「安心安全の五輪」を掲げてきた菅首相

 ここへきて、新たな問題が発覚した――。

 東京五輪・パラリンピックのチケット購入者とボランティアのIDやパスワードが盗まれ、インターネット上に流出していたという。7月21日、共同通信が報じた。記事によると大会組織委員会が調査しているとのこと。すでに被害が拡大しないよう対策を取っており、政府関係者は「流出は大規模ではない」と説明しているという。

 いっぽう朝日新聞は、シンガポールのセキュリティ企業「ダークトレーサー」の調査によって判明したと報道。情報は購入者やボランティアがフィッシングサイトなどに誤って入力した際に盗み取られたもので、公式サイトからサイバー攻撃などで流出したものではないと同社はみているという。また記事では、大会に関連する機密文書とみられる情報がダークウェブ上に見つかったとも伝えている。

 緊急事態宣言で国民に外出自粛などを要請するいっぽうで、多くの人がつめかける五輪の開催を強行に推し進めてきた政府。批判が噴出するなか、菅義偉首相(72)が掲げてきたのが「安心安全な五輪」という言葉だった。

 開幕まで1週間と迫った7月16日にも、菅首相は「緊急事態宣言のもとで開催する中、国民の命と健康を守るため感染対策を徹底し、安心・安全の大会を実現していく」と語っていた。

 だが、肝心の水際対策には不安の声が続出。さらに21日には東京都の新型コロナウイルスの新規感染者数が1832人に激増するなど、「安心安全」とは真逆の事態となっていた。

「無観客開催が決定したのは、開催のわずか15日前。大会組織委員会は販売済みのチケットの総セッション(時間帯)の約95%を払い戻すと発表していましたが、当選者からは『決断が遅すぎる!』と批判が殺到していました」(全国紙記者)

 チケット当選が白紙になっただけでなく、さらに混乱のなかで情報まで流出……。Twitterでは、戸惑いの声が上がっている。

《どこが安心安全なんだ?》

《チケット買った人は観られないだけでなく、情報が流出するとは。 安全安心……。 どこがやねん! 危険と不安だらけやないか!!》

 これまでも、主要関係者の辞任が相次いでいた大会組織委員会。開催4日前の19日には開会式の音楽製作を担当していた小山田圭吾氏(52)が過去の“いじめ告白”問題で辞任することになり、波紋が広がっていた。

 そこで終わりではなく、さらに問題が飛び込んできた今回の五輪。この負の連鎖はいったい、どこまで続くのだろうか。