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 ◇第75期王将戦第7局第2日(2026年3月26日 関西将棋会館)

 藤井聡太王将(23)=名人など6冠=が永瀬拓矢九段(33)を挑戦者に迎えた第75期王将戦(特別協力・スポーツニッポン新聞社、毎日新聞社)7番勝負第7局は26日、大阪府高槻市の関西将棋会館で第2日が指し継がれ、先手・藤井が89手で勝利した。対戦成績を4勝3敗として5連覇。7番勝負での1勝3敗のカド番からの3連勝は33年ぶり。

 持ち時間を48分余していた午後3時34分、永瀬は潔い投了を選んだ。「もう少しうまく戦い方を考えなければいけない。課題が浮き彫りになったかなと思います」。ハキハキとした口調がかえって悔しさを強調しているようだった。

 やはりというべきか。第1日の封じ手時点で、すでに苦境に陥っていた。「(次の一手を)指せなかったのが正しい気がします。指す手が難しいなという感じでしたので」と今シリーズ自身最長となる174分の大長考を振り返る。「どう粘るかを考えていただけ。もう少しうまく粘らなければいけなかった」。第2日に入っても好転の気配すら漂わない。78手目△4九竜は、逃げ場の限られた相手王に手厚く迫る形に見える。だが持ち駒の金と歩2枚では詰めろすらかからない。このあたり、藤井に冷静に見切られていた。午後3時のおやつタイムにすら到達していない時間帯。「どう指しても藤井王将の勝ちですね」が、控室で検討盤を囲む棋士たちの総意だった。

 第4局を終えて3勝1敗。タイトルに王手をかけた時点では「次の先手番がチャンス」と前のめりだった。ところがその第5局を失う。「こちらが(先手番を)主張できれば少し楽しみがあった」とターニングポイントを自省した。

 シリーズ前には「3勝3敗なら胸が熱くなる展開でしょう」と目標を口にしたが「あれはあくまでファン目線。プレーヤー目線ではないんです」と勝負師の矜持(きょうじ)をうかがわせた。敗れたのは事実だが、藤井相手の7番勝負で3勝を挙げた唯一の棋士でもある。「次のタイトル戦に出られるよう頑張りたい」と短く結ぶ言葉に魂がこもっていた。(我満 晴朗)