうなんだという世論を汲んで外交しないと(いけない)。そして、キリスト教徒を超えた大切な存在である教皇14世に対する侮辱には毅然とした態度でトランプ大統領と距離をとる、批判をする。これはメローニ首相の意思であるとともに、イタリアの人たちの意思を汲んだという政治、外交だ」

■予測不可能なアメリカ…世界的な「孤立状態」に?

 トランプ氏は世界的な観点から見ると、徐々に孤立状態になりつつあるのだろうか。三牧氏は、次のように分析する。

「最近いろいろな世論調査会社が各国で調査をしている中で、『中国とアメリカ、どちらが今信頼できるリーダーなのか』。どちらの国も問題があるが、アメリカは今回、同盟国にも伝えずに、我々(日本)のようにホルムズ海峡が封鎖されたら大変な影響力が及ぶ国もあるのに、アメリカとイスラエルだけで決めてイランの軍事行動を始めて、世界経済が激震している事態になっている。そういう予測可能性という点では中国の方が信頼できるという結果だった」

「アメリカとの関係は依然として重要だけれども、あまりにアメリカに依存していると、アメリカが単独行動に出た時にもう自分たちが立ち行かなくなってしまうので、アメリカと中国との間のバランスを図り直そうとする国がとりわけヨーロッパに増えている。先日もスペインのサンチェス首相が中国に訪問して、そのバランスを取っていることがうかがえた」

(『わたしとニュース』より)