29日、毎年恒例となっているヤクルトのマスコット・つば九郎契約更改が行われた。自身初となるダウン提示に肩を落としたつば九郎は、「ぎゃんぶるであてる!」と減額分の取り返しに闘志を燃やした。

 つば九郎契約更改が始まったのは、2009年のオフのこと。ここでは、寂しいオフの期間に様々な話題と笑いを届けてくれたつば九郎契約更改を振り返っていきたい。

【2009年】

12月25日 契約更改

☆年俸2896円プラス出来高の複数年契約

[出来高内容]

・バック宙ができるようになったら2896万円アップ

・主催試合2000試合連続出場達成で大幅アップ

・WBC日本代表の公式マスコット選出で大幅アップ

・子供を泣かせたらダウン

・ペンギンと間違えられたらダウン

・妹のつばみをいじめたらダウン

 交渉直前、石川雅規に秘策を聞くと「とにかくお願いすること」とお辞儀作戦を伝授される。アドバイス通り、社長に「なんでもいたします。ふくすうねんでおねがいします」とお辞儀作戦で要望し、見事複数年契約を勝ち取った。記者会見場に満足そうな表情で登場したつば九郎は一言「すぐおした」。来年の目標を聞かれると「にほんいち」と即答した。

【2010年】

12月17日 契約更改

☆年俸8960円プラス出来高、ヤクルト飲み放題

[新たに結んだ出来高内容]

・フジテレビ「笑っていいとも!」テレフォンショッキング出演で大幅アップ

・テレビ朝日「ちい散歩」とのコラボ実現で大幅アップ

・TBS「サンデーモーニング」にて張本さんにアッパレをもらったら大幅アップ

・NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」に取り上げられたら大幅アップ

・テレビ東京「ワールドビジネスサテライト」で特集されたら大幅アップ

 選手から借りた(ロッカールームから勝手に持ちだした)エルメスのネクタイを締め、強気のつば九郎。自身が東京の各所を回る街ブラ企画『つば散歩』で23区を踏破したことや、グッズの売上が3倍増になったことから「ねんぽう おおだい きぼう」と社長に直訴するも、「子どもやつばみを泣かせたり、いまだにペンギンと間違われたり、問題もあったようだが…」と逆に減点ポイントの指摘を受け、結局前年の約3倍増となる年俸8960円プラス出来高とヤクルト飲み放題でサインした。

 つば九郎は「(希望の大台1万円には乗らなかったが)らいきがんばる」とし、「すぎうちくんも はんおそう」と当時ソフトバンクとの契約で揉めていた杉内俊哉(現・巨人)を諭すような余裕も。来季の目標については「ちーむは びーるかけ したいです。こじんてきには、にしあざぶのちあんをまもります」と語った。

【2011年】

12月21日 契約更改

☆年俸1万円プラス出来高、ヤクルトとタフマン飲み放題

[出来高内容はこれまでと変わらず]

 CS含めた主催試合75試合に全試合出場し、ビジターゲームもCSを含めると13試合に帯同。『つば散歩』も14回こなし、都営大江戸線・都庁前駅の“一日駅鳥”を務めるなどの実績が高く評価されたつば九郎。金銭面ではマスコット史上初の大台“1万円越え”をはるかに超える2万8960円への大型昇給も検討されたが、またも子どもを泣かせたこと、つばみをいじめたこと、いまだにペンギンに間違えられたことの減俸要因が今年も適用されたほか、一部選手から「1500円くらいでいいんじゃないか?」という声もあり、最終的に金額は1万円で落ち着き、新たにタフマンの飲み放題を付けることで落ち着いた。

 ついにマスコット史上初の大台突破となる1万円を勝ち取ったつば九郎は「おかねのことより こころをひとつに! がことしのてーまだから、ふろんとのみなさん ちーむのみんなのきもちがうれしかった」と喜びを語った。年俸の使い道を尋ねられると「ありま(有馬記念)で ばい(倍)。そして にしあざぶへ」。来季の目標は「まずは ゆうしょう! いいおよめさんをみつける」と答えた。

【2012年】

12月26日 契約更改

☆年俸1万円プラス出来高、ヤクルト400とタフマン飲み放題、遠征時のビールピッチャー3杯

[出来高内容は変わらず]

 プロ20年目のシーズンを翌年に控えたつば九郎は「みんなの、こくみんてきつばくろうになるために、ますこっとしじょうはつの、FAせんげんをします!!! つばくろうのこときらいになっても、やくるとすわろーずをきらいにならないでね! ぺこり」と突然のFA宣言。同僚からは「出て行ってもらって全然OKだけど、出たら1年くらいで消えちゃうだろうから残ることを薦めます」(畠山)や、「出て行きたければ出て行けと。だらだらやるなら出ていって構わないですよ。自分で権利を行使したので。残ってくれなんて言わないです。残ったときは覚悟しておけよと。ビビっているみたいですけど(笑)」(宮本)といったシビアなコメントが寄せられた。

 日本でも屈指の人気マスコットのFA宣言は大きな反響を呼び、FC東京や川崎フロンターレといったJリーグクラブに加え、プロレス団体『ZERO1』など、多種多様な22団体がつば九郎の獲得に乗り出すも、12月26日に残留を宣言した。残留の決め手を聞かれたつば九郎は、「みやもとさんを てぶらで かえすには いかないでしょ」と答えている。ちなみに、年俸は前年から289.6%アップの2万8960円を提示されたが、つば九郎は自ら「このそうどうで めいわくをかけたので」とアップを断り、現状維持の年俸1万円での残留を決めている。

【2013年】

2014年2月17日 契約更改

☆年俸1万2000円プラス出来高、ヤクルト400とタフマン、蕃爽麗茶の飲み放題付。

[出来高内容は変わらず]

 球団は12月27日に全選手との契約更改を終えたが、つば九郎は「おとなのじじょう」により翌年へ持ち越し。1月30日に交渉の場が設けられたが、合意には至らず。ACミラン入りした際のサッカー日本代表・本田圭佑の言葉を借りて「もうひとりの、こころのなかの、りとるつばくろうに、といかけたところ、なっとくするまでやっちゃいなよ!っと」と説明した。

 結局、自費キャンプで乗り込んだ沖縄・浦添の地で契約を更改。デビュー20周年を迎えるご祝儀も含め、20%アップの1万2000円で納得のサイン。「ことしできれば やくるとの CMに でたいです ごうりきちゃんと きょうえんです」とCM出演をアピールすると、社長も「ヤクルト本社に言っておきましょう」と乗り気な返答。これにはつば九郎も剛力彩芽さながらのダンスで喜びを表現した。

【2014年】

2015年1月29日 契約更改

☆年俸9000円プラス出来高、ヤクルト400とタフマンドライ飲み放題

 生誕20周年、成“鳥”を迎えたつば九郎だが、オフには激震が。FAで獲得した成瀬善久の人的補償ならぬ“鳥”的補償としてロッテから獲得を申し出られたのだ。結局、球団はそれを拒否し、つば九郎も「まり〜んずのみなさん。だんのむらしともかんがえましたが、つばくろうはちばくろうになりません!しょうがいつばくろうです。とりだけにちきんとおことわりします」と生涯ヤクルト宣言で残留が決定した。

 補償の問題で越年となっていた契約更改も、29日に完了。「おおばんぶるまいに、きたいします!」と球団に揺さぶりをかけたつば九郎であったが、チームが2年連続最下位に沈んだことや、昨年オープンしたグッズショップにオープン時とクリスマスの時にしか足を運んでいない点、多忙により『つば散歩』の回数が年々減ってきている点を指摘され、3000円ダウンの年俸9000円でサインした。初のダウン提示に「だうんしたせんしゅのきもちがわかった。(減俸分は)ぎゃんぶるであてる!!」と闘志を燃やしたつば九郎。15年シーズンはチーム共々巻き返しが期待される。

(※金額はすべて推定)