“国産&外車”の最新「“大排気量”オープンカー」が気持ちイイ! 間もなく終了のレクサス「V8」×メルセデスAMG「直6」を比較検証! 見えてきたそれぞれの“キャラ”とは
5リッターV8がもたらす、飛びきりスポーティな「エレガンス」
エンジンのダウンサイジングと電動化が当たり前になったこの時代に、大排気量エンジンを搭載する、しかも4座のオープンカーを2台同時に試乗しました。一台は、レクサス「LC500 コンバーチブル」。そしてもう一台は、メルセデスAMG「CLE53 4MATIC+カブリオレ」です。
この2台は共にハイパフォーマンスな2+2(ツー・プラス・ツー)のGTクーペをベースとしていますが、そのキャラクターは、かなり違います。
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そしてオープンボディとなることで、その違いはより一層際立ちました。
レクサス LC500 コンバーチブルのキャラクターを一言で表せば、それは「エレガンス」だと言えるでしょう。それも、飛びきりのスポーティさを合わせ持つエレガンスです。
これを決定付けるのは、なんと言っても5リッターの排気量を持つ、自然吸気のV型8気筒「2UR-GSE」ユニットの存在です。
その最高出力は481ps/7100rpm、最大トルクは540Nm/4800rpmを発揮。数字だけを見ればもっとパワフルなプレミアムスポーツはありますが、過給機はおろか、一切の電動化もなされない純粋無垢な大排気量エンジンの質感は、オーナーに最高の昂揚感を与えてくれます。
コールドスタート(エンジンが冷えた状態からのスタート)からインパネのボタンをプッシュすると、空気を切り裂く咆哮でこのV8が目覚めます。そこから一瞬のうちにアイドリングが落ち着き、何事もなかったかのようにLC500 コンバーチブルは走り出します。
エンジンはそのメカニカルノイズを僅かにキャビンへと伝えて来ますが、それすらもひとつの魅力。アクセルを踏むとその鼓動がスッと落ち着き、芳醇なトルクで滑らかにタイヤを転がします。
街中をゆっくりと流しながらセンターコンソールのボタンを押せば、一瞬のためを伴ってフロントフックが外れ、約15秒でオープンボディのできあがりです。エアコンディショナーの温度を上げて、ネックヒーターを効かせれば、頬を刺す冷たい空気さえもが心地よいエンターテイメントに変わります。

感動は、ここから。高速道路の合流で流れに乗るために、ステアリングの左側パドルで10速ダイレクトシフトATのギアを素早くふたつ落とし、アクセルを踏み込むとドラマが始まります。
それまで昂ぶりを抑えていたエンジンはここぞとばかり、電光石火の変速でV8ユニットをパワーゾーンに押し上げます。そのときに“ゴフッ!”と湧き上がる、強烈な吸気音。右足の踏み込み量に応じてトーンを上げて行くエキゾーストノートは、極めて官能的です。
そこにはスピードだけでは語れない、過渡領域を味わう美学があります。LC500は2026年をもって生産終了予定と言われています。その理由こそ、まさにこのV8ユニットの環境性能適合が難しくなっているからですが、だからこそ安易な延命措置を施さず、この素晴らしさを純粋なまま味わい尽くそうとする、レクサスの姿勢に筆者は共感します。
アクセルを踏めば「別世界」へ!? メルセデスAMGの“凄まじい二面性”
メルセデスAMGのCLE53 4MATIC+カブリオレに乗り換えてまず感動させられるのは、圧倒的なボディの重厚感です。
車輌重量はレクサス LC500 コンバーチブルの2050kgに対して、わずかに40kg重たい2090kg。にもかかわらずCLEカブリオレは、どっしりと大地に根を下ろしたかのような安定感を放っています。

その理由のひとつは、後輪駆動をベースとしながらも、CLE53 カブリオレが「4MATIC+」を搭載しているからでしょう。前後トルク配分は、0:100〜50:50の間でフレキシブルに可変します。
常用域では恐らくほぼ後輪駆動となっているため、フロントへのトルク配分はあってもごく僅かでしょう。にも関わらず乗り味が重厚なのは、フロントアクスルの重さが接地感を高めているからでしょう。
対してパワーユニットは、拍子抜けしてしまうほど静かです。
しかし、その静けさにも理由があります。エンジンは、3リッターの直列6気筒。ここに電動スーパーチャージャーとターボを組み合わせ、さらにISG(インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター)を全域で作動させて、滑らかな動力性能を実現します。
普通に走らせる限り、その乗り味は恐ろしくシームレス。車体の遮音性の高さも相まって、ソフトトップであることを忘れてしまうほど快適な室内空間が演出されます。
しかしひとたびアクセルを踏み込めば、別世界が訪れます。
特にモードをデフォルトの「コンフォート」から「スポーツ」、そして「スポーツ+」へと転じて行けば、それまでの静けさが嘘のようなエモーショナルさを味わえます。その変貌ぶりは、LC500 コンバーチブルよりも遙かに極端です。
アクセルの踏み始めからラグなく加速が盛り上がるのは、スーパーチャージャーとモーターのレスポンスでしょう。そして高回転になるほど、ターボの過給がパワーを乗せて行きます。
かつてのV型6気筒時代を経て直列6気筒へと回帰したエンジンは、惚れぼれするほどスムーズに回り、高回転でパワーを発揮します。そしてこの力強くも上質なアウトプットを4MATICのトラクションが精緻に受け止め、ライントレース性を高めてくれます。
センターの定まったハンドリングは、極めてメルセデス的です。LC500 コンバーチブルの、軽やかで切れ込むような操舵感。カーボンやアルミを多用した軽量かつ低重心な車体設計と較べ、そこにはどこまでも安定感を失わない、メルセデス流の頑固さが垣間見れます。
共に後輪操舵を備えていますが、より積極的にコーナリングの楽しさを追い求めるLC500 コンバーチブルに対し、CLE53 カブリオレは極めて安定志向。超高速域まで見据えるメルセデスと、現実的な領域から五感を刺激するレクサス。その違いが、ハンドリングには色濃く表れています。
どちらをよしとするかは、ブランドステイタスも含めて完全に好みの問題でしょう。
個人的には街中からハイスピード領域まで甘美なV8エンジンの質感と、これを持て余さずに楽しませてくれるシャシーを持った、レクサスLC500のアナログ感に惹かれます。
かたや珠玉の直列6気筒エンジンに最上級の過給システムと電動化技術を与え、プレミアムスポーツの未来を提案するメルセデスのデジタル的な姿勢には感服します。
そしてどちらもオープントップを開け放てば、そんな理屈さえ吹き飛んでしまうほどの魅力の持ち主です。カブリオレには、単なる速さや効率だけでは語れない、人生の豊かさがあるのです。
