宇宙飛行士・張洪章氏の帰還を喜ぶ親類や村民ら(29日、中国山東省鄒平の望京村で)=出水翔太朗撮影

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 中国の宇宙飛行士3人が29日、中国独自の宇宙ステーション「天宮」で過去最長となる7か月の滞在を終えて内モンゴル自治区の東風着陸場に帰還した。

 交代で別の3人が天宮に到着しており、将来の月面探査を見据えて1年間滞在する計画だ。中国の猛追を受ける米国では新型ロケット試験中に爆発する事故があり、月面開発競争への影響が懸念されている。(中国山東省鄒平 出水翔太朗、ワシントン 中根圭一)

 レンガ造りの住宅が並ぶ山東省鄒平の望京村では、村出身の宇宙飛行士・張洪章氏(40)の帰還を見届けようと、親類や村民ら数百人が広場に集まり、大型スクリーンに映し出された中継を見守った。張氏が帰還カプセルから姿を見せると歓声が上がった。

 中国科学院の研究員としての経歴を持つ張氏は昨年11月、軍出身の2人と共に天宮に到着、専門のリチウムイオン電池の実験などに従事した。帰還した張氏は中国中央テレビに、「宇宙強国、科学技術強国の建設に貢献し続ける」と述べた。いずれも習近平(シージンピン)政権が掲げる国家目標だ。

 張氏ら3人は当初、「神舟21号」で帰還予定だったが、予定を変更して急きょ打ち上げられた「神舟22号」で帰還した。中国側は緊急事態にも対応できると自信を深めている。

 交代で送り込まれた香港出身者を含む3人は25日、「神舟23号」で天宮に到着し、活動を本格化させた。そのうち1人は1年間滞在して、人体への影響などを調べる。2030年までの月面着陸を見据えた動きだ。

 一方、28年の有人月面着陸を目指す米国では28日、米宇宙企業ブルーオリジンの大型ロケット「ニューグレン」がフロリダ州の打ち上げ施設で爆発した。4回目の打ち上げに向けて、エンジンの燃焼試験を行っていたという。

 同社は米アマゾン・ドット・コム創業者ジェフ・ベゾス氏が設立した。実業家イーロン・マスク氏率いる米スペースXのライバル企業で、米主導の有人月探査「アルテミス計画」で月着陸船の開発企業に選ばれており、ニューグレンで月着陸船を打ち上げる予定だ。

 爆発の原因調査や打ち上げ施設の復旧に時間がかかるため、開発が当面中断する見通しだ。科学誌ネイチャーは29日、「米航空宇宙局(NASA)が中国に先んじて月面着陸を果たすための取り組みを遅らせる可能性が高い」と指摘した。