教員によるパワハラを訴え、1年生の4割が自主退学した千葉県木更津市の木更津看護学院。千葉日報は5月21日、同校の問題を受け、第三者による「ハラスメント調査委員会」が発足していたことを報じた。在校生や元生徒への聴き取り調査を進めるという。

【画像】パワハラ発言が問題となっているX教員とY教員

 当初「パワハラの事実はない」と説明していた木更津看護学院。しかし「週刊文春」はパワハラ発言を繰り返す教員の音声を入手していた。当時の記事を再公開する。(初出:週刊文春 2022年3月31日号 年齢・肩書き等は公開時のまま)

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 教員によるパワハラで、1年生の4割が中退したと報道された千葉県木更津市の木更津看護学院。当初、学校側は県に「パワハラの事実はない」と説明していたが、教員が生徒に対して、パワハラ発言を繰り返していた疑いがあることが「週刊文春」の取材でわかった。音声を入手した。

 木更津看護学院は、医師や看護師の指示で診療補助を行う准看護師を養成する二年制の学校だ。准看護師は近年、介護施設や老人ホームでの仕事など、需要が高まっている。


1940年に創立された木更津看護学院

 今年退学した生徒の一人が語る。

「パワハラが激しいのは、女性の50代後半のX教員と40代半ばのY教員です。2人は看護師の資格を持ち、生徒を見下している。入学後のホームルームで2人は『今年はどんなにバカでも、定員割れで全員受からせました。容赦なく(進級試験で)落としますから』と宣言。実際に、難癖をつけて提出物を受け取らなかったり、シーツ交換試験で小さなしわを探して不合格にするなどし、次々と生徒を留年にしていきました」

 この生徒はストレスで次第に体調が悪くなり、精神科病院で適応障害と診断されたという。

 別の元生徒も証言する。

「Y先生の口癖は『バーカ』。X先生には『あなたみたいにボケーっとした人に看護されたら(患者が)死ぬ』『資格もないくせに』と言われました」

 昨年卒業したAさんは2020年4月20日、消毒液すら無く、密状態で授業を行う学校のコロナ対策に不安を抱き、X氏に相談をした。

「病院で働きながら通学していたので、勤務先でクラスターを起こしたら大変だと思い、学校を休みたいと電話したのですが……」

 音声があるのはその時のものだ(音声は電子版で公開)。あまりにもX氏の言葉が酷いので、Aさんが電話の途中から、咄嗟に録音したものだ。X氏に「患者と学校どっちが大事か」と問われ、Aさんが「患者さん」と答えると、X氏はこう激高した。

「ヤクザになっちゃうよ」

「患者さんにとって必要なのは、資格があるナースだよ!」

 そして「イライラするから」と言って、電話を切ろうとするX氏。Aさんは話をしようと食い下がるが、X氏はこう言い放った。

「綺麗ごとばっかり言ってっからだよ! ヤクザになっちゃうよ、これ以上言ったら」

 電話の向こうではY氏の笑う声も聞こえる。そしてX氏は「はい、じゃあね」と言って、電話を切ったのだった。

 OMM法律事務所の大塚和成弁護士が指摘する。

「先生と生徒という優越的な関係を背景にして、先生が生徒に対し、『バーカ』などの暴言や、生徒の人格を否定するような叱責をすることは、民事上の不法行為になり得ます」

 パワハラ発言の事実を確かめるべく、X氏を電話で直撃したが、「何もお話しできることが無い」の一点張りだった。

 木更津看護学院にパワハラの事実などを問い合わせると、次のように回答した。

「当方としましては、(四月下旬に設置予定の)第三者調査委員会の中で対応させていただく所存です」

 だが同校のパワハラが問題となったのは、今回が初めてではなかった。

 このほか、X氏が生徒に吐き捨てたさらなる暴言、学校がパワハラを把握していた証拠文書、学校長が生徒にしていた“口止め”(音声は電子版で公開)など、詳しくは「週刊文春 電子版」で報じている。

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2022年3月31日号)