溝はある新しいタイヤなのにグリップが下がる! 「タイヤがタレる」ってどういう現象?

この記事をまとめると
■「タイヤがタレる」とはタイヤの性能・パフォーマンスがダウンすることを意味する
■タイヤはゴム製品なのでタイヤの性能には熱が大きく影響する
■レースの世界ではタイヤマネージメントの上手なドライバーほど”強い”ドライバーとされる
タイヤは新品状態がもっとも優れた性能となる
「タレる」とは、辞書的に答えると「ひと続きのものの端が下の方へ低く、力なく下がる」こと。ズルズルと後退することや、「へこたれる」(もうだめだと思って元気をなくす。意志がくじけて弱る)ような状態を指すと思えばいい。
つまり、「タイヤがタレる」とは、タイヤの性能・パフォーマンスがダウンすること。

タイヤは新品を下ろしたときが一番パフォーマンスは優れていて、あとは使用するにしたがってどんどん性能が落ちていく。
その原因は熱であったり、摩耗であったり、路面の荒さ、運転の荒さ、クルマの重量バランスの悪さなどいろいろあるが、タイヤはゴム製品なので、やはり熱が大きく影響する。

ゴムは冷たいと固くなるので、冷たいときはグリップが低く、温まると柔らかくなって、グリップ力がアップする。
市販のハイグリップタイヤでいうと、タイヤの温度が60〜80℃ぐらいの時にもっともパフォーマンスを発揮出来るが、それ以上熱くなり過ぎるとゴムの組成が変化してパフォーマンスが落ちてくる。また、高温になることでゴムが柔らかくなりすぎ、変形してしまうことも性能低下につながる。
柔らかいタイヤは熱に弱く固いタイヤはグリップが低くなる
ちなみにゴムの沸点はおよそ120℃。タイヤを作る際には、天然ゴム以外に、合成ゴム、シリカ、カーボン等々の、さまざまな添加剤を配合して、高温(低温にも)になっても性能を発揮出来るよう工夫されているが、それでも熱が入りすぎると性能低下は避けられない。こうした熱の影響によるタイヤの性能劣化のことをサーマルデグラデーションという。

また、高いグリップを得ようとして、柔らかいゴム(コンパウンド)を使うと、温まりがいい代わりに、熱によるタイヤのタレ(サーマルデグラデーション)も早いし、摩耗も早くなる。摩耗が進むとタイヤの性能もダウンするので、これもタイヤのタレに輪をかける。
反対に、固いゴムを使ったタイヤだと、耐摩耗性もよく、熱にも強いかもしれないが、その分「喰わない」、つまりグリップ力の低いタイヤになってしまうので、旨味は少ない。
レースの世界では、ライバルよりソフトなタイヤを履いて、ハイペースで走り、なおかつそのタイヤを長持ちさせることができるタイヤマネージメントの上手なドライバーほど”強い”ドライバーで、車体側もタイヤへ依存度が低く、タイヤのタレが少ないのがいいマシン、いいセッティングの条件になる。

