「靴を一足揃えてみる」「ハンガーを1本分空ける」たったそれだけで…<小さな片づけ>で春の不安を乗り越える
着なくなった服を押しこんだクローゼット、本がぎっしり詰まった本棚、使わないお皿だらけの食器棚……。モノで溢れた家にうんざり、という読者も多いのでは。一方、これまでに7000人以上の受講生へアドバイスをしてきた人気整理収納アドバイザー・阿部静子さんは「こんな時代だからこそ、人生の折り返し地点を過ぎたら片づけたもの勝ち」と断言します。その阿部さんが50代以上に向けて、お手軽片づけ術を伝授! 今回のテーマは「人生を整える片づけ」です。
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4月は部屋を整えると人生も整い始める
4月。
新しい年度が始まり、環境が変わる方も、そうでない方も、どこか気持ちが落ち着かない季節です。
春の光はやわらかく、街には明るい色が増えているのに、自分の中だけが取り残されているように感じることもあります。
そんなときこそ、暮らしの中で見直していただきたいのが「部屋」です。
何かを始めようとするとき、私たちはつい、外に答えを求めがち。
新しい習い事を始める、予定を増やす、誰かに会う。
それも素敵ですが、一番身近な環境を整えることが、人生を整える第一歩になることがあります。
私自身、体調を崩して仕事を休んだ時期がありました。
思うように動けず、不安ばかりが募る中で、唯一できたのが「小さく片づけること」でした。
机の上を少し整える。
床に置いていたものを戻す。
自分にもできた、と小さな自信になりました。
視界がすっきりすると思考も整う
片づけ講座の受講生さんも同じように言います。
ものが多く、どこに何があるかわからない状態では、気持ちも散らかりやすくなります。

【写真】テーブルの上の置きっ放しのものをひとつ見直す(写真:著者)
反対に、視界がすっきりすると、思考も静かに整っていくでしょう。
ここで大事なのは、「一気に整えよう」としないこと。暮らしの中の“気になる所”をひとつだけ整えることです。
たとえば、リビングの自分の定位置。
テーブルやソファの横や、いつも座る椅子のまわりには、知らないうちにものが集まりやすいものです。
・読みかけの本が何冊も積まれている
・リモコンやメガネの置き場が決まっていない
・郵便物がそのままになっている
ここを、ほんの少し整えてみます。
・本は一冊だけ残して戻す。
・リモコンの定位置を決める。
・紙類を1枚だけでいいので減らす。
それだけで、目に入る景色が変わります。
長くいる場所が整うと気持ちが落ち着きます。
「これから着たい服」に目を向ける
もうひとつは、クローゼット。
3月の記事、「やさしい衣替え」をご紹介し、冬服を見直した方もいらっしゃると思いますが、4月は「これから着たい服」に目を向ける時期です。
・なんとなく残っているけれど、気分が上がらない服
・体型や今の自分にしっくりこない服
そうしたものがあると、毎朝の服選びの小さな迷いが積み重なっていきます。
ハンガーを1本分空けるだけでいい。
心地よく着られるお気入りの服がサッと取り出せるようになる。
それだけで、朝の気分が変わります。
大きく変える必要はない
そして、忘れてはいけないのが玄関です。
玄関は、家の顔。
靴を一足揃える。
履かない靴をひとつ見直す。
一足分空くと気分もスッキリ。
ここまで読んで、「そうは言っても、分かっているけれどできない」と感じた方もいらっしゃるかもしれません。
とてもよく分かります。
片づけは、やった方がいいと分かっていても、気力がないときには動けないものです。
そんなときは、やることを“さらに小さく”してみてください。
・何も動かさなくていいので、ただ部屋を見渡してみる
・気になる場所を一か所だけ見つける
・そこにあるものを、ひとつだけ手に取る
それだけで十分です。
片づけは、「やる・やらない」の二択ではありません。
ほんの少し意識を向けるだけでも、もう整え始めています。
そして、もし今日は何もできなかったとしても、大丈夫。
暮らしは続いていきますし、整えるチャンスはまた訪れます。
空間が整うと表情まで明るくなる
部屋を整えるのに、完璧を目指さなくていい。
大きく変える必要もありません。
けれど、小さく整えた空間は、確実に自分に影響を与えます。
「今日は少し気分がいい」
「もう少しやってみようかな」
私がそうだったように、受講生さんもどんどん表情が明るくなり、人生が整っていくのを感じています。
4月は、整えることにちょっと意識を向けてみる。
それだけで十分です。
春の光が入る部屋で、少し整った空間に身を置くと、これからの時間が、やさしく動き出します。
部屋が整うと、人生も整い始める。
それは、とても静かで、でも確かな変化です。
今年の春は、ほんのひとつの場所から。
そこから、あなたの毎日が少しずつ軽やかになっていきます。
