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人生100年時代、現役世代を駆け抜けた後はどのように過ごせばいいのでしょうか。精神科医の保坂隆先生いわく、人生後期は無理をせず「ほどほど」をキーワードに過ごすことが大切とのこと。『精神科医が教える 人生を楽しむ ほどほど老後術』より、日常生活を元気に楽しく暮らすための知識をご紹介します。

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早朝の目覚めは体内時計の調節で改善 

「早朝覚醒」に悩みがちなシニアですが多くの人に起こるものですから不安に思う必要はありません。

とくに退職後の生活では、時間に余裕ができるとともに日中の活動量が減り、メリハリのない生活になりがち。その結果として、早く目が覚めるのも当然です。 

賢い対処法は、「年を重ねると、若いときより睡眠量が減るのは自然」と考え、大らかに受け止めること。「起きている時間が増えてラッキー」と考えれば、睡眠時間の短さなどは精神的な負担にならないでしょう。 

また、「眠ったはずなのに、なんとなく充足感がない」というシニアが多いのですが、起きてからの一日が快適に過ごせていれば、まったく問題ありません。 

一日中スッキリしないときは… 

早朝覚醒は、人間の体内時計に関係しています。生理学上、人間の体内時計は24時間よりも少し長めに設定されていますが、そのサイクルは加齢によって年々早くなります。 

しかし、一日中スッキリしないのであれば、体内時計の調節、つまり適切なケアが必要かもしれません。 

そのために有効なのは、光をうまくコントロールすること。まず、早朝に強い光を見ないように気をつけます。体内時計は強い光に反応する特徴がありますから、遮光カーテンなどで部屋を暗くしておきましょう。 

つぎに、夕方以降に、今度は光をしっかり取りこんで、部屋をできるだけ明るくします。夕方、強い光を浴びると体内時計が後ろにずれて、睡眠サイクルを調節できるというメカニズムです。 


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中途覚醒の悩みがあるなら 

「夜中に何度も目が覚めて、いったん目が覚めると今度は寝つけなくなってしまう」という声をよく聞きます。「中途覚醒」と呼ばれる睡眠障害です。   

60歳以上の人の2割は、一晩に数回起きるといわれていますが、目覚める回数が2回以上の場合は、中途覚醒を疑ってみてもいいかもしれません。 

睡眠の相談に来る人にも、「夜中に目が覚めて朝までぐっすり眠れない」という症状が増えていて、日本人ではシニアの1~2割の人が中途覚醒を経験しているといいます。 

寝ている間に何度も起きると、睡眠のリズムが狂い、脳や体の疲労が回復しないまま朝を迎え、スッキリと起きることができない状態になります。

十分な睡眠がとれていないので、昼間に居眠りしたり、仕事や家事に支障をきたしたりするケースもあります。 

若い頃よりトイレに行く回数が増えるのは、加齢によるもので心配いりません。ただ、尿意がないのに目が覚めたり、一度起きたら熟睡できなくなったり、一晩に3回も4回も目が覚めるようなら、睡眠障害の可能性が高いでしょう。 

毎晩のように中途覚醒が続くと、「今日も夜中に目が覚めるかもしれない」という不安がつきまとって、大きなストレスを抱えることにもなりかねません。 

避けるべき生活習慣とは 

私たちは、レム睡眠とノンレム睡眠を繰り返す約90分間のサイクルを、一晩に3~5回繰り返して眠っています。中途覚醒が起こるのは眠りの浅いレム睡眠のときで、ノンレム睡眠で起こることはまれです。 

眠りの浅いレム睡眠では、ほんの少しの物音や刺激でも目が覚めてしまい、一度目が覚めると再び眠るまでに時間がかかります。そのため、睡眠のリズムそのものが狂ってしまうのです。 

レム睡眠時以外でも中途覚醒は起こりますが、その場合は、自律神経の乱れや日中の強いストレスが原因になっていることが多いようです。 

とくに、最近は就寝直前までテレビやパソコン、スマートフォンなどの電子機器を使う人が多く、機器から出る強い光や音が神経を高ぶらせるのも、中途覚醒の要因になります。 

また、生活スタイルが夜型になり、夜遅い飲食が増えたことや、コーヒー、カフェイン系の刺激物をとったために交感神経が活発になることも睡眠を妨げる原因になります。 


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さらに、寝つきをよくするつもりで、寝る前にアルコールを飲む人も多いようですが、アルコールは中途覚醒を招くリスクがあります。 

自律神経が乱れやすい生活習慣を続けていると、睡眠障害を招く可能性が高まりますが、これらを見直して改善すれば、中途覚醒の予防につながります。