ジムニーをゲレンデヴァーゲン(メルセデスベンツ)風にカスタムした「little G.」

写真拡大 (全7枚)


ジムニーをランドローバーのディフェンダー風にカスタムした「little D.」

2018年7月に発売された4代目の新型ジムニー(スズキ)。最近の車のデザインとしては、珍しいカクカクのフォルムと、軽自動車なのに本格的なオフロード走行性能がウケて、発売当初から大人気だ。注文が殺到し生産ラインを増設したが、現在でも、半年前後の納車待ちだとか。

ただでさえワクワクさせる車なのだが、その気持ちをさらに増幅させるドレスアップパーツが、今年の1月に、日本が誇る世界最大のカスタムカーイベント・東京オートサロンにてさまざまなカスタムカーショップから発表され、注目を集めている。

軽自動車のジムニーを憧れの大型車のオマージュとしてカスタムしているものが目立ち、特にメルセデスベンツのGクラスをモチーフにしたカスタマイズキットが数多く展示されていた。

そのほか、スズキなのにトヨタの四駆のランドクルーザー風だったり、往年の名車ランドローバーのディフェンダー風、ピックアップトラックになったもの、女子ウケするようなかわいいカラーリングのもの、走りを強化したストリート使用のものまであった。

そこで、今回はメルセデスベンツのAMG G63とランドローバー・ディフェンダーをモチーフとして、完成度の高いカスタムキットを送り出した株式会社ダムドの代表取締役・面高翔五(おもだか・しょうご)さんにいろいろお伺いしてみた!


ドレスアップパーツメーカーのダムドの代表取締役・面高翔五さん

――ダムドって、そもそもどんなメーカーなんですか?

面高 車のエアロパーツやドレスアップパーツを作っています。もともとはFRP工場で、その品質等には定評がありました。94年にワゴンR(スズキ)をシボレーのアストロ風にカスタムするエアロパーツをつくり、話題になりました。

そして00年には、ハリウッドの人気カーアクション映画「ワイルド・スピードX2」で主人公のブライアン・オコナーが乗るライム・ゴールドのランサーエボリューションVIIのボディキットを製作しています。


アストロ風のワゴンR


「ワイルド・スピードX2」に登場したランサーエボリューションVII

――今回のゲレンデとディフェンダーのオマージュカスタムの反響はどうですか?

面高 反響は大きかったです。4代目・新型ジムニーの発表をうけて、こんなカスタムパーツを作りますとウェブでCGを発表したところ、ニュースレター配信の事前登録に3000件以上の登録がありました。

7月からパーツの発売を始めたのですが、納車待ちの方が多い中、約100セットの初回ロット分はすぐに完売しました。男性からはかっこいい、女性からはかわいいと好感触です。

――お値段は?

面高 ディフェンダーが、ホイールとタイヤも入れるて70〜80万円。ゲレンデが50〜60万円程です。

――見た目のゴージャス感から考えると安いですね。

面高 確かに割安ですね。キットはABS樹脂(プラスチック)で出来ていまして、ボトルオンと両面テープで、早くて1日程度あれば完成するようになっています。取り付けは、オートバックス、イエローハットなどのカー用品店や、ダムドが提携しているご近所にある板金店で可能です。

――どんな方が購入されているんですか?

面高 いろんな世代の方々がいらっしゃいますが、比較的40〜50代のお客さまが多いです。ホンモノのゲレンデを所有しているのに、その隣にミニバージョンを置きたいと、奥さん、娘さん用に購入された方とか、ディフェンダーを2台持っているご夫婦が、本物は大きすぎるので、街乗り用にセカンドカーとして欲しいとか。そういったお客様もいらっしゃいましたね(笑)。

――なぜジムニーのドレスアップパーツを作ろうと思ったんですか?

面高 新型ジムニーは、デザイン的な構成要素がとてもフラットですし、ゲレンデを模しているようなところもあったので、オマージュカスタム向きでしたね。あと、今の車は流線型でフューチャーリスティック。それはそれでカッコいいんですけど、私は昔の角ばった車に憧れがあります。

同世代の30代前半にもそういう方が多いのですが、「昔の車って、魅力的だけど維持費が大変で、すぐ壊れる」と気をもみますよね。そんなときに新型ジムニーのスクープ写真が出て、現行車なのにヘッドライトが丸目で、角ばったフォルムでとってもネオクラッシックなデザインだったんです。もうこれしかない!と思いました。

――どんなやり方で作ったんですか?

面高 今回は現車を購入し、3Dスキャンして取ったデータをもとに、3Dモデリングにて製作しました。

――製作において難しかった点はありますか?

面高 車の保安基準を守りながらデザインするのが大変でしたね。例えば、前後(全長)で30mmオーバーしてはだめだとか、角はとがりすぎてはいけないとか、その制約の中で光の当たり具合とか、反射とかを考慮しながら、パーツを大きく見せたりしました。

またオマージュカスタムといっても、そのまんまの形を落とし込むわけではありません。コストはかかるのですが、ライトとかウィンカーをオリジナルで作り、そのサイズや設置場所を微調整し、ジムニーが持っているポテンシャルは崩さないようにしながら、本物に寄せていきました。


オリジナルのウィンカー

――こだわったところは?

面高 質感にはこだわりましたね。フロントグリルにメッキ部分があるのですが、通常、色で塗り分けるのですが、それでは質感が出ないので、メッキパーツを作りました。


塗装ではなく、メッキパーツを製作

――ちなみに次回、ドレスアップパーツをつくってみたい車はなんですか?

面高 HONDAのN−VANやN−WGNですね。若い人も買いやすい価格ですし、角ばったスタイリングですし。

――ユーザーさんには、どんな風にオマージュカスタム車を楽しんで欲しいですか?

面高 この車でとにかく外に出て、いっぱい遊んで欲しいです!そして好きな場所に行って、その風景やシーンにハマったときに、イケてる自分に酔いしれてもらいたいですね(笑)。

そう感じてもらえる車を作ったつもりですし、そういう体験をして欲しいです。カスタマイズは趣味嗜好品で、決して生きて行く上で必要なものではありませんが、この車を通じてユーザーさんの人生が、心がちょっとでも豊かになるお手伝いが出来ればうれしいです。

取材・文/週プレNEWS編集部 撮影/松井秀樹