三浦春馬さん

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“ビリーバー”の姿

 故・三浦春馬さん(1990〜2020)のプロフィールは今も、所属事務所だったアミューズの公式サイトに掲載されている。

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【画像】アミューズ公式サイトが掲載している「デマ情報を発信している書籍、Webサイト」リスト

 4月20日、アミューズの法務部が運営するTwitterに、次のようなツイートが投稿された。

《当社及び当社所属アーティストに関し、ありもしないことをあたかも真実かのごとく詳述して名誉を毀損している者について、昨日、東京地方裁判所において法的措置を取りました。この件についても、刑事事件として警察への告訴状又は被害届の提出を含め、さらに厳正な対処を検討しております》

 文中の《アーティスト》は、実質的に三浦さんのことを指しているようだ。

三浦春馬さん

 同月27日には《ファンの皆様 関係各位の皆様へ #三浦春馬 に関するお知らせを更新しました》とツイート。ここでリンクされたのは、「インターネット上における誹謗中傷、デマ情報について(2021年4月27日)」という記事だ。

 アミューズは三浦さんに関するデマに対し、強硬姿勢で臨む考えを明らかにした。記事では、《度を超えた誹謗中傷、デマ情報の拡散》が《ネット上で多く存在しております》と指摘。《デマ情報の流布》は、《信用毀損罪等の犯罪に該当する可能性があり、すでに警察への相談をさせていただきました》と警告を発した。

“闇の世界”

 注目すべきは《デマ情報を発信している書籍、Webサイト》というリストを掲載していることだ。ネットに詳しいライターが言う。

「リストには1冊の電子書籍、4本の動画、4つのサイトが実名で掲載されています。全て三浦さんに関するもので、他のタレントのものはありません。公式サイトの記事やリストは昨年10月20日に掲載され、今回は4月27日に更新されました。ツイートの内容と併せると、アミューズ側は警告の段階は終わり、法的措置を行使する時期に達したと判断したのでしょう」

 リストに掲載された書籍やサイトなどの内容を閲覧すると、あまりに荒唐無稽な内容に驚かされる。ごく一部だがご紹介しよう。

◆三浦さんの死後、アミューズは10億円とも20億円とも言われている“史上最大の口封じ”作戦を展開し、マスコミに「報道規制」を敷いた。ネットもワイドショーも三浦さんの死を報じなくなった。これだけの圧力はプロダクションのレベルを超えており、警視庁、国家、闇の世界も絡んでいることは明白。

◆三浦春馬さんは精神安定剤や睡眠薬を、Uber EATSを利用して購入していた。近年はUber EATSの競争激化から配達人が薬物を届けたり、暴力団組員がUber EATSの配達人に扮したりしている。

“イルミナティ”

◆三浦春馬さんはNHKの番組で「イルミナティのハンドサイン」を強要された。NHKを設立したのがアメリカCIA。CIAの背後にいるのがイルミナティ、ロスチャイルド家、ロックフェラー家、デュポン家などの軍産複合体、国際金融資本。三浦春馬さんはCIAとその背後のイルミナティに服従を強要されていた。

◆三浦さんの遺作「おカネの切れ目が恋のはじまり」では、TBSによる様々な嫌がらせが確認できる。例えば、着ていたTシャツには「87」と書かれているが、87は中国語で侮蔑的な意味を持つ。首に巻かれたチェーンは首つりを連想させる。不自然に痩せているし、目の下にアザらしいものも確認できる。第三者には分かりにくいような手口・内容で様々な罠を仕掛け、徐々に三浦さんの思考や自我、人格を崩壊させていった。

◆生前、三浦さんはラオスで小児医療などの援助を行っていた。その際、何度も現地と日本を行き来したため、ディープステート(闇の政府)について知りすぎてしまった。具体的には安倍政権によるODA不正還流の実態を知り、新聞社に告発。それを知った安倍政権が三浦さんの殺害を決定。官邸の強い要望で検事総長が更迭され、検察の正義が消滅。三浦さん殺害が実行され、自殺に偽装された。

心霊写真を信じた人々

 一般人は、「なぜこんなものを信じるのだろう」と驚き、場合によっては呆れるに違いない。

 こうした“陰謀論”がネット上で拡散され、一定の“信者”を獲得することが最近は目立っている。トランプ前大統領を支持するグループの一部が、陰謀論「Qアノン」に傾倒していたことは大きく報道された。

 一体、どんな人がネット上の陰謀論を信じるのか、ITジャーナリストの井上トシユキ氏に訊いた。

「日本では1970年代、心霊写真がブームになりました。霊が映っていると信じる人は、誰が反論しても考えを変えませんでした。テレビ局がプロの写真家に依頼し、トリックで同じ心霊写真を再現しても信じ続けたのです。現代のネットで拡散する陰謀論をファクトチェックで論破しても、『マスゴミが自分たちを攻撃してくる』と敵意を示すのと非常に似ています」

 これまでにもオウム真理教が陰謀論を展開し、最盛期には日本で約1万5000人の信者を獲得した。

脳内麻薬

 M資金詐欺に騙される人も後を絶たない。戦後、占領軍が日本で差し押さえた財産などを原資に、極秘に運用されているという秘密資金と言われる。もちろん全くのデタラメだ。

「陰謀論を展開する新興宗教の信者やM資金詐欺の被害者は、他人に騙されて信じました。ところが、心霊写真や陰謀論を信じる人は、誰の力も借りず、自分が積極的に荒唐無稽な内容を信じたわけです。主体性が強いですから、それだけ傾倒する度合いも強いと考えられます」(同・井上氏)

 ネットの発達も無視できない。昔なら知人に陰謀論を吹き込まれたり、怪しげな雑誌で記事を目にしたりしても、翌日には雑事に忙殺され忘れてしまうことも少なくなかった。

 だが、今ではスマートフォンやパソコンでネットにアクセスすれば24時間365日、どこでも陰謀論に触れることが可能だ。シャワーのように陰謀論を浴び続け、あっという間に信者と化してしまう。

「陰謀論は決してなくなりません。なぜなら、今も昔も論の根幹は、この世界に大半の人が知らない黒幕が存在し、世界を操っているというものです。非常にシンプルですから、大統領選から三浦さんの死まで、あらゆる事象を解説することができます。一度信じてしまうと、自分が選ばれた者として世界の秘密を教えてもらったような気持ちになるはずです。恐らく頭の中ではドーパミンなどの脳内麻薬が放出され、快感を得ているでしょう」(同・井上氏)

ネットとの親和性

 先に見たとおり、陰謀論は「この世界に黒幕がいて、世界を操っている」というシンプルな構造だ。

 複雑な論理展開などなく、難解な専門用語も使われない。三浦さんに関する陰謀論の一部をご紹介したが、「CIA」とか「ディープステート」という単語が共通していたことに気づかれただろう。

 そのため、荒唐無稽な主張を繰り広げるサイトを、検索エンジンで見つけやすいという傾向も存在する。例えば「ディープステート」という単語で検索してみると、陰謀論を展開するサイトがずらりと表示される。

「サイトが見つけやすいということは、信者によるコミュニティ形成も容易になるということです。信者がクラスターを構成すれば、カルト的な団体に発展する可能性は高まります。心霊写真を信じない大多数の人は陰謀論も信じませんが、少数の信者はネットで強く結びつき、陰謀論だけを信じるようになります」(同・井上氏)

 SNSが代表例だが、ネットは小さなグループを作ることが得意だ。

信者の“学歴”

「LINEやFacebookで数十人程度のグループを作り、連絡を取りあうのはごく当たり前の光景です。この規模は、陰謀論の信者が構成するグループの人数と似ています。インターネットが陰謀論の信者を生み出す原動力となっていることの、理由の1つでしょう」(同・井上氏)

 陰謀論を信じやすい人の特徴に“苦労人”という要素があるという。

「例えば、会社で出世街道を驀進している人が、陰謀論を信じる可能性は低いでしょう。自分の力が充分に発揮できているという自信があり、“世界を牛耳る黒幕”に邪魔されているというイメージに、関心を持つはずもありません」(同・井上氏)

 同じ会社員なら、上司に評価されず、人間関係に苦しんでいる人のほうが、陰謀論を信じやすいに違いない。

「世の中には『年収の低い無教養な人が陰謀論を信じる』というイメージがあります。しかし、実際は違います。社会的地位や年収、学歴という要素はあまり関係がありません。高学歴の人でも陰謀論を信じてしまうのは、オウム真理教が明らかにしました。それこそ、ある程度の知識や読解力がないと、陰謀論を理解することもできません」(同・井上氏)

信者の“職業”

 むしろ陰謀論との親和性は、自営業者や中小・零細企業の経営者、地方議員といった人々に高い傾向があるという。

「こうした人々は、自分1人が頑張れば全てがうまくいく、というわけにはいきません。社長なら社員の働きも影響しますし、議員は選挙の“風”に悩まされます。『自分はこんなに頑張っているのに、どうしてうまくいかないんだ』と苦悩が深まると、『世界は黒幕に支配されている』というイメージに惹きつけられてしまう。そして“闇の組織”を何とかしなければならないと、誤った正義感から危機意識を募らせてしまうのではないでしょうか」(同・井上氏)

デイリー新潮取材班

2021年5月17日 掲載