真っ昼間の六本木が騒然…六代目山口組・野内正博幹部が「有名ヤクザの新会長」と稲川会を訪問したワケ
「桜の開花」がようやく宣言され、4月中旬並みの陽気に恵まれた3月19日の東京都。都内有数の繁華街・六本木に本部を構える指定暴力団・稲川会の事務所前は、早朝から異様な緊張感に包まれていた。警視庁や地元・麻布署の捜査員が警戒に立ち、マスコミのカメラマンが待機していたのである。
「お花見」シーズンに本格的に突入したともいえるこの日、一体何が行われていたのかーー。
「一昨日の17日、六代目山口組の関東の親戚団体・東声会の代目継承盃儀式があり、会長が代替わりしました。新会長が、同じ関東の親戚団体である稲川会に襲名披露の挨拶に来るのです。新会長に就いたのは六代目山口組直系組織・弘道会の小澤達夫元若頭補佐。昨年10月に、東声会・早野泰会長の舎弟盃を受けて東声会に移籍していました。
親戚団体とはいえ、六代目山口組系出身の親分が他団体の当代に就くことは極めて異例で、警察当局も注視しています。小澤会長は他団体への挨拶回りを続けており、この日最初に訪れたのが稲川会でした」(ヤクザ業界に精通しているジャーナリスト)
稲川会からは内堀会長が直々に対応
「お見えになりましたーー!」
組員の声が響き、挨拶を受ける側の稲川会のトップ・内堀和也会長のセンチュリーが到着したのは、午前10時だ。後部座席から降り立った内堀会長の表情は朗らかだ。
その20分あまり後、再び組員の声が響く。六代目山口組の2台の高級車が到着したが、小澤会長が乗っていたのは2台目の車両。先頭車から姿を現したのは、3月11日付で若頭補佐への「登竜門」といわれる重要ポスト「幹部」に昇格したばかりの、六代目山口組直系組織の弘道会・野内正博会長だ。
「野内幹部は、竹内照明若頭(66)の名代として同行したといわれています」(前出ジャーナリスト)
車を降りた野内幹部は、頭を下げて稲川会本部に深々と一礼。事務所に入る前にもスーツの前ボタンを両手で留め直し、緊張した面持ちで歩を進めた。その後に、小澤会長が続く。
約20分後、野内幹部、小澤会長が稲川会幹部組員に見送られながら出てくる。無事挨拶を終えた安堵感からか、野内幹部、小澤会長とも表情は少し和らいで見えた。見送りの稲川会幹部組員に深々とお辞儀をすると、送迎車へと乗り込んでいった。
「この後、この日のうちに住吉会や極東会、双愛会、松葉会にも襲名披露の挨拶回りを行ったそうです。代目継承盃儀式翌日の18日には、東海地方で行われた六代目山口組の定例の集まりにも挨拶に行ったといわれています。気が抜けない状態が続いていたのでしょう」(前出ジャーナリスト)
稲川会への挨拶を滞りなく終え、六代目山口組の車列は、午前11時前には六本木を後にした。
「新たな火種」になりかねない
その後も数日間にわたり、東声会一行は中国や四国地方まで足を延ばし、多くの団体に襲名披露の挨拶を行ったという。
こうした活発な外交の背景には、司忍組長(84)の意を汲んだ、竹内若頭の他団体との友好関係を強化していくという戦略があるとみられている。前出ジャーナリストが、広範囲に及んだ襲名披露挨拶回りの意図を読み解く。
「司組長が掲げている『ヤクザ社会の平和共存』の実現のために、竹内若頭が精力的に動いているのです。象徴的なのは、六代目山口組が関東の親戚団体の稲川会、松葉会と年3回持ち回りで行っている『三社親睦会』。出席者は各組織とも最高幹部4人ですが、六代目山口組からは『若頭』が出席することはほとんどなかったのです。それが、竹内若頭になってからは毎回必ず自ら出席しているのです。
17日の東声会の代目継承盃儀式では、竹内若頭は後見人を務めています。竹内若頭−野内弘道会会長・六代目山口組幹部−元弘道会若頭補佐の小澤会長と、六代目山口組の中核団体である弘道会の全面的バックアップのもと、新生・東声会は船出しているのです。野内幹部は、盃儀式では検分役も務めていました」
一方で、今回の代目継承が「新たな火種」になりかねない、と指摘する声も少なくない。
「結果的には、関東の名門団体といわれる東声会の当代に六代目山口組系の親分が就いたわけです。警察当局は、六代目山口組の本格的な関東進出とみて警戒を強めています」(全国紙社会部記者)
名門団体の代替わりのウラで、さまざまな思惑が交錯している。
