『伊藤家の晩酌』〜第十五夜4本目/ワインに負けない米の旨みを感じる「久礼 純米あらばしり生酒」〜

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弱冠23歳で唎酒師の資格を持つ、日本酒大好き娘・伊藤ひいなと、酒を愛する呑んべえにして数多くの雑誌、広告で活躍するカメラマンの父・伊藤徹也による、“伊藤家の晩酌”に潜入! 酒好きながら日本酒経験はゼロに等しいというお父さんへ、日本酒愛にあふれる娘が選ぶおすすめ日本酒とは? 第十五夜の4本目は、米のふくよかな旨みが存分に味わえる高知のお酒から。(photo:Tetsuya Ito illustration:Miki Ito edit&text:Kayo Yabushita)

第十五夜の4本目は、高知のお酒のイメージを覆す濃厚さ「久礼 純米あらばしり生酒」。

高知県にある最古の酒蔵「西岡酒造店」の米のふくよかな旨みと、あらばしり特有のフレッシュさも感じられる純米酒。「久礼 純米あらばしり生酒」720ml 1375円(税込・ひいな購入時価格)/有限会社西岡酒造店

娘・ひいな(以下、ひいな)「最後は高知です!『久礼(くれ)』っていうお酒です!」父・徹也(以下、テツヤ)「いよいよ、高知まで来たね!」ひいな「高知県高岡郡中土佐町の久礼(くれ)っていうところにあるんだって。最寄駅はJR土佐久礼駅だそうです」テツヤ「あれ? “くれ”って高知だっけ?」ひいな「呉は、広島県だね」テツヤ「そうか。“くれ”違い」

「久礼」と書いて「くれ」と読みます。

ひいな「前に『土佐しらぎく』を紹介したけど、ほかにも『酔鯨』とか『南』とか『文佳人』とか高知のお酒っていろいろあるんだけど、すっきり系のお酒が割と多いイメージがあって、それを覆すのが『久礼』なの」テツヤ「ということは、すっきり系じゃないってことなのかな?」ひいな「まずは飲んでみてもらって、かな」

徳利からおちょこへ。やっぱり日本酒はこうでないと!

テツヤ「久々じゃない? 徳利から注ぐの。風情がいいよね」ひいな「一味違う気がするよね」テツヤ「やっぱり日本酒もさ、空気に触れると味が変わるからでしょ? デキャンタと一緒だよね」ひいな「うん。ボトルは冷蔵庫でしっかり冷やしておいてね」テツヤ「久しぶりだね、差しつ差されつって感じ」ひいな「ね。夏酒はグラスが多かったから」テツヤ「乾杯しましょうか!」テツヤ&ひいな「乾杯!」

いただきます!一口飲むと、その香りにうっとり!お酒をしっかり味わいつつ、おつまみを想像中。

テツヤ「わ、これはなんとも華やか! かつ、コクがある! 純米大吟醸?」ひいな「純米生酒って書いてあるから純米酒だね」テツヤ「しみじみ、おいしいねぇ。旨みがすごい」ひいな「今までの高知のお酒のイメージを覆すでしょ?」テツヤ「これは、冷蔵庫にあるイカの塩辛と合わせたい」ひいな「ちょっと! 私の考えたおつまみがあるんだけど」テツヤ「ごめん、ごめん」ひいな「久礼っていうところは、土佐の一本釣りの町として有名なんだって」テツヤ「かつおか!」ひいな「だから、かつおとぴったりなんだと思う」テツヤ「わらで焼く本場のやつな」ひいな「いいね、いいね。でも今回はあえて、意外なものを紹介したくて」テツヤ「ひいなのことだから、驚く組み合わせなんだろうね。かつおじゃないなら、何を合わせるのかな〜」ひいな「お楽しみに!」

「久礼 純米あらばしり生酒」に合わせるのは、肉汁たっぷりの「ハンバーグ」!

大きめに切った玉ねぎがポイント。ジュワっとあふれ出す肉汁が!

ひいな「なんと、ハンバーグです!」テツヤ「え、この酒に?」ひいな「そう、肉汁を合わせたくて」テツヤ「なんと美しいかたち!ハンバーグの見本みたいなかたちだね。赤ワインじゃなくて、この日本酒っていうのがね、たまんないね」ひいな「たまねぎは粗く切ってあるよ。コショウを振って召し上がれ」テツヤ「ハンバーグってデミグラスのイメージだけど」ひいな「今回はシンプルにソースなしで」テツヤ「わわわ、なんでこんなに肉汁出てくるの?」ひいな「これはね、料理家の広沢京子さんの『嫁入りメシ』のレシピで作ってみたよ」

噛むと口の中にも肉汁があふれる〜!

テツヤ「うまい! しっかり肉の味がする!」ひいな「広沢さんのはデミグラスソースなんだけど、塩を強めにして、最後にコショウっていうシンプルな味付けににしてみたよ」テツヤ「肉と日本酒とも合うねぇ。ワインっぽくも感じるし、塩ハンバーグがうまいわ」ひいな「この純米の濃いあらばしりには、肉汁メインのハンバーグを合わせることできれいにマッチングするかなと思って。大人の肉料理って感じがするよね」テツヤ「いや、相当うまいよ。このお酒を〈マルディグラ〉の和知さんとこ持ってこ! 肉と日本酒の組み合わせをもっと広めたい!」ひいな「よかった」テツヤ「この酒、まあまあ濃いよね」ひいな「その濃さが、お肉に合うんじゃないかな」テツヤ「うん、ぜんぜん負けてない。ハンバーグの肉汁と旨みにぴったり」ひいな「かつおもまぐろも赤身だけど、肉も合うってことだね」テツヤ「俺もさ、最近、麻婆豆腐作りにハマって、すごい上達したんだよ。ステイホーム期間中、いろんな人に配達して食べてもらったりしたんだけど。濃厚さでいえば、このお酒にも合うんじゃない?」ひいな「うん、合うと思う。ひき肉と麻婆の辛さにも負けないお酒だと思うよ」テツヤ「よし、今度合わせてみよう!」

バラエティ豊かな日本酒を飲みながらの四国めぐり。いよいよ完走!

ひいな「有楽町にある東京交通会館の〈むらからまちから館〉でこのお酒を見つけたんだけどね、日本全国の日本酒が200本くらいそろっててすごく楽しかった! しかも、この『久礼』のあらばしりが通年買えるらしくて」テツヤ「へぇ。日本酒の流通って前より増えてるのかな?」ひいな「前よりはいろいろな銘柄を見るようになったよね。アンテナショップに行けば地元のお酒がたくさんそろってるしね。前より手に入りやすくなってるかも」テツヤ「そりゃ、いいことだ」ひいな「この西岡酒造店はね、高知県最古の蔵って言われてて、創業が1781年だって!」テツヤ「え、いま何年だっけ?」ひいな「2020年(笑)。約240年くらい前になるなんだけど、フランス革命が起こるよりも前にはじまったってすごいよね」テツヤ「まじか! そう考えるとすごいな」ひいな「しかも、高知といえば坂本龍馬だけど、龍馬が生まれたのは1836年なの」テツヤ「龍馬が生まれるよりもずっと前に、この蔵が生まれたってことか。すごい歴史があるんだね」ひいな「高知のお酒っていい銘柄がたくさんあるけど、このお酒はこれからも推していきたいな」テツヤ「今回は、日本酒で四国めぐり、楽しかったね! お酒飲みながら最高だったな。すごく旅してる気分になれた」ひいな「またやろう! いつかは現地に行って飲みたいね」テツヤ「ね。早く旅したいね」

次回は一週お休みで8月23日(日)更新

【ひいなのつぶやき】高知県のお酒、そして四国のお酒、素晴らしいお酒がたくさんあります!ひいなインスタグラムでも日本酒情報を発信中