スーパーチャージャーとは?ターボチャージャーとの違いや後付け方法・費用
スーパーチャージャーとは?
■空気を圧縮し容積を小さくしてエンジンに入れ込む装置
スーパーチャージャーとは、ターボチャージャーと同様に車のパワーを上げるための過給機です。過給機とは圧縮した空気をインテークマニホールドに送り込み、通常より多くの空気を一度に送る装置のことを指します。
なぜ一度に多くの空気を送り込む必要があるかというと、空気量が多いほどパワーが出せるため。つまり多くの空気を入れれば入れるだけ、力強い走りをすることができるのです。
では、単純にたくさんの空気を入れればいいのでは?という疑問が生まれてくると思います。確かにスロットルボディを開けば、その分一度にたくさんの空気を入れ込むことができます。しかし車には排気量という概念があります。排気量とはエンジン内の燃焼室の容積を表しているので、通常であれば排気量以上の空気を入れることはできません。
そこで過給機を使い、空気を圧縮し容積を小さくすることで、同じ容積でもたくさんの空気を入れ込めるようにするのです。
過給機にはターボチャージャーとスーパーチャージャーの2種類がありますが、この記事ではスーパーチャージャーについての説明をしていきます。
スーパーチャージャーの仕組みとは?
スーパーチャージャーはターボチャージャーと違い、クランクからベルトによって駆動し過給を行う装置のことを指します。最近では電動スーパーチャージャーも普及してきました。
いずれにせよスーパーチャージャーは、エンジンからの動力を得て空気を圧縮し、エンジン内に送り込むという仕組みです。圧縮方法はいろいろありますが、簡単に説明すると、エアコンと同じ仕組みのコンプレッサーが過給機に使用されていると考えてもらえればと思います。
スーパーチャージャーの代表的な圧縮方法を3つご紹介しましょう。
・遠心式
遠心式の圧縮方法では、ベルトによってタービンを回し空気を圧縮します。ターボチャージャーと同じやり方を採用しており、扇風機のような羽を回すことで空気を圧縮し送り込む方法です。
・ルーツ式
2つの特殊な形をしているローターで圧縮を行います。形はいくつかあり、三つ葉、繭型など少し複雑な形状をしている点も特徴の一つです。2個で1セットとなっており、互いに回転しながら空気を移動させます。スーパーチャージャーでは一般的な形の一つであり、現在は振動などを少なくするためねじれを持たすなどの工夫がされています。
・リショルム式
らせん状のローターを2本使用し、それぞれのローターを回転させながら空気を圧縮します。回転することで空気はらせんの溝に入り込み、前に進みます。隙間を小さくすることで圧縮を実現しているのです。振動の少なさからコンプレッサーにも採用されている、幅広い使用用途を持つ圧縮方法となっています。
スーパーチャージャーとターボチャージャーの違いは?どちらが速い?
・どこから動力を得ているか=作動する回転数の違い
ターボチャージャーでは、排気ガスの流れを動力源としているのに対し、機械式のスーパーチャージャーではクランクシャフトの動力、つまりエンジンから直接動力を得ています。この違いが作動する回転数にも関係しています。(詳しくは後述します)
ターボチャージャーはある程度回転数が上がらなければ最大限の性能を発揮できません。しかし、スーパーチャージャーは低回転の段階で最大の性能を発揮します。つまりスーパーチャージャーの方が圧倒的にレスポンスがよいのです。
・設置場所の違い
スーパーチャージャーはクランクにかかっているベルトにより動力を得ます。そのため、駆動ベルトの近くに装置を設置しなければなりません。それに対しターボチャージャーは排気ガスを利用しているので、エキゾーストマニホールドの一部として設置します。
どちらも設置箇所は限定されており、自由度は低いといえるでしょう。
■スーパーチャージャーとターボ、どちらが速い?
スーパーチャージャーとターボチャージャー、どちらが速いかは一概に答えることはできません。その理由は先ほどお伝えしたように、得意とする回転数が違うからです。
例えば、停車時からの加速でいえばスーパーチャージャーの方が速いでしょう。しかし高回転域ではターボチャージャーに軍配が上がります。そのため、自分がよく走る道はどのような場面なのかを考え、過給機の種類を選ぶ方がよいといえます。
停車が多い街中をよく走るなら、スーパーチャージャーがいいでしょう。それに対し、高速道路ではターボチャージャー付きの車の方がストレスなく走ることができます。
電動スーパーチャージャーとは?
電動スーパーチャージャーとは、エンジン動力の代わりに電動モーターを用いた過給器です。
エンジンからの動力伝達が不要であるため、スーパーチャージャーの欠点であるエンジン動力のロスも軽減されるうえ、取り付け自由度も高く、エンジン回転数にも依存しないため必要なときにだけ過給できるメリットがあります。
ただし、絶対風量ではスーパーチャージャーやターボチャージャーに劣るため、単体で過給できるのはあくまで低回転域のみであり、ターボチャージャーの補助として使われるのが一般的です。
アウディやメルセデス・ベンツなどの海外メーカーでは、すでに一部車種に電動スーパーチャージャーを採用しています。使い方はおもに低回転域でターボラグの改善に留まるものの、電動スーパーチャージャーとターボチャージャーを使い分けることで、広い回転域でトルクフルな走りを実現しています。
スーパーチャージャーのメリット
■タイムラグがない
機械式のスーパーチャージャーはベルト駆動なので、ターボチャージャーのようにタイムラグがほぼありません。ターボでは加速後、ある程度、回転数が上がらなければ最大トルクが発揮できないため、スムーズに加速できないこともあります。
しかし、スーパーチャージャーはエンジンが少しでも回りさえすれば動力を得られるため、最大トルクを発揮することができます。そのためアクセルを踏んですぐパワーを引き出すことができるのです。
■低速からの加速がよい
スーパーチャージャーは低速からの加速のよさが強みです。タイムラグがないというメリットと被ってしまいますが、タイムラグがないということは発進後すぐに最大限の力を発揮できるということ。停車時からでもアクセルを踏み込めば、すぐにスピードが上がります。
加速がもたつくとどうしてもアクセルを必要以上に踏んでしまいがちです。そのためスーパーチャージャーを採用している車では、無駄なアクセル操作がありません。
スーパーチャージャーのデメリット
■燃費が悪い
スーパーチャージャーを取り付けると燃費が悪くなります。その理由は、エンジンから直接動力を得ているからです。車のエアコンをイメージしてもらえば分かると思いますが、常にエアコンをつけていると燃費は悪くなりますよね。エアコンではコンプレッサーという装置をベルトによって動かしています。
つまり、エンジンからの動力の一部をコンプレッサーが奪っているのです。そのため例えば本来なら4割の動力がタイヤに伝わる場面でも、3割しか伝わらないという状態になります。これと同じことをスーパーチャージャーも行なっているのです。
スーパーチャージャーの場合、エアコンのようにオンオフの切り替えはありません。常に動力を使っており、スーパーチャージャーを使用する分だけ余分に燃料を消費します。これが燃費の悪さの原因です。
その反面、ターボチャージャーであれば、排気ガスの力を利用しているので直接エンジンの動力を消費するわけではありません。ターボなしの車と比較すれば、当然、ターボありの車が燃費は悪くなります。しかしターボの場合、スーパーチャージャーのように直接関係性があるわけではないのです。
またスーパーチャージャーの装置は大きく、車両総重量が増えてしまうという理由もあります。重量面でも燃費の悪さを加速させているのです。
■高回転域ではパワーが出ない
スーパーチャージャーはパワーを作り出すレスポンスが早い代わりに、高回転域では能力を発揮することができません。低回転で最大トルクを発揮する仕組みとなっているので、回転数が上がればクラッチによって強制的に動力を断ち切る仕組みになっています。
つまり、高回転時には過給機の恩恵が受けられなくなります。停車が多い街中であればスムーズな加速を行えますが、高速道路ではターボ車の方が力強い走りをすることができるのです。
■機械損失が大きい
機械損失の多さも大きなデメリットだといえるでしょう。スーパーチャージャーを動かすためにエンジンからの動力を得る分、エンジンは動力をうまく作り出せなくなってしまいます。もちろん車を動かせない程の機会損失ではないものの、長期的に考えると莫大なエネルギーをスーパーチャージャーは消費しています。
そのためエンジンからの動力を得るという特徴は、スーパーチャージャーのメリットであり、同時にデメリットであるといえるでしょう。
スーパーチャージャーは後付けできる?
後付け用スーパーチャージャーキットは、総合アフターパーツメーカーであるHKSやBLITZなどから販売されています。
スーパーチャージャーの取り付けは、コンプレッサー本体をエンジン脇に固定し、両プーリーに駆動ベルトをかけ、吸気配管をつなぐだけで動作します。ターボに比べて部品点数が少ないうえ、ターボのように排気やオイル配管に手を加える必要がないため、スーパーチャージャーの後付はターボよりも容易です。
ただし、エンジンの性能を引き出すにはターボと同じく過給圧に合わせたECUデータの変更が必要になります。
車種別キットなら、専用ブラケットや吸気配管、燃調コントローラー等がセットになっているため、追加パーツや加工なしで取付け可能です。HKSでは、バイパスバルブを設けてターボと併用する後付け用の電動スーパーチャージャーも販売しています。
スーパーチャージャーの寿命は?
スーパーチャージャーコンプレッサーは非常に頑丈であるうえ、無負荷時や高回転時は電磁クラッチで駆動力を切り離すように制御されるためコンプレッサー本体のトラブルは少ないといえるでしょう。
またターボとは違って排ガスによる熱害を直接受けないため、コンプレッサー本体の寿命はターボチャージャーコンプレッサーよりも長い傾向にあり、スーパーチャージャーではむしろ駆動ベルトやプーリー、電磁クラッチの劣化のほうが顕著に現れます。
しかし、出力を大幅に増やすスーパーチャージャーの装着はエンジンの寿命を相応に縮めます。とはいえ、過給されるのは低回転域のみであるうえ、ターボのようにオイルの熱劣化を引き起こさないため、標準的な過給圧や燃調等で使用していればターボよりもエンジンへのダメージは小さく抑えられるでしょう。
日本や外国でスーパーチャージャーは人気?
■日本ではターボチャージャーが主流
日本ではターボチャージャーが主流で、スーパーチャージャーはあまり人気がありません。理由の一つに燃費の悪さがあります。低燃費を推奨している日本で、燃費の悪いスーパーチャージャーは対照的な存在です。よって、日本車ユーザーの求めている装置ではないと考えられます。
次に、装置の大きさもネックの一つではないでしょうか。最近ではターボ付きの軽自動車も増えてきました。ターボを採用することで排気量が少ない軽自動車でも、ストレスなく加速することができます。
しかし、箱形の軽自動車はエンジンルームが極端に狭く、スーパーチャージャーを入れ込む場所がありません。それに比べターボチャージャーであれば、エキゾーストマニホールドに取り付けられるため、エンジンルームが圧迫されないのです。
燃費面、装置の大きさ、スペースの確保などいろんな条件が揃い、スーパーチャージャーは日本で普及しづらい現状となっているのです。
■外車ではツインターボを採用している
日本よりも海外の方がスーパーチャージャーの採用率は高いです。ベンツなどの有名メーカーも、スーパーチャージャーを採用しています。また、スーパーチャージャーとターボチャージャーの両方を採用した「ツインターボ(ツインチャージャー)」を搭載した車も販売されています。
2つの過給機を使用することで、どんな回転数でも最大トルクが発揮できるという仕組みです。低回転から高回転まで全ての回転数を補うことができ、性能の高い車であることが分かります。海外でスーパーチャージャーをはじめ過給機が普及しているのは、税金制度の違いもあるでしょう。
日本ではできるだけ小さな排気量で大きなパワーを生み出す仕組みが広まっています。それに対し、海外では軽自動車の区分がないことから、車の小型化にそこまでこだわりがないと考えられます。人種による体の大きさの違いから、車を大きく作らなければならないという背景もあるのではないでしょうか。
このように日本と海外ではスーパーチャージャーの使用率が違います。日本でスーパーチャージャーを採用している車は極端に少なく、ターボチャージャーが主流なのです。
スーパーチャージャーがボンネットから突き出している車も!
外車などでは、スーパーチャージャーがボンネットから突き出している車もあります。昔、流行っていたマッスルカーに多いこのカスタムですが、車の映画で有名な「ワイルドスピード」でも登場しています。
ワイルドスピードの映画を好きな方なら分かるでしょうが、ダッジ チャージャーという車がまさにそうです。もちろんノーマルのダッジ チャージャーのボンネットにはスーパーチャージャーは突き出していません。
ワイルドスピード1に登場しているダッジ チャージャーは、ボンネットからスーパーチャージャーが飛び出しており、カスタム仕様のマッスルカーそのものです。公式で発表されている車の年式は1969年となっています。この年代の車は性能が高い車両が人気で、カスタムする人もたくさんいたのではないでしょうか。
■スーパーチャージャーを後付けしているものがほとんど
ボンネットから突き出ているのは、後付けスーパーチャージャーがほとんどです。おそらくノーマルでボンネットからスーパーチャージャーが突き出た車はないでしょう。
最も多い車はアメリカ車のマッスルカー、特に1960年代に作られた高性能な車のことを指します。いろんな条件はありますが、主にV8エンジンを搭載しているため、エンジンルーム内にスーパーチャージャーを取り付ける場所がありません。そのためやむを得ず、ボンネットに穴を開け突き出た形にしているという背景があります。
ノーマルでスーパーチャージャーを採用している車は、エンジンルーム内に入れ込むように設計されているため、基本的に不自然な形にすることはありません。つまりンジンルームから突き出している仕様の車はカスタムしていることがほとんどなのです。
・アメ車以外でもスーパーチャージャーの後付けは可能?
アメ車以外でもスーパーチャージャーを後付けすることは可能です。日本のカスタムショップでもスーパーチャージャーを後付けすることができます。
ただし、日本の保安基準ではフロントガラスから視界の確保を行わなければなりません。そのため、マッスルカーのようにボンネットからはみ出したカスタムは難しいのではないかと考えられます。
■スーパーチャージャーの後付け費用は?
スーパーチャージャーの後付けカスタムは珍しいカスタムのひとつです。そのため費用はまちまちで、一概に相場を出すことは難しいと考えられます。電動式か機械式か、取り付けるスーパーチャージャーの種類や車種によって、難しさが変わってくるからです。もし今現在、取り付けを行う予定があるなら、カスタムショップを探し見積もりをお願いすることをオススメします。
機械式ならクランクシャフト周りの改造も行なわなければなりません。最低でも数十万円、場合によっては100万円単位の金額が必要になると覚悟しておきましょう。
また、スーパーチャージャーを後付けするといった珍しいカスタムの場合、対応してくれる店舗はあまりありません。カスタムはメンテナンスや修理とは全く違う技術が必要です。一般整備工場やディーラーでは対応できないため、カスタムショップへお願いするようにしましょう。
・大掛かりなカスタムはリスクも考慮しよう
どんなカスタムでも同じですが、車をノーマルからいじるということはどこかに不具合が起こる可能性が高いということです。スーパーチャージャーの場合であれば、エンジン回りのセンサー系に異常が出るでしょう。
ある程度予測される誤反応であれば、カスタムショップもセンサーの誤反応に対応した対策を行います。しかし、思いもよらない不具合が起こる可能性があるのも車をいじるデメリットの一つです。
メーカーは排気量やトルク、馬力などを計算しエンジンの耐久性を考えて車を作っています。後付けスーパーチャージャーにより、予想を超えるパワーを追加するということは、エンジンがパワーに耐え切れず壊れてしまうかもしれないということです。
また、新車であれば各パーツが新しく丈夫なので、簡単には壊れないでしょう。しかし年式が古くなればなるほど、各パーツの耐久度が下がりノーマル車に比べ寿命が縮む可能性もあるのです。
このようにカスタムを行えば、メリットだけでなくデメリットも発生します。このことを十分理解し、車をカスタムすることが大切です。
