「仲良くできるのかな…」2頭目の犬を迎えるときに多い不安

2頭目の犬を迎える際、多くの飼い主さんが心配されるのが、「本当に仲良く暮らせるのか?」という点です。

特に、外で他の犬が苦手な子の場合は、不安が大きくなりやすいでしょう。ただ実際には、“外で出会う犬”と“家族として一緒に暮らす犬”は、犬にとって少し違う存在であることも多いように感じます。

散歩中には他の犬へ吠えてしまう子でも、一緒に暮らし始めた2頭目だけは受け入れ、“特別な存在”になっているケースは珍しくありません。

ただし、絶対にうまくいくとは言えませんが、毎日同じ空間で過ごし、少しずつ存在に慣れていくことで、家族の一員として受け入れていくのかもしれません。

中齢期から高齢期に子犬を迎えたことで、元気になる犬たち

診療現場で特に感じるのが、「2頭目が良い刺激になっている」というケースです。

実際に、中齢期から高齢期に子犬を迎えたあと、

表情が若々しくなった 散歩への意欲が増えた 動く時間が増えた 以前より活動的になった

と感じる飼い主さんは少なくありません。これは、必ずしも“べったり仲良し”だからとは限りません。

一緒によく遊ぶ関係になる子たちもいますが、それだけではなく、

「負けたくない」 「自分も動こう」 「何をしているのか気になる」

という、“張り合い”のような形で、良い刺激になっているケースも多いように感じます。

実は「ライバル関係」も悪いことではない

「ケンカしませんか?」「仲良くなれなかったらどうしよう…」と相談を受けることもよくあります。もちろん、激しい争いが続く場合は注意が必要ですが、適度なライバル関係そのものは、必ずしも悪いことばかりではありません。

人でも、適度な競争や社会的刺激が若々しさにつながることがありますが、犬にも少し似た部分があるように感じます。

実際に、2頭で暮らしている犬は、日常の刺激が多く、

相手を意識する 動きにつられて自分も動く 生活に変化が生まれる

といった環境になりやすいため、高齢期でも生活に張りがある印象を受けることがあります。

個体差はありますが、1頭のみで静かに暮らす場合と比べると、刺激の多い生活になりやすいのは確かでしょう。

最初は仲良くなくても、年齢とともに関係が変わることも

2頭目を迎えた直後から、理想的な関係になるとは限りません。最初の数年間は、

一緒に遊ばない 距離を保って過ごす お互い干渉しない

という関係のまま過ごす犬たちもいます。

しかし、中齢期から高齢期にかけて、少しずつ一緒に過ごす時間が増え、穏やかな関係になっていくケースも少なくありません。

若い頃はお互いに主張が強かった子同士でも、年齢とともに関係が変化していくことは、実際によくあります。そのため、「理想どおりに仲良くなれなかった=失敗」と考えすぎる必要はないでしょう。

繊細な先住犬には“穏やかな性格の2頭目”を

ただし、どんな組み合わせでもうまくいくわけではありません。特に、繊細な先住犬の場合は、

押しが強すぎる 興奮しやすい 距離感が近すぎる

タイプの犬だと、ストレスが強くなってしまうことがあります。

そのため2頭目を迎える際は、犬種だけではなく、

穏やかさ 相手との距離感 相手の反応を見ながら接しやすい性格

を重視することが大切です。

“相性”は犬種だけでなく、個体差に大きく左右される部分だと感じています。

1頭でも、2頭でも、大切なのは「安心して暮らせること」

もちろん、すべての犬に多頭飼育が向いているわけではありません。1頭で飼い主さんと穏やかに暮らし、とても幸せそうな犬たちもたくさんいます。

ただ診療現場では、2頭目の存在が良い刺激となり、先住犬の生活に活気を与えているケースを多く見かけます。特別に仲が良くなくても、お互いを意識しながら暮らすこと自体が、犬たちにとって良い刺激になっているのかもしれません。

大切なのは、「無理に仲良くさせること」ではなく、それぞれが安心して暮らせる環境を整えてあげることなのです。


(獣医師提供:平川 将人)