サステナビリティを重視したアクティブ運用で「選ばれる運用会社」に=三井住友DSアセット社長兼CEO猿田隆氏に聞く
運用会社にとってESGへの取り組みは、相当時間をかけてやってきていると思います。2000年頃には「SRI」という社会的責任投資について強く意識させられる時代がありました。私は当時、信託銀行にいましたが、機関投資家としてSRIをどのように実行するかということは、ずいぶん議論をした覚えがあります。
また、水や環境問題に注目する「エコファンド」が人気化した時代もありました。そして、スチュワードシップ・コード(責任ある機関投資家の諸原則)やコーポレートガバナンス・コード(上場企業が守るべき行動規範)についても、世界金融危機(リーマンショック)を経て厳しく問われる時代になりました。
このように、時代の流れの中でE(環境)、S(社会)、G(ガバナンス)のそれぞれを強く意識した運用や経営を20年以上にわたって続けてきていますが、いずれも運用業界に定着したといえるほど根付かなかったように思います。ところが、現在の動きは過去のそれとは大きく異なります。GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が率先してESG投資を取り入れていることも大きいとは思いますが、ESG投資は運用業界としてやらないわけにはいかないという動きになっています。
かつてのブームでは、「SRI」や「環境」などの大切さは十二分にわかっていながら、加えてパフォーマンスの良し悪しが問われていました。ところが、今回の「ESG投資」は、パフォーマンス以前の問題としてサステナビリティが重要視されていて、世界中の投資家が揃ってESG投資を求めています。
私は当社に2019年10月に入ったのですが、当社に来てまず感じたのは、ガバナンスについては十二分な対策がなされ、議決権行使についても厳格に運営されているということでした。ESGのベースができているので、運用に取り入れていくことは難しくないと感じました。昨年8月に「FD・サステナビリティ原則」を制定・公表して、当社の姿勢を明らかにするとともに、現在、全ての運用商品についてESGの考え方を取り入れていっています。
――アクティブファンドに特化した運用会社として、ESGやSDGsへの取り組みが超過収益の源泉となるでしょうか?
ESGの観点を運用に取り入れることによって、プラスアルファのリターンが得られているかということは、現時点で証明された根拠があるというものではありません。ただ、パフォーマンスに対する良し悪しに関わらず、ESGの観点を運用に取り入れていかなければならないということが、昨今の動きです。このような機運になったからこそ、今度こそ、ESG投資が国内に根付くのだと思います。私どもも現在進めている運用改革をブレずに完遂していきます。
