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『装甲騎兵ボトムズ』シリーズの映像作品全てを収録した『装甲騎兵ボトムズ Blu-ray Perfect Soldier Box』が2月25日に発売。『装甲騎兵ボトムズ』シリーズのさまざまな角度から作品の魅力を探っていく短期連載企画の第2回目は、壮大なサーガの始まりでもあるテレビシリーズに注目、主人公キリコ・キュービィーのドラマについて掘り下げていこう。

テレビシリーズ『装甲騎兵ボトムズ=ボトムズ』は、アストラギウス銀河でギルガメス連合とバララント同盟による、およそ100年続いてきた第3次銀河戦争=百年戦争の終結から始まり、主人公キリコ・キュービィーが4つの舞台を渡り歩きながら進行していく。それぞれの舞台は、過去を持たず戦いしか知らない ”虚無” な兵士として生きてきたキリコが、再び人間性を回復させながら自分が何者であるかを見つけるために巡るべき場所として用意される。

”虚無” の存在だからこそ人との関係性を持つことができないキリコは無表情で無口な存在であり、その心情は全編を通して語られるモノローグでしか確認することができない。このスタイルはキリコというキャラクターを見事に表現すると共に、『ボトムズ』という作品にハードボイルド的なイメージを与えることに成功している。

第1部「ウド編」は、脱走する形で軍から離れたキリコが惑星メルキアにあるウドの街にたどり着くところから始まる。
かつて工業都市として栄えていた惑星メルキアの街・ウドには荒くれ者、さらに戦争が終わって職を失った兵士たちが流入し、アーマードトルーパー=ATを使った格闘賭博「バトリング」が栄える渾沌としたエリアとなっていた。キリコはここで人生を大きく変える人物たちと出会うことになる。

まずは底辺の街に暮らしながらも腐らず、前向きに逞しく生きようとする彼を支えてくれる仲間たち――ブローカーのゴウト、その知り合いであるバニラやココナとの出会い。そして、脱走のきっかけを作ったパーフェクトソルジャー=PS・フィアナとの再会。”虚無” だったキリコの中に人間らしい友情と恋愛に近い感情が生まれるが、ウドの街が崩壊して仲間と離れ離れになった彼は再び戦場へと戻ることになる。

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第2部「クメン編」の舞台は惑星メルキアの赤道直下にある独立国家クメン王国。国内では急激な近代化を進める政府側と近代化に反対する王族と農民たちが手を結ぶ「神聖クメン王国」の2派に別れる形で争いが続いている。キリコは、巨大な運河が流れる熱帯雨林のジャングルと泥濘な湿地帯に囲まれた、過酷な自然環境での戦いに傭兵として身を投じていくことになる。

ここでキリコは、傭兵仲間のル・シャッコ、ポル・ポタリア、ブリ・キデーラと出会う。一緒に死線をくぐり抜ける戦友との関わりは、ゴウトたちとはまた違う仲間意識をキリコに芽生えさせる。さらにウドの仲間たち、フィアナとも再会。キリコは、戦場で再び人間性を失うこと無く、むしろ新たな変化のきっかけを作ったと見ることができるだろう。
その一方では、もうひとりのPS・イプシロンが登場。イプシロンはフィアナに特別な感情を持ち、キリコに強い敵対心を抱く。フィアナを巡る三角関係もまた、キリコが人間性を取り戻す要因となっていく。

シャトルでクメンを脱出したキリコとフィアナは宇宙へ向かい、物語は第3部「サンサ編」に。2人は「大いなる意思」によって謎の宇宙艦へと移送され、そこでキリコは精鋭部隊「レッドショルダー」所属時の残酷な過去を突きつけられる。辛すぎる過去と向き合うことをせず、心に蓋をして無感情に生きていたはずのキリコが、ここではトラウマに苦しむ姿を見せることに。一方、無人の宇宙艦でフィアナと2人きりの時間を過ごしたキリコは、彼女を普通の人間に戻すという未来も見据え始める。

その後、キリコたちを載せた宇宙艦は、惑星サンサに落着。そこで、キリコはレッドショルダーに家族を殺され復讐心に駆られる女性・ゾフィーに執拗に命を狙われる。しかしキリコは自身を殺そうとする相手に対して、慈悲の心さえ見せるようになる。サンサ編では、ついにキリコが人間的な心を取り戻した姿を描いているのだ。
一方でキリコは、戦闘の中でPSに匹敵する強さを見せ始める。人間的ではない、本来の自分を意識するようになるキリコだが、そんな状況の中でも彼にとって最も重要なことは、フィアナと共に生きることにあった。彼女を救うため、キリコはイプシロンと最後の死闘を繰り広げることになる。

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PSを倒すほどの力を持つキリコは、「大いなる意思」に選ばれた存在だった。キリコをずっと観察し続けてきた人物であるロッチナは、それを確信してキリコをかつて超古代文明が存在したという惑星クエントに向かわせる。
そこにはかつて、優秀な能力を持つ進化した人類=「異能者」が存在していた。彼らは全銀河を統治しようとしたが、成し遂げられず自らの意思と記憶を原形記憶装置に残し、大いなる意思=「ワイズマン」となって文明を裏から操っていた。そして、キリコはワイズマンに選ばれた「異能者」の後継者だったのだ。
テレビシリーズの末尾を飾る第4部「クエント編」では、「異能者」としての力に目覚めたキリコが「人間」と「神」のどちらの立場を選ぶのかがドラマの大きな柱となっていく。

一見『ボトムズ』はミリタリー的な要素を多く持つ「戦争アクション」というイメージがある。しかし、このようにキリコの巡る道程にスポットを当てると、心を失った神に最も近い男が純愛に目覚め、人間として生きる戦いを描いた物語であることがわかる。この壮大な男の旅路こそが『ボトムズ』という作品の大きな軸となっているのだ。

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