地図

写真拡大

 【チョルノービリ=倉茂由美子】1986年に起きたウクライナ北部のチョルノービリ(チェルノブイリ)原子力発電所事故から、26日で40年となる。

 爆発した4号機を覆う鋼鉄製のシェルターはロシアによる攻撃を受けるなど、新たな危険にさらされている。

 原発の周辺30キロ・メートル圏は現在も立ち入り禁止区域となっている。取材許可を得た記者は20日、指定された服に着替え、原発職員の案内でシェルター内に入った。放射線の測定値は毎時79マイクロ・シーベルト。短時間であれば健康への影響を心配するレベルではないが、高い数値には違いない。

 気になったのは足元の水たまりだった。職員は「雨漏りだ」と説明した。

 原因は昨年2月の露軍の無人機(ドローン)による攻撃だ。屋根の一部が破損し、火災も発生した。破損部分はその後修復されたが、消火活動のために開けられた小さな穴が多数残る。周辺の放射線量に影響はないとの説明を受けたが、そもそもシェルターは事故後に放射性物質を封じ込めるために作ったコンクリート製の「石棺」の老朽化を補うものだ。職員は「脆弱(ぜいじゃく)になった石棺に損傷が及べば、再び大きな被害につながっていた。極めて危険な行為だ」と語気を強めた。

 原発は露軍の侵略が始まった2022年2月から3月末まで、露軍の占領下に置かれた。汚染が激しかった「赤い森」と呼ばれる付近には、露軍が掘った塹壕(ざんごう)などが残る。まだ放射線量が高い地域にとどまった露兵は被曝(ひばく)したとされる。職員は「あまりに無知で無謀な振る舞いだ」と冷ややかに言った。