実際、雇用統計なども、コロナ禍の前の水準に比べればまだまだ回復には至っていません。そういう意味では、米国経済が強いとはいえ米ドルが一方的に買われて、それ以外の通貨が一斉に売られるような展開になるとは考えられません。円高要因も依然として残っているといって良いでしょう。ただ引き続き、円安要因となる金利の上昇には要注目です。
 
 そして、もうひとつ注目したいのが、ワクチン接種の進捗状況です。米国やEUでは、ワクチン接種が進み経済活動が再開しつつありますが、日本が緊急事態宣言を解除できるかどうかも、ワクチン接種の動向に大きく左右されることになります。仮にワクチン接種が進まなければ、日本円は大きく売られる可能性もあります。感染者数の増加とワクチンの接種比率が上がるかどうか・・・。5月はその点にも注目すべきでしょう。
 
 ――各通貨の予想レンジは? 
  
 インドの変異種を始めとして、世界の新型コロナウイルスによる感染者数は、いままさにピークに達しつつあります。新型コロナによるパンデミックの中で、景気の先行きがどうなるのか、為替がどう動くのかは非常に不透明と言って良いでしょう。5月の各通貨の予想レンジは次の通りです。
 
●ドル円・・1ドル=108円−111円 
●ユーロ円・・1ユーロ=129円−133円 
●ユーロドル・・1ユーロ=1.18ドル−1.22ドル 
●英国ポンド円・・1ポンド=148円−153円 
●豪ドル円・・1豪ドル=83円−85円50銭 
 
 ――5月相場で注意する点を教えてください。 
 
 5月は、FOMCやECBの理事会、そして、日本銀行の金融政策決定会合もないため大きな変化は考えにくいはずです。ただ、平穏な1カ月となるかどうかはコロナの感染者数の動向によって左右されると考えられます。たとえば、この5月3日に発表された4月の「米ISM製造業景気指数」は60.7となり、予想の65.0を下回りました。アメリカ経済もコロナ禍の影響で順調に景気回復しているとは言い難く、もうしばらくはまだら模様と言っていいかもしれません。
 
 日本国内の動きとしては、東京五輪の開催期日が迫ってくる中で、5月はワクチン接種が軌道に乗って来るかどうかの分岐点になると思います。5月もワクチン接種が想定よりも進まないようだと、日本経済の先行きに不安が出て円が売られて円安方向へ進み、逆にワクチン接種が順調に進む兆しが見えれば円高方向へと振れる可能性があります。
 
 とはいえ、一方通行的な円安や円高の可能性は低いため、ポジションを細かく分散するなど、調整しながら投資を継続することが重要です。ポジション管理を徹底して、思い込みだけで投資に走らない方がいいかもしれません。(文責:モーニングスター編集部)