友近 舞台で「老害」演じる。「個人的には〈おじさん〉ってすごく好き。誰かを老害だと思うこともあまりなくて…」
家族や会社から「老害」と呼ばれた人たちの、笑いと涙の逆襲劇を描くリーディングドラマ『老害の人』に出演する友近さん。昨年亡くなった内館牧子さんの同名の小説を舞台化したもので、自慢話が止まらない男性や口うるさいクレーマーの女性など、全ての登場人物を千葉雄大さんと2人で演じ分けます。自身のコントでも個性的なキャラクターに扮する友近さんに、作品への思いや「老害」について思うことを聞きました。(取材・文:婦人公論.jp編集部 撮影:本社・武田裕介)
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千葉さんと初共演
<『老害の人』の主人公は、小さな玩具屋を大手企業に育てた元社長・福太郎。老いてなお自慢話が止まらない福太郎は、家族や会社からも老害認定され、距離を置かれる。友近さんは、福太郎の娘や娘婿、孫の男子大学生、福太郎の「老害」仲間のサキ、「死にたい」が口癖の春子の5役を演じる>
いろいろなキャラクターになりきるのが好きなので、何人もの役をどう表現できるか自分でも楽しみですね。千葉雄大さんとはお互いの舞台を観に行くことはありましたが、こういう形で共演するのは初めてです。舞台では男らしい勇敢な役をしていたのに喋ってみるとすごく柔らかい印象で、幅広い役ができる方なんだろうと思いました。
千葉さんはお笑いも好きで感度がいい方だと思うので、これから親交を深めていきたいですね。私が『吉原炎上』や『鬼龍院花子の生涯』で知られる五社英雄監督の作品が好きで、よくテレビでも喋っているんですが、それを聞いて千葉さんは五社監督の作品を見るようになったと言っていました。もしかすると興味を持つ部分が似ているのかもしれないです。
『老害の人』と同じ内館牧子さん原作のリーディングドラマ『終わった人』を3月に見に行きましたが、出演していた中井貴一さんとキムラ緑子さんの演技を見て「うわこれはすごい、面白すぎる。私できるかな?」って思っちゃいました。私ならどういうふうな形で表現できるか、これから考えていきたいところです。
「老害」だと思うことはあまりない
リーディングドラマ『老害の人』に出てくる人たちは、欠点だらけ。でもそれ以上に魅力的な人ばかりです。私も誰かを老害だと思うことはあまりないですね。欠点だけをもって、単にこの人は老害だって決めつけたくないんです。
個人的には「おじさん」ってすごく好きなんですよ。一生懸命な感じが可愛いというか。うちの亡くなった父親がまさにそういうタイプで、自分の好きなものをずっとプレゼンしてくるんですよね。こっちは正直そんなに興味ないんですけど(笑)、でも一生懸命さが伝わってきて、それが愛おしくて。
頑固で、亭主関白で、昔ながらの「怖い父親」でしたけど、自分で料理も作るし、家のことも人任せにはしなかった。でも好きなものに没頭すると、こっちが興味あるとかないとか関係なくプレゼンし始めて。「興味ないって、それもうええって」って思ってしまうんですが、それが不思議と腹立たないんですよ。
父はよく「マークII(トヨタ)には金を使う」って言っていたぐらいマークII が好きで。新しい車が納車されると、父が「見に来い」って私たちを叩き起こして、ボンネットを開けて「これは馬力が違うとか、ツインカムターボで…」みたいな説明しだすんですよ。今考えるとほんとおもろいなって思います。
私のコントのキャラクター・西尾一男はうちの父親や、私の好きなおじさん像を詰め込んでいるので、ファンの方もどこか可愛いと思って、好きになってくれるんだろうなと思います。
フルコースを平らげる98歳の祖母
母は絵を描いて個展を開いたり、お花を教えたり、趣味でいろいろやってますね。もうめちゃめちゃ元気で、私の公演がどこであっても見に来ます。
ばあちゃんも98歳なんですけど、元気。この前も西尾一男のディナーショーを熊本まで見に来てくれました。ディナーショーでも「よ!日本一!」とか「男前!」とか声を掛けるんですよ。めちゃめちゃ元気な家系やと思います。フルコースの料理も食べますから。
これだけ長い間生きてきたので、ちょっとだけ愚痴っぽくなってきているところもありますが、他人のことはちゃんと見ていて、私の姪っ子にも「こういうことしちゃだめだね」とか「上から言ったらあかんよ」とかしっかり注意するんです。
子どものころは親やばあちゃんの話は長いし、難しいしと思っていましたが、ある程度の年齢になったら「もっと聞いておけば良かった」って思うようになりましたね。特に父は野球や歴史にも詳しい人だったので、「もっと自分のネタに生かせたのにな」って。(笑)

老害じゃなく「若害」?
「老害」はセクハラと一緒で、老害だと受け取らない人もいれば、全部老害やろって言う人もいるので、年齢は関係ないと思うんですよね。私もわかんないです。でも何でもかんでも老害だと言うことは、私は逆に「若害」やと思ってるんですよ。
だから本当に性格やと思うんです。相手の気持ちを考えずに自分のことをバンバン喋って、今の言葉によって「みんなちょっと引いたかな?」とか思える人は、多分老害にならない。でもそんなことを考えられない人が、自然と老害になっていくんだろうなと思います。
若い人は「老害」って言われても「『老』だから自分は関係ないわ」と思っているかもしれない。でも「これは自分も当てはまってるかも」とか「これは自分とは違って良かった」とか、答え合わせのような感覚で『老害の人』を見てほしいですね。

後編「友近『ライブに来てくれたお客さんを見ると、〈もっと喜ばせたい〉と純粋な気持ちになれる。でも実はチケットが一番売れない地域が…』」はこちら
