杜の都仙台の居酒屋名店3選 抜群に旨い“締めの料理”があった!
宮城県仙台市には通算8年住んだことがあります。何しろご当地グルメが豊富な県で、牡蠣やホヤ、金華サバなど三陸の海の幸はもちろん、これからの季節は「はらこ飯」や「せり鍋」が大好きですし、前回取り上げた「牛タン」、笹かまぼこなどなど、美味しいものには事欠きません。当然ながら仙台市内には地元の食材を売りにした居酒屋が数多くあります。どこもレベルが高く、コスパの良いお店ばかり。しかも名産のみならず、凝った食事を出すお店も数多くあります。今回はそんな仙台の名居酒屋で味わう、絶品の締め料理にスポットを当ててお届けいたします。
仙台朝市『居酒屋おかん』の「ペペロンチーノ」
最初にご紹介するのは、仙台駅前の「仙台朝市」界隈にある『居酒屋おかん』です。お店のロゴが可愛いですね。雑居ビルの地下にありますが、カウンター席もテーブル席も我が家のように落ち着きます。

おかん
メニューも豊富で、宮城県石巻市の金華山沖で獲れ、石巻魚市場に水揚げされるブランドさばの「金華さば」や気仙沼のメカジキなど、地の魚や料理をふんだんに味わうことができますし、これからのシーズンはセリや牡蠣がお薦めです。
ビールで喉を潤す間に、豆腐や青菜を炊いた突き出しが出てきました。こういう素朴な料理がまさに「おかん(母親)の味」で思わず顔がほころびます。続いて「山形のわらびお浸し」をいただき軽めの料理でスタート。次に注文したのが「石巻生キクラゲと卵の炒めもの」です。

おかん(突き出し)
訪問した2025年6月は丁度キクラゲが旬の時期。町中華では人気のメニューですが、産地がメニュー名につくとは食事に拘る居酒屋ならでは。コリっとした触感のキクラゲと卵の相性が抜群です。鰹節がかかっているのが特長で、和風のエッセンスが料理を引き立てます。

おかん(石巻生キクラゲと卵の炒めもの)
それでは当店の締めのお薦め「ペペロンチーノ」をいただきましょう。ど真ん中の和食前菜から町中華風炒め物を経て、最後はイタリアン。なんと贅沢なラインアップでしょう。外観も味も濃い目ですが、飲んだ後の締めにはぴったり。素朴な「母親の味」から専門店もびっくりする料理がある『おかん』。ぜひお立ち寄りください。

居酒屋おかん(ペペロンチーノ)
蕎麦ならココ!繁華街「国分町」の『蕎麦・肴 泉』は通が唸る居酒屋
続いてご紹介するのは、東北最大の繁華街「国分町(こくぶんちょう)」にある『蕎麦・肴 泉』です。国分町大通りから一本筋を入ったビルの2階にある小さな居酒屋さんですが、通が唸る居酒屋として知られています。

泉
お店は大将のワンオペながらも、お刺身から揚げ物まで美味しい肴がズラリ。先般お邪魔した時は、突き出しに山形名物の玉こんと魚のすり身のようなものが出てきました。これが抜群に美味しい。続いてお刺身やサラダをいただいた後、最後に注文したのが当店の推しの締め料理「手挽き石臼蕎麦」です。

泉(突き出し)
大将が店内で挽いている麺は、表面にツブが見えるツヤツヤの蕎麦で、見るからに美味しそうです。口に含めばしっかりした蕎麦の味覚とのどごしの良さに感動すること間違いありません。個人的には仙台に行ったらまずは「泉」の蕎麦を食べたい!と思ってしまうほどの推しの締め料理でございます。蕎麦好きな方もそうでない方も、是非お運びください。

泉(手挽き石臼蕎麦)
仙台で一番古い居酒屋『明眸』の「つみれ汁」
最後は創業95年、仙台で一番古い居酒屋と言われる『明眸(めいぼう)』にご案内します。明眸、あまり聞かない言葉ですね。何でも「澄んだ美しいひとみ」の意味で、転じて美人のたとえにも使われるようです。仙台駅にも近い「南町通り」にあるお店で、のれんをくぐると重厚な雰囲気の店内と、カウンターには常連らしき方々が居並びます。

明眸
早速、お通しが出てきました。なすを炊いたものと、青菜とねりものを煮たものと何と2品。とても贅沢な気分になります。お店を切り盛りするのは優しそうな女将さん一人。店名そのままの感じでいい雰囲気です。

明眸(突き出し)
続いていただいた「ハムサラダ」は超どストレート。ハムとトマトとキャベツのみというストロングタイプの一皿でした。最近は食べ慣れない野菜や、演出に凝ったサラダが多いですが、こんなのがいいんですよね〜。

明眸(ハムサラダ)
当店はカウンターの奥に、歴史を感じさせる酒燗器が置いてあります。そうなれば熱燗が飲みたくなります。当店で扱う日本酒は秋田県湯沢市の銘酒「両関」が中心です。しかも熱燗にぴったりの本醸造タイプは値段も安い。「小ねぎのぬた」と合わせれば、これ以上のタッグはありません。

明眸(両関と小ねぎのぬた)
ビールと熱燗ですっかり気持ちよくなったところで、歴史ある明眸の締めにまいりましょう。当店は老舗居酒屋の矜持か、麺やご飯はありません。そこで、締めにぴったりなのが「つみれ汁」です。具は豆腐にしめじ、長ネギ、そしてつみれ。こちらもストロングスタイルですね。出汁のきいたスープでいい塩梅になった具材を完食し、大満足で帰路につきました。

明眸(つみれ汁)
最後の晩餐に選んだのは…「このビールを飲むために頑張るんだ」
今回は仙台シリーズ第2回として、推しの締め料理がある名居酒屋をご紹介しました。最後に、ビール好きの筆者が仙台で経験した究極のエピソードで締めたいと思います。
20年ほど前、ある居酒屋に訪問した時に年配の男性とカウンターで隣になりました。同じ銘柄のビールを飲んでいたためか、ふとその方がビールをついで下さいました。話を聞くと当店に魚を卸している会社の社長でした。続いて「私はビールに命を救われました」と語り始めました。
「私は一度事業に失敗し、三陸の海に身投げしようと思ったことがあります。岸壁に立ちふとまわりを見ると、すぐ近くの街道に食堂がありました。最後の晩餐に美味しいものを食べようとのれんをくぐり、まずビールを頼みました。これが最後のビールと乾いた喉を潤したところ、あまりにも美味しくて涙が出、同時にまた生きる勇気が湧いてきたんです。こんな美味しいものがあるのに私は死ねない、またこのビールを飲むために頑張るんだ、と。今ここにいるのはビールのおかげです。」
たかがビール、されどビール。今日も美味しいビールをいただきましょう。
文・写真/十朱伸吾
おとなの週末Web専属ライター。旅と食とビールと競馬をこよなく愛する。ツーリングとゴルフも趣味。ツーリングの成果でダイエットにも成功。
