関東地区大会準々決勝にDHで出場し、先制の適時打を放つ専大松戸・吉田選手(19日、千葉市美浜区のZOZOマリンスタジアムで)

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 守備につかない選手が投手の代わりに打席に立つ「指名打者(DH)制」が、今春から高校野球で導入された。

 千葉県内の高校も春の県大会や関東地区大会で、多くのチームが活用した。選手や指導者からは「投球に集中できる」「疲労軽減やけが防止につながっている」などと評価する声が相次いだ。(大治有人、吉持稀紘)

 19日に千葉市美浜区で行われた春の関東地区大会準々決勝。専大松戸は二回二死二塁のチャンスで、打席にDHの吉田颯人選手(2年)が入った。「自分の一振りで先制する」。浮いた3球目のスライダーを振り抜くと、打球は右翼前へ。先制適時打となり、吉田選手は仲間たちに向かって高々と右手を突き上げた。

 専大松戸は今春の選抜大会や県大会、関東地区大会の全試合でDHを起用した。右打ちや左打ち、バントなどの小技が得意な選手など、試合に応じて使い分けた。

 「守備で貢献できない分、打撃でチームを勝利に導きたい」と吉田選手。制度導入を機に、守備練習に使っていた時間の多くを打撃練習に充てるようになった。「守備の疲労が減り、打撃に集中できる。スイングが力強くなってきた」。春の選抜大会ではDHで大会史上初となる本塁打も放った。夏に向け、「甘い球をしっかりと打ち返す力など打撃の長所を伸ばし、甲子園優勝に貢献したい」と意気込む。

攻守両面で利点

 DH制導入は投手からも評価する声が上がる。専大松戸のエース門倉昂大投手(3年)は、従来15〜30分を打撃練習に充てていたが、現在は走り込みやピッチングの練習に時間を使う。門倉投手は「打撃練習で手をけがする可能性がなくなった」と喜び、試合中は「投手としての調整に集中できる」と語る。

 指導者歴が半世紀以上に及ぶ持丸修一監督は「DH制導入で攻撃の戦略の幅が広がった。投手の疲労軽減やけがのリスク低下にもつながる」と攻守両面でメリットを強調する。

48校中41校起用

 DH制はプロや社会人、大学野球で既に導入されている。日本高校野球連盟も暑さ対策の一環で、今春から全ての公式戦でDHを選択できるようにした。

 読売新聞のまとめによると、今春の県大会では48校中41校がDHを起用した。初戦で起用した40校のうち、中軸の3、4、5番に置く学校が半数以上(24校)を占めた。

 県内で24日まで開催された関東地区大会でも、県代表として出場した3校のうち、専大松戸(2試合)と拓大紅陵(1試合)は全ての試合、学館浦安は2試合中、初戦でDHを採用した。

 拓大紅陵の坂巻展行監督は「守備は苦手だが、打撃が得意など、選手の長所を生かした起用ができる」と話す。同校の二宮楽投手(3年)はDH制導入後、より長いイニングを投げられるようになったといい、「暑い日でも集中して準備できる。投手としてはとても助かっている」と語る。

 学館浦安のエース大家雅史投手(3年)は右ひざにけがを抱えており、「出塁すると走らないといけなくなる。負担軽減につながった」と振り返った。

 一方、DHは選手層が厚い強豪校ほど恩恵を受けやすいとの指摘もある。ある学校の監督は「うちは選手層が厚くないので、投手の打撃力にも頼らざるをえない。DHの恩恵はあまり感じられない」と吐露する。

夏も採用へ

 DH制は夏の県大会でも採用される。県高校野球連盟の沢村史郎専務理事は春の大会を振り返り、「選手の出場機会が増え、投手も投球に集中できた。いいことずくめだった」とし、「夏はさらに暑い中での試合になる。選手の負担軽減につながるはずだ」と話した。