シーイン とテム、米でGoogle広告ゼロに 格安ECの正念場

記事のポイント
関税優遇の終了によりシーインは広告出稿を停止し、インプレッションはゼロに。
テムも同様にGoogleショッピング広告を打ち切り、価格と広告戦略を大幅に見直した。
両社はMetaなどへの巨額広告出稿で急成長を遂げ、広告費高騰の主な要因とも指摘されてきた。
関税優遇の終了によりシーインは広告出稿を停止し、インプレッションはゼロに。
テムも同様にGoogleショッピング広告を打ち切り、価格と広告戦略を大幅に見直した。
両社はMetaなどへの巨額広告出稿で急成長を遂げ、広告費高騰の主な要因とも指摘されてきた。
シーイン(Shein)は、関税による値上げ後に、米国でGoogleショッピングへの広告支出をゼロにまで減らしたようだ。新たなデータから明らかになった。
これはすでにある程度進行中のことだった。米国のGoogleショッピングの広告におけるシーインのインプレッションのシェアは3月31日の20%から4月15日の10%、4月26日の0%へと低下していた。「シーインは、オークションで姿を消すだろうと予想していた。実際にシーインは最終的に広告を打ち切った」とティヌイティの調査担当バイスプレジデントであるアンディ・テイラー氏は語った。
デミニミスの恩恵を受けてきた2社
これらの数字は、シーインとテム、双方の米国における広告戦略の時宜(じぎ)にかなった変化を示唆している。激安の中国製品をおもに販売するシーインとテムは何年も、800ドル(約11万5000円)未満の輸入品は関税免除になる抜け穴的なデミニミスルールの恩恵を受けてきた。この免税措置は、ドナルド・トランプ米大統領の大統領令で5月2日に中国本土と香港が対象外となる。今後は米国への出荷に必要な費用が大幅に増えるため、シーインとテムは広告戦略の変更を迫られた可能性がある。
米国のGoogleショッピングにおけるシーインの広告インプレッションが0%に低下した前日の4月25日に、シーインは米国での価格を377%も値上げした。テムも、中国に対する追加関税がおよそ145%になる約2週間前に、米国でGoogleショッピングでの広告を打ち切った。米国のGoogleショッピングでの広告インプレッションにおけるテムのシェアは、3月31日の19%から4月9日の10%、4月12日の0%へと推移していた。
広告費の削減については、「両社によるこうした動きの背景に関税があるのは明確だ」とティヌイティのテイラー氏は述べた。
Googleにとっても重要な収入源に
Googleショッピングの広告は全体として、これまでテムとシーイン両社の広告戦略の「重要な一部」だった、とテイラー氏は指摘した。企業は従来、Googleショッピングの広告を利用して自社製品の可視性を高めてきたが、これは、Googleショッピングの広告の結果が、オーガニックな検索結果の前に表示されるからだ。ティヌイティのデータによると、米国のGoogleショッピングの広告におけるテムのシェアは、(テムが大々的なマーケティングキャンペーンに乗り出したのとほぼ同時期の)2023年第4四半期には29%にも達していたという。ティヌイティは、シーインについてはこうしたデータを有していない。
広告は、2ドル(約290円)のシュシュや10ドル(約1440円)のワンピースのような超低価格の商品に加えて、シーインとテムの急速な台頭の鍵だった。JPモルガン(JP Morgan)の推定では、2023年第3四半期には、Facebookとインスタグラム(Instagram)の広告に対するテムとシーインの支出はそれぞれ6億ドル(約860億円)と2億ドル(約290億円)だった。2023年10月には、メタ(Meta)の最高財務責任者、スーザン・リー氏が、「ほかの市場の顧客にリーチしている中国の広告主による支出から利益を得てきた」と述べている。中国で創設されたが現在はシンガポールに拠点を置くシーインは、そのグループに含まれると思われる。
広告費高騰の要因に
このこととは別に、シーインとテムはデジタル広告の情勢を根本的にシフトしてきた。2023年11月には、Etsy(エッツィー)のCEOが、Googleとメタについては特に、テムとシーインが「ほぼ単独で広告のコストに影響を及ぼしている」と断言した。また、ギャップ (GAP)やルルズ・ファッション・ラウンジ・ホールディングス(Lulu’s Fashion Lounge Holdings)など多くの企業が、決算発表でシーインとテムの名を挙げていた。
「CAC(顧客獲得費用)は主要な変動要因で、シーインとテムの存在により、CACが大幅に引き上げられてきた」とマーケットプレイスパルス(Marketplace Pulse)の当時のCEO、ジュオザス・カジウケナス氏は、以前にModern Retailに語っている。
[原文:Shein’s impressions on Google Shopping ads in the U.S. have now dwindled to zero]
Julia Waldow(翻訳:矢倉 美登里/ガリレオ、編集:戸田美子)
