成田空港で撮影された益田和彦容疑者=栃木県警提供

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 栃木県上三川(かみのかわ)町の民家で親子3人が死傷した事件で、強盗殺人容疑で公開手配された男が、通信アプリで現場の指示役に4000万円の報酬を示唆するメッセージを送っていたことが、捜査関係者への取材でわかった。

 警察は「匿名・流動型犯罪グループ(匿流(トクリュウ))」が「標的」とする情報を共有して事件を起こしているとみて、警戒を強めている。

 栃木県警が29日に公開手配したのは、住所・職業不詳の益田和彦容疑者(48)。現場指示役とされる横浜市港北区の無職竹前海斗容疑者(28)を通じて、男子高校生らに事件を実行させた疑いがある。

 捜査関係者によると、益田容疑者は竹前容疑者と面識があり、事件前に秘匿性の高い通信アプリ「シグナル」や「テレグラム」で連絡していた。アカウント名は「カズ」で、窃盗の隠語を交え、「ルパンやる?」「1億40%」などとメッセージを送っていたという。

 警察当局は、益田容疑者が被害者宅に1億円の資産があるとの情報を入手した上で、知人の竹前容疑者に4割の報酬を示し、実行役の募集や管理を持ちかけたとみている。

 益田容疑者は事件3日後の17日、成田空港から出国した。竹前容疑者は同日、羽田空港で韓国行きの航空機に搭乗前に確保された。フィリピンのマニラに向かう予定だったという。

 益田、竹前両容疑者は以前、渡航先の東南アジアで知り合ったとの情報もあり、警察は今回の事件に至った経緯を調べている。

 益田容疑者は佐賀県出身。実家近くの高齢の女性は、「小中学校までは人懐っこい、誰とでも気さくにしゃべる子だった」と振り返る。父親の葬儀ではあいさつをしていたという。

 十数年前には同県内のタクシー会社で勤務し、数年程度で退社した。同社社員は「若いのに周りともうまくつきあっていた。無断欠勤もなかった」と語った。

 益田容疑者の母親は29日、取材に対し、本人と最近連絡を取ったとした上で、近況については「言えない」と話した。

 「なぜ被害者宅がターゲットにされたのか。背景の解明が欠かせない」。ある警察幹部は、今後の捜査のポイントをそう解説する。

 被害者宅周辺では事件の1週間前、盗難ナンバーを付けた軽ワゴン車にいた茨城県の男(41)が逮捕された。侵入用の工具も所持していたが、益田容疑者らとは別グループの下見だったとみられている。

 男が乗っていた軽ワゴン車と特徴が一致した車は、東京都新宿区の酒買い取り店で3月11日に起きた窃盗未遂事件の現場でも目撃されていた。同店では、4月7日にも強盗未遂事件があり、警視庁はこれまでに7人を逮捕している。

 3月と4月のグループは別とみられ、警察当局は窃盗や強盗の対象となる標的の情報を流している人物がいるとみて、各事件の相関関係を調べる。