不育症を引き起こす「4大原因」とは?流産を繰り返す理由とその治療法【医師解説】

妊娠はするものの流産や死産を繰り返し、出産まで至らないことを「不育症」と言います。流産を繰り返すことで自分を責めたり、抑うつ的になったりすることもあり、医療の介入が必要です。今回は不育症の原因について、「はやしARTクリニック半蔵門」の林先生に、詳しく解説していただきました。

監修医師:
林 裕子(はやしARTクリニック半蔵門)

早稲田大学第一文学部卒業、名古屋市立大学医学部卒業、名古屋市立大学大学院医学研究科修了。その後、名古屋市立大学産科婦人科学教室、東邦大学産科婦人科学講座で経験を積む。2024年、東京都千代田区に「はやしARTクリニック半蔵門」を開院。医学博士。日本産科婦人科学会専門医・指導医、日本生殖医学会専門医、日本人類遺伝学会・日本遺伝カウンセリング学会専門医、日本超音波医学会専門医、日本不育症学会認定医、母体保護法指定医。

編集部

なぜ、不育症は起きるのでしょうか?

林先生

「抗リン脂質抗体症候群」「子宮形態異常」「夫婦の染色体異常(均衡型転座)」「胎児染色体異常」が、一般的に不育症の4大原因とされています。不育症患者を対象とした研究によると、抗リン脂質抗体陽性例10.7%、子宮形態異常形3.2%、夫婦どちらかの染色体異常保因6%の頻度であり、約70%が原因不明だったということが判明しています。さらに研究を進めたところ、原因不明の約70%のうち、41%に胎児染色体異常のみがみられ、胎児染色体が正常であり、真に原因不明だったケースは25%であったことが報告されています。

編集部

それぞれの原因について、簡単に教えてください。

林先生

抗リン脂質抗体症候群は、抗リン脂質抗体と呼ばれる自己抗体が産生され、血栓症による血流障害を起こす病気です。「妊娠10週以降の胎児奇形のない1回以上の子宮内胎児死亡」などの臨床所見があり、検査基準を満たした場合に診断されます。

編集部

抗リン脂質抗体症候群は、どのような治療をおこなうのですか?

林先生

低用量アスピリン・未分画ヘパリン療法をおこなうことで、出産率は70~80%に上がります。治療は妊娠4週から開始され、低用量アスピリン内服とヘパリン注射を開始します。

編集部

子宮形態異常とは?

林先生

生まれつき子宮の形が正常とは異なる状態のことを、子宮形態異常と言います。子宮形態異常が疑われる場合には経腟超音波検査をおこない、さらに追加で子宮鏡、子宮卵管造影、MRIなどの検査をおこなうこともあります。

編集部

その場合、どのような治療がおこなわれるのですか?

林先生

子宮形態異常のなかで最も多いのは、子宮内腔に壁が張り出して子宮を2つに分けてしまう「中隔子宮」というものです。中隔子宮の場合、子宮鏡下中隔切除術がおこなわれるのが一般的です。ただし、手術自体が流産を減少させるかどうかについてはまだ明らかにされていません。

※この記事はメディカルドックにて<「不育症」を引き起こす4大原因をご存じですか? 不妊症との違いや治療法も医師が解説!>と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。