男と女は全く別の生き物だ。それゆえに、スレ違いは生まれるもの。

出会い、デート、交際、そして夫婦に至るまで…この世に男と女がいる限り、スレ違いはいつだって起こりうるのだ。

-あの時、彼(彼女)は何を思っていたの…?

誰にも聞けなかった謎を、紐解いていこう。

さて、今週の質問【Q】は?

▶前回:「結婚しても仕事は続ける派?」3回のデートで将来設計まで聞いたのに、男がふられた理由




彼との関係を人に説明するならば、なんと言えばいいのだろうか。

「都合のいい関係」、もしくは「曖昧な関係」というのがしっくりくるかもしれない。

正樹とデートを繰り返して、もう半年になる。

向こうから連絡も来るし、2週間に一度くらい会ったりもしている。正樹が私に特別な感情を持ってくれていることはわかる。

だが何度会っても彼の気持ちがわからない。

「優里亜ちゃん、次はいつ会える?」

別れ際にそう聞いてきた正樹に、私は耐えきれず聞いてみた。

「正樹くん、私のことどう思ってるの?」
「どうしたの、突然。2人きりで会っている時点で、答えは出てるじゃん」

そう言われると、何も言えなくなる。

でも家に帰って、もう一度冷静になると悶々とした気持ちだけが募っていく。結局私は、彼にとってどういう存在なんだろう…。


Q1:最初に男が女に思ったことは?


正樹と出会ったのは、知り合いが開催してくれた2対2の食事会だった。女友達の綾子が連れてきてくれたのが正樹で、最初から「かなり稼いでいる経営者だよ」と聞いていた。

でも食事会にやってきた正樹は想像以上にラフで、ブランド物ではあるけれど控えめなロゴが入ったパーカにデニム、スニーカーという姿だった。

そして食事会が始まってからしばらくすると、正樹が不意に会社名を教えてくれた。その社名を聞いて、私はびっくりしてしまう。

「え…!正樹さんって、あの会社の社長さんなんですか?」
「一応ね…。って、別にそんなことはどうでもいいんだけどさ」

正樹の会社は、ビジネスにそこまで詳しくない私でも聞いたことがある会社だった。

「優里亜ちゃん、LINE教えてよ」
「もちろんです!」

こうして、私たちは連絡先を交換した。そして翌日すぐに連絡が来たので、私たちはデートをすることになる。

初デートで正樹が予約してくれていたのは、麻布十番にある『NUAGE ET VENT』。店内に一歩足を踏み入れた瞬間から、完全に舞い上がってしまった。




「素敵…!初めて来ました♡」
「良かった。最近、経営者仲間に連れてきてもらったんだけど、それ以来気に入っててさ」

お料理も素晴らしく、豪華な一皿にひたすら目が輝いてしまう。

「優里亜ちゃんって可愛いね」
「全然ですよ。正樹さんなんて、私より可愛い子たくさん知っていそうなのに…」
「そんなことないよ。僕、意外に遊ばないから」
「そうなんですか?」
「仕事が意外に忙しくて…。気がつけば、35歳で独身だし」
「じゃあこれから、ですね」

『青鰻の土鍋ご飯』が運ばれてきたので、一旦スマホを持って写真撮影に集中する。でも同時に私は心の中で「あれ?これってチャンスかも?」と思っていた。




「ちなみに、正樹さんって結婚願望はあるんですか?」
「僕?そうだね、あるかな」

35歳独身、経営者。正樹みたいな素敵な男性を、世の中の女性が放ってはおかないはず。だからなんとしてでも、ステディな関係になりたい。

「私、次に付き合う人とは絶対に結婚するって決めているんです」
「そうなんだ。なんで?まだ若いのに」
「もう29歳ですよ?30歳になるまでに絶対結婚したくて」

周りは続々と結婚している。私の中でリミットもあるし、本気で結婚したいと思っていた。

「正樹さんの周りって、結婚されている人多いですか?」
「どうだろう…半々くらいかな。でも意外にみんな若いうちに結婚するか、仕事で成功してからの2パターンが多いかも」
「経営者の方って、そうなんですね」
「まぁ離婚で揉めたり、いろいろあるみたいだけど」
「お金があると大変ですよね…」

そんな話をしているうちにあっという間に時間が過ぎてしまい、私たちはレストランを後にする。

「正樹さん、また会えますか?」
「もちろん。連絡するよ」

正樹は言葉通り、帰宅後すぐに連絡をくれた。

そしてまた2週間後も会うことになったのだけれど、ここから永遠に進展しないのではないのか、と思うような関係が続いていくことになる。


Q2:男が女との関係性を進めない理由は?


気がつけば、正樹とデートを繰り返すようになって3ヶ月が過ぎようとしていた。でもそろそろ、私も気がつき始めた。

― あれ?この関係ってなんだろう?

正樹はいつ会っても紳士的で優しい。毎回食事も奢ってくれるし、会話もスマート。

でも食事だけで解散することが多く、私の家はもちろんのこと、彼の家にも一度も行っていない。

そう思っていた矢先、21時過ぎにスマホが鳴った。

― Masaki:優里亜ちゃん、お疲れ!今目黒で飲んでいるんだけど、来れたりしないよね?友達といて、良ければ紹介したくて。

私の家は目黒だ。それを知って私のことを誘ってくれたのだろう。

― どうしよう…。時間も微妙だし、でも行けるし…。

しかも「紹介したい」と言ってくれている。これはかなり大きな一歩だと思う。彼に近づくためには、友人や周りの人たちと仲良くなっておいて損はない。

そう思い、私は慌てて化粧をしなおして目黒の『ANOTHER8』へと繰り出した。




カジュアルでおしゃれな人たちが集うお店に着くと、奥のほうに正樹が見えた。

「優里亜ちゃん、こっちこっち。突然呼び出してごめんね」
「いえいえ、ちょうど家にいたので良かったです」
「こちら、友達の雄也。こちらが優里亜ちゃん」

正樹に紹介され、私と雄也はお互い頭を下げる。

「雄也が、今度新しくゴルフ系のアパレルを始めるらしくてさ。優里亜ちゃん、ゴルフするよね?優里亜ちゃんはフォロワーも多いし、何か繋がるかなと思って」
「私でお役に立てるのかどうかわからないですけど…」

雄也の仕事の話を聞いていたけれど、結局そんなのは10分くらいで終わり、その後は普通に飲み始めた私たち。




「雄也、優里亜ちゃん可愛いでしょ?元々芸能活動もしてたらしい」
「へ〜。すごい」
「そんな。昔の話ですけど」
「今は何をしているんですか?」
「普段は美容クリニックの受付をしています」

そんな会話をしながら、私はまたわからなくなる。

友達に紹介するということは、私のことを友達に話しているということ。

つまり彼は多少なりとも、私を“特別な女性”として見てくれているのだろうか。

「優里亜ちゃん、飲んでる?」

そう言いながら、そっと私に近づいてくる正樹。

― これは、どう捉えたらいいんだろう?

でも結局、この日も何もなく解散し、帰宅後に「ありがとう」とLINEが来て、1ヶ月後くらいにまたデートをした。

関係が進んでいないので、体目当てではないと思う。だからこそ、逆に目的がわからず私は悶々としている。

▶前回:「結婚しても仕事は続ける派?」3回のデートで将来設計まで聞いたのに、男がふられた理由

▶1話目はこちら:「あなたとだったらいいよ♡」と言っていたのに。彼女が男を拒んだ理由

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男が女に対して一歩進まない理由は?