【信州の桜物語】桜がつなぐ災害の記憶 土石流の直撃に耐え住民を守ったシダレザクラ 岡谷市豪雨災害から20年【長野】
シリーズ信州の桜物語。
20年前に岡谷市で起きた豪雨災害で、土石流の直撃に耐え、下流の住宅地を守ったとされるシダレザクラがあります。
今年も届いた桜の便り。見事な花を咲かせ、地域を彩っています。
諏訪湖を望む長野県岡谷市の湊地区にある船魂神社のシダレザクラです。高さ20メートル、幹回り3.8メートルの大木。樹齢は推定130年。岡谷市の天然記念物にも指定されています。
「毎年来ますね。必ず」
諏訪市から
「特に今年はいいみたいです」
訪れた人を魅了するシダレザクラ。地域の人たちにとっては、特別な存在です。
地元の人
「この桜に守ってもらった。ここで土砂とかたまっていたので祠(ほこら)は全部流されたけれど、これは何とか残っていた」
2006年7月19日。3日間降り続いた雨が引き金となり、岡谷市湊地区を土石流が襲いました。
征矢野泉記者(当時)
「すさまじい土砂がひとつの地域を押し流したような惨状です。ここに1軒の家があったということですが、跡形もありません」
船魂神社を直撃し、住宅地に押し寄せた土石流。
活動していた消防団員など、湊地区の住民7人の命を奪いました。
当時の住民
「地響きがして、ドドドドと(音が)した」
押し寄せた土砂は大型トラック1万2000台分。岡谷市では、住宅298棟が被害に遭いました。
そんな中…。
撮影・小口隆衛さん
「船魂神社境内です。跡形もなく、何もありません。石碑もひとつも立っていません」
土石流が発生した翌日、住民が撮ったビデオにシダレザクラが映っていました。
撮影・小口隆衛さん
「シダレザクラは健在です」
山肌をえぐり、木々をなぎ倒しながら、勢いを増した土石流。神社にあるシダレザクラを直撃しました。しかし、住宅密集地のすぐ上でシダレザクラは耐えました。傷つき、泥だらけになった桜の木。
土石流災害の後、住民たちはこの桜の手当てに立ち上がりました。
町内会長(当時)小口高弘さん
「幹を水洗いして、殺菌剤を塗って大きな包帯で手当てをした」
それから今年で20年。
秋の紅葉、厳しい冬にも耐えました。
雨が降っていた4月1日。船魂神社を訪ねると…。いつもより早く、花が咲き始めていました。そして、4月8日に満開を迎えました。
町内会長 花岡至さん
「今年は、2~3日で一気に花が咲いちゃいましたけどね。例年よりも1週間ぐらいは早いですからね」
約130年前に、地域の先人たちがこの地に植えて、その子や孫たちが大切に育ててきたシダレザクラ。
園児
「いいにおい」
「(桜の花)落ちていた」「へい~」
町内会長 花岡至さん
「このままでいてくれればと思うんですが、(樹木医が)だいぶ弱っているという。これをいかに長く続けるかということが、今一番やらなければいけないことかなと思う」
地域のよりどころとして、土石流に耐えたシダレザクラは大切に守られています。
今年は豪雨災害から20年の節目。
災害を知らない世代も増えています。そんな中、シダレザクラが、教訓を伝える存在にもなってほしいと、地域の人たちは話しています。
