厚生労働省

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 厚生労働省は、大規模災害時に介護や障害、保育などの専門職で作る「災害派遣福祉チーム(DWAT(ディーワット))」を早期に被災地に送る体制を整える。

 現在は都道府県ごとに管理されている登録者名簿を、一元管理するオンラインシステムを構築。派遣の調整にかかる期間を短縮し、災害関連死の減少につなげる。2027年度の稼働を目指す。

 24年の能登半島地震で、DWATが金沢市の避難所で高齢者らの支援活動を始めたのは1月8日で、発生から7日後だった。都道府県を経由して派遣する仕組みのためだ。一方、災害派遣医療チーム(DMAT(ディーマット))は発生翌日には石川県内に入っていた。

 このため、政府の中央防災会議の作業部会は同年11月にまとめた報告書で「救助や医療と同程度のスピード感での支援が必要」と指摘し、迅速に被災地入りできるよう体制整備を求めた。

 新システムは、全国社会福祉協議会(全社協)が厚労省の委託を受けて管理する。派遣希望者はオンラインで登録作業を行い、名前や年齢、介護福祉士や社会福祉士、保育士といった資格、勤務年数、活動経験などを入力する。

 全社協は大規模災害が起きた際、オンライン上の名簿を基に、登録者の所属する事業所に直接、派遣を要請する。保有資格や活動経験を参考に、4〜6人のチームを編成する。都道府県を経由する必要がないため、能登半島地震の時よりも早く派遣することが可能になる。

 DWATが被災自治体と協議の上、早期に被災地に入れば、避難所の開設準備の段階から運営に関わることができる。高齢者ら移動が難しい人たちの区画をトイレに行きやすい場所に配置するなど、災害弱者の目線で環境を整えられる。

 能登半島地震では、慣れない避難生活などが原因で亡くなり、災害関連死と認められた人は石川県で485人(4月8日現在)となり、犠牲者の7割を占めた。

 全社協はシステムの導入に向け、チームでリーダー役を務める人材を養成する研修も、国と協力して進める。

 神奈川県立保健福祉大の鈴木俊文教授(災害福祉)は「高齢者や障害者の中には、避難所に向かうのをためらい、被害を受けた自宅にとどまる人がいる。在宅避難者を把握し、必要な支援に迅速につなげるためにも、DWATが被災地に早期に入る仕組みが重要だ」と指摘する。

 ◆DWAT=英語の名称「Disaster Welfare Assistance Team」の頭文字。東日本大震災を機に岩手県や京都府で導入され、現在、すべての都道府県にある。避難生活を送る高齢者や障害者の介助、子どもへの支援を担う。登録者は計約1万1000人(昨年3月末現在)。