イメージ画像

写真拡大

26日に発生した池袋のストーカー殺人・無理心中事件は、韓国メディアも強い関心を寄せた。現場が子どもや観光客が多く訪れる場所だった点や、加害者が被害者の職場まで追い詰めた末の犯行であった経緯などを詳しく報じている。

韓国では、ストーカー行為が発展して起きる暴力や殺人を「交際暴力」「交際殺人」などと呼ぶ。昨年9月には、韓国人による「交際殺人」が日本で発生した。東京・世田谷区の路上で、40代の韓国人女性が元交際相手の韓国人男性に刃物で刺殺された事件だ。

被害女性は事前に日本の警察へ相談していた。警察は男性を口頭で警告し、空港まで連れて行ったが帰国せず、女性を探し出して犯行に及んだ。

こうした経緯から、今回の池袋事件に関連して「日本のストーカー対策は韓国に比べて罰則が軽い」と指摘する韓国メディア(SBS)もあった。

実際、日本では人権への配慮から、警告は書面や口頭によるものが原則だ。ストーカー規制法違反の法定刑は、内容に応じて1年から2年程度の拘禁刑、または罰金刑となる。

一方、韓国ではストーカー処罰法により、通常でも3年以下の懲役、凶器使用などの場合は5年以下の懲役とされている。

2008年導入の電子足輪、再犯率8分の1まで低下

さらに韓国では、再犯の恐れがある性犯罪者などに対し、位置情報を把握できる電子足輪(GPS装置)を装着させる制度がある。池袋事件後、日本のSNSでも「韓国で導入されているGPS足輪を日本でも検討すべきだ」との声が上がった。

電子足輪制度は2008年に導入された。当初は再犯リスクの高い性犯罪者が対象で、GPSと通信機能を備えた装置により、学校や被害者の居住地などへの接近を監視する仕組みだ。

現在は、凶悪犯罪者や仮釈放者、保釈中の被告人などにも適用されている。近年では、再犯リスクが高いストーカー加害者についても、裁判所の判断により装着が可能となった。

特に性犯罪者については導入後、再犯率が「8分の1程度まで低下した」(YTN)とされ、一定の抑止効果が確認されている。

5000人近くが足輪装着中

現在、計5000人近くが電子足輪を装着して生活している。もっとも、制度の拡大とともに限界も明らかになっている。足輪装着者を管理・監督する保護観察官が足りず、見落としが発生している。

2021年には、性犯罪の前歴を持つ男が監視をかいくぐり、電子足輪を装着したまま女性を殺害したうえ、装置を切断して逃走し、さらに殺人を重ねるというスリラー映画さながらの事件が発生した。その後もホームセンターなどで購入した大型カッターで足輪を壊して逃走する事件が相次いでいる。

韓国でも電子足輪は人権侵害であり、社会復帰を妨げているとの批判があり、装置の小型・軽量化などの改良が進められている。

警察は電子足輪だけに依存せず、被害者周辺の警戒を一定期間に限り民間警備会社に委託し、加害者へのカウンセリングを強化するなど対策を講じているが、決定的な解決策は見えていないのが実情だ。

ストーカー行為は単なるつきまといではなく、重犯罪に発展し得る危険性を持つ。同時に、警察の介入が加害者の執着を強め、事態をエスカレートさせる場合もあるという独特の難しさがある。日本でも電子監視の是非を含め、被害者保護と再犯防止を両立させる総合的な対策が求められている。

文/五味洋治 内外タイムス