小ラーメンが付く熊本『秀ちゃんラーメン』の「焼きめしセット」の味とボリュームに驚愕!
チャーハンとラーメンのセット、略して“チャーラー”。愛知で親しまれるこのセットメニューを愛してやまない現地在住のライター・永谷正樹が、地元はもちろん、全国各地で出合ったチャーラーをご紹介する「ニッポン“チャーラー”の旅」。第59回の今回は熊本県へ。ひょんなことから訪れた店で小ラーメンのチャーラーを食べることに。味と量に驚いたようです。
外国人観光客も訪れる地元の人気店
チャーラーにおける主役は、ラーメンなのか。それともチャーハンなのか。筆者は常々、ラーメンとチャーハンがセットとなることでチャーラーという1つの料理が完成すると主張してきた。その観点からするとW主演といったところか。
しかし、ラーメンの専門店において、チャーハンはあくまでもサイドメニューであるため、ラーメンが主役となる。その逆もまた然り。それを否定する気はまったくない。実際、サイドメニューにしておくにはもったいないほどクオリティの高い店もあるし。
さて、少し前に熊本へ行ってきた。朝7時に県営名古屋空港を出発して、阿蘇くまもと空港へ到着したのが8時25分。空港でレンタカーを借りて、現場である熊本市内に着いたのが10時。取材は午前中に終わり、その日の午後から翌日20時までフリーとなった。
そこで前から行きたかった黒川温泉へ向かった。疲れを癒すために行ったはずなのに、ホテルへ戻るとどっと疲れが出てしまい、食事に出かけるのも面倒くさくなった。ホテルの近くで済ませようと思い、ネットを検索。

『秀ちゃんラーメン』外観
ヒットしたのが、今回紹介する『秀ちゃんラーメン』である。場所は市電西辛島町駅からすぐ。熊本ラーメンの店ゆえにラーメンが主役であるのは間違いないが、ネットでは「熊本ナンバーワンの焼きめし」や「焼きめしが旨いラーメン店」という投稿が目立っていた。これは期待できる。
店に着いたのは20時頃。カウンター席のみの店内はほぼ満員で外国人観光客の姿もあった。辛うじて店内の奥の方にある席が空いていたため、すぐに案内された。

卓上のメニュー。「焼きラーメン」や「ちゃんぽん」も用意している
これがメニュー。デフォルトの「ラーメン」(750円)は、熊本ラーメンなのだろう。それ以外に「みそラーメン」(850円)や「もやしラーメン」(850円)、「チャーシューラーメン」(1500円)などがあった。
中華鍋を自在に操る技術が生んだ絶品焼きめし
ラーメンとチャーハンのセットがなかったので、「ラーメン」と「焼きめし」(700円)を単品で注文しようと思ったが、よく見ると「焼きめしセット」(1100円)なるメニューがあるではないか。しかも、「ラーメン小付き」とある。
ラーメンと半チャーハンのセットはよく見かけるが、その逆は初めてのパターンであり、とても興味深い。ということで、「焼きめしセット」を注文することに。
店内はカウンター席が厨房を取り囲むように配置されていて、どの席からも厨房の様子を見ることができる。中華鍋をリズミカルに振っているのが店名にもなっている店主の「秀ちゃん」だろうか。そんなことを考えていたら、「焼きめし」が運ばれた。

「焼きめし」。米粒が立っているのがわかるだろう
その量の多さに目がクギ付けになった。間違いなく2人前以上のボリュームはある。これに「ラーメン小」が付くわけで、完食できるか不安になった。同時に、「ラーメン」を単品で注文しなくてよかったと胸を撫で下ろした。
焼きめしの具材は細かく刻んだチャーシューとかまぼこ、ねぎ。そして、玉子といたってシンプル。米の一粒ひと粒がしっかりと立っていて、強い火力で炒められているのが伝わってくる。では、いざ実食!
うん、旨い! 米粒が立っているのでパラパラ系と思いきや、しっとり感もある。脂っぽくなく、ベタついてもいないのは、ご飯と具材に火が均等に入っているからだろう。
筆者も自宅でよくチャーハンを作るが、家庭用のガスコンロではここまで完成度の高いチャーハンはできない。いや、それ以前に中華鍋を自在に操る技術の差か。
熊本ラーメンの王道をいく味
時間差で「ラーメン小」が運ばれた。ここの「焼きめしセット」においては、焼き飯が主役であり、ラーメンは脇役だと思っていたが、ビジュアルを見てそれが間違いだった事に気が付いた。
セットのラーメンであれば、チャーシューとねぎだけでも、いや、何ならねぎだけでも文句は出まい。しかし、「ラーメン小」は、チャーシューと味付煮卵、キクラゲ、ねぎと具材が盛りだくさん。
後から調べてみると、デフォルトの「ラーメン」の具材はチャーシューが2枚になるだけで「ラーメン小」とほぼ同じ。つまり、「ラーメン小」はチャーシューを1枚にして、麺量を半分にしただけなのである。

「ラーメン小」。小サイズなのにチャーシュー、味付煮卵、キクラゲ、ネギと具材がたっぷり
まずはスープをひと口。熊本ラーメンらしく、焦がしニンニクの香ばしさとクリーミーでマイルドな豚骨スープが際立っている。麺はストレートの細麺で表面がツルツルなので、啜りやすくてのど越しも良い。まさに熊本ラーメンの王道をいく味である。
特筆すべきは具材のクオリティ。まずはチャーシュー。柔らかくて旨みをしっかりと感じられ、スープとの相性は最高のひと言に尽きる。味付煮卵は昔ながらの固茹でだが、このスープには絶対にこのスタイルの方がよく合う。

量においては「焼きめし」がメインだが、質は「ラーメン小」も同等。だからこそセットが成り立つのである
いつものようにスープを飲みつつ、焼きめしを頬張るだけでは飽き足らず、これら具材をおかずにして焼きめしを食べるとおいしさが2倍、3倍にも膨れ上がり、口から全身へと幸福感に包まれる。これもまた、チャーラーの醍醐味であろう。
いやー、本当においしかった! 「ラーメン小」のスープまで完飲してしまった。完食できるか心配していたのはいったい何だったのか(笑)。

『味千×桂花 阿蘇くまもと空港店』の「桂花ラーメン」(980円)+「半チャーハンセット」(400円)
今回の熊本出張は、熊本空港内にある『味千×桂花 阿蘇くまもと空港店』のチャーラーで締めくくった。これまで福岡をはじめ、鹿児島や宮崎、大分で豚骨ベースのラーメンを食べてきたが、筆者の中で熊本ラーメンは確実に上位ランク。また食べに行きたいなー。
取材・撮影/永谷正樹
1969年愛知県生まれ。株式会社つむぐ代表。カメラマン兼ライターとして東海地方の食の情報を雑誌やwebメディアなどで発信。「チャーラー祭り」など食による地域活性化プロジェクトも手掛けている。
