日本がゴールデンウィークの期間中、為替市場は徐々にドル高円安に振れたものの、大きな変動幅はなく静かな市場の動きとなった。5月はどんな相場になるのか・・・。外為オンラインアナリストの佐藤正和さん(写真)に5月の為替相場の行方をうかがった。 

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 日本がゴールデンウィークの期間中、為替市場は徐々にドル高円安に振れたものの、大きな変動幅はなく静かな市場の動きとなった。過去のゴールデンウィーク中に見られたような仕掛け的な大きな変動幅もなく、コロナのパンデミックが続く中で為替市場は比較的穏やかな動きになってといっていいだろう。東京五輪が近づく中で一向にワクチン接種が進まず、感染者数も増え続けている日本だが、5月はどんな相場になるのか・・・。外為オンラインアナリストの佐藤正和さん(写真)に5月の為替相場の行方をうかがった。 
 
 ――米国経済の回復が顕著になっています。ドルが買われるのでしようか? 
 
 たとえば、最近発表された景気指標のひとつに「S&P・コアロジック/ケース・シラー・住宅価格指数」というのがありますが、2月の指数は前年同月比で11.9%の上昇となりました。住宅価格が、このコロナ禍の中で2桁を超える伸びになったわけです。
 
 これは2006年以来の上昇幅となり、歴史的にも住宅価格の力強い回復を物語っています。背景には低い住宅ローン金利と物件の在庫不足がありますが、それだけ景気回復を物語る数字といって良いでしょう。アメリカの木材需要が旺盛で、日本の木材供給がひっ迫しているという報道もあるぐらいです。
 
 そうした米国経済の好調さに加えて、コロナの感染者数の減少などが影響して、ここのところドル高円安が続いてきました。ただ、4月の第2週にはアメリカ金利の下落などとともにドルが売られ、円も久々の107円48銭まで上昇。景気が不安定なときには円高になるのが、これまでの常識でしたが、その円高も長くは続きませんでした。米国のワクチン接種の進行状況や金利の上昇などを踏まえて、ゴールデンウィーク中にドル円相場は再び1ドル=109円台にシフトし、また元の水準に戻りつつあります。
 
 ――米国経済の強みと言うのは、やはりワクチン接種なのでしょうか? 
 
 バイデン政権が誕生して100日を経過したのですが、その間最も大きな成果と言えるのが、コロナワクチンの接種を積極的に実行したことだと、バイデン大統領自身も胸を張っています。確かに感染者数も大きく減少しており、経済回復の原動力になっています。最近では、7月4日の独立記念日までに成人の7割が1回目のワクチン接種を終えることを目標にすると宣言しており、そのスピードはさらに拍車がかかっています。
 
 そして、忘れてならないのは、バイデン政権が打ち出している異次元の大規模な経済政策です。バイデン政権は1月20日の就任以来、新型コロナウイルスに対応するための経済対策として1兆9000億ドル(約207兆円)を実施し、さらに、4月には2兆2500億ドル(約245兆円)のインフラ整備計画を打ち出しました。加えて「ファミリープラン」と呼ばれる米国の家族のための計画と題した1兆8000億ドル(約196兆円)のプログラムも打ち出しています。
 
 これら3つの経済政策によって、米国政府は「大きな政府」に方向転換することになるわけですが、これらが実現すれば米国経済の景気回復には大きな追い風になるはずです。為替相場では、引き続き米ドルが買われることになると思います。ただ、当然のことながら増税の動きが出ており、一部の富裕層に対する増税に限定されるようですが、米国議会がどんな結論を出すか、注目しておくべきでしょう。
 
 ――5月相場で最も注目すべきことは? 
 
 全体の流れとしては、やはり米国経済の強さが際立っていると思いますが、4月27−28日に行われた「FOMC(連邦公開市場委員会)」で、パウエルFRB(連邦準備制度理事会)議長が述べた内容を見ると、「一部の資産価値は高く、幾分のフロス(泡立ち)を確認するものの、テーパリング(緩和の段階的縮小)について議論する時期が来たら議論する」という表現にとどめました。現在の金融緩和政策が続くことを意味しています。