【重要事項説明書】賃貸トラブルを防ぐ・対応する3つのチェックポイント

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重要事項説明とは何か

賃貸住宅の契約では、「重要事項説明」と「重要事項説明書」という書面が作成されます。この2つは、居住を始めたあとに起こったトラブル解決に関係するため、とても大切です。

宅地建物取引業法(宅建業法)第35条は、仲介業者が関与する売買・賃貸契約において、契約が成立するまでの間に、宅地建物取引士が書面を交付して重要事項を説明することを義務づけています。これが「重要事項説明」であり、その書面が「重要事項説明書」です。

説明される内容は法律で定められており、物件の表示、登記事項、用途・利用制限、水道・電気・ガスなどのライフライン整備状況、建物の形状・構造、契約の種類と期間、更新・解約・契約解除に関する情報、敷金・保証金、仲介手数料の金額、管理委託先など多岐にわたります。これらを明確にするのは「契約するかどうかを判断するための基礎情報」として、借主に事前に提供されるべきものだからです。

重要事項説明書が交付されなかったら?

しかし、「重要事項説明書という書類もなく、説明もなかった」というトラブルは起きることがあり、これは宅建業法に照らせば重大な業法違反にあたります。

重要事項説明は、宅地建物取引士が「主任者証」を提示した上で行うことが義務づけられています。書類の不交付や説明の省略は、業者が法律上負うべき義務を果たしていないことになります。もしこうした事態が発生したら、業者に対して「業法違反である」と伝え、速やかな対応を求める必要があります。
迷惑施設の不告知も「重要な事項」にあたる可能性があります。
しかし、そのようなときに「近くに迷惑施設があったのに説明がなかった」と業者にそう言うと、「重要事項として説明する項目ではない」と主張されるというケースもあります。

確かに、宅建業法第35条が列挙する項目の中に「迷惑施設」という言葉は明記されていません。
とはいえ、同法第47条第1項には「重要な事項の告知義務」が定められています。これは、35条に具体的に列挙された事項以外であっても、「契約するかどうかを判断する際に大きな材料となる事項」は「重要な事項」として説明が義務づけられるということです。
では「重要な事項」とはどのようなことでしょうか。

説明は文書を読むだけだが、きちんと内容を聞いて疑問は確認したい

具体的には、過去に自殺や火災のあった物件がその典型例として挙げられます。
迷惑施設についても、その種類と物件からの距離によっては47条の「重要な事項」に該当し、業者に告知義務が生じる場合があります。たとえば、産業廃棄物処理施設や火葬場が徒歩圏内にある、深夜まで騒音が続くパチンコ店や風俗営業店が隣接しているといったケースは、入居を判断する上で重要な材料となりえます。こうした施設の存在を知っていれば契約しなかったと主張できる場合は、業者の不告知が問題となる可能性があります。

この判断は難しく、業者の主張が正当かどうかについては、専門家に相談することも選択肢のひとつです。

重要事項説明書の記載内容が間違っていたら?

「重要事項説明書の記載内容が実際とは異なっていたため、それを指摘しても、謝罪するだけで対応してもらえない」というトラブルもあります。
記載ミスの責任を問う場合、重要なのは、「その情報が間違っていなければ、契約したかどうか」という点です。

たとえば、防音性を重視して物件を選んだ借主が「防音性の高い鉄筋コンクリート造」と説明されて契約したところ、実際には「鉄骨造」だったという場合、その誤りは契約判断に直結するでしょう。この場合、業者は単に謝罪するだけでは足りず、契約解除に伴う損害の全額を負担すべきとされています。

一方、建築年が1~2年ずれていた、設備の内容が少し異なっていたなど軽微な誤りは、契約の意思決定にほとんど影響しないケースが多く、損害賠償の請求が認められにくいこともあります。
しかしながら、重要事項説明書の記載ミスが発覚した場合は「どの情報が間違っていたか」「それが契約判断にどう影響したか」を整理して、業者に修正、場合によっては責任を問うことも必要です。

賃貸契約における重要事項説明は、借主の権利を守るために設けられた制度です。書類の不交付、情報の隠蔽、記載ミスなど、少しでも不審な点を感じたら、消費者センターや宅建業の所管官庁(都道府県の担当窓口)への相談も検討してください。