クルマの改造にも安全技術の波? トヨタ「ハリアー」に見るその傾向とは(写真115枚)
クルマをカスタムするためのパーツは、純正か否かを問わず各社から多様に発売されていますが、昨今の先進安全技術の普及により様相が変わってきているといいます。トヨタ「ハリアー」ではどのような傾向が見られるのでしょうか。
クルマのカスタマイズ、市場の嗜好は相変わらず?
自分好みのクルマに仕上げるカスタマイズは、昔からクルマ好きの楽しみのひとつ。新車カタログと共に豊富なアイテムが並ぶメーカー純正オプションカタログを見て悩むのは、新車購入の醍醐味のひとつともいえます。

新型車発売と共に純正オプションで用意されるエアロパーツ。トヨタ「ハリアー」でも複数のタイプを設定する(モデリスタVer.1エアロキット装着車)(大音安弘撮影)。
一般的に、新車購入費総額の10%ほどのオプションを装着するといいますから、新車の場合、20〜40万円ほどの付属品をえらんでいることになります。純正オプションパーツは、新車ディーラーで納車前に装着してもらえ、保証が市販品よりも充実していることも人気のひとつですが、新車購入時ならローンにオプション品も組み込めるため、よりハードルが下がるという点もあるようです。

ハリアーの場合、前後スポイラーとサイドステップ、足元のエアロパーツを中心に構成される(モデリスタVer.2エアロキット装着車)(大音安弘撮影)。
昨今の国産車の場合、ナビゲーションシステムやオーディオ機能は、オプションとなることが多いので、その費用が中心となりますが、同時に他車との差別化を図るために、エアロパーツなど外観のオプションパーツを選ぶユーザーも多く、人気アイテムのひとつとなっています。
今年6月にマイナーチェンジを受けたトヨタ「ハリアー」にも内外装に多彩な純正オプションが用意されており、エアロパーツだけでも、トヨタオリジナル、モデリスタ、TRDと3ブランドが用意される充実ぶり。それぞれ異なる個性が与えられていますが、クロスオーバーSUVらしいタフさを強調しつつも、ワイド&ロースタイル、つまり車幅の広がりと低重心を演出したスポーティなものに仕上げられています。

標準車のデザイン性が向上した昨今、エアロパーツデザインも素材の良さを活かしたものが多くなった(TRDエアロパーツVer.1装着車)(大音安弘撮影)。
標準車にはないシルバー加飾付きのエアロパーツを追加することで存在感を高める(TRDエアロパーツVer.2装着車)(大音安弘撮影)。
標準バンパーにボリューム感のあるスポイラーを装着することでより低重心感を演出(モデリスタVer.2エアロキット装着車)(大音安弘撮影)。
その迫力からクロスオーバーSUVとはいえ当然車高を抑えるためのローダウンサスを装着しているものと思いましたが、サスペンションに手を加えておらず、車高は標準車と変わらないそう。つまり、エアロパーツのデザインを工夫することで、ワイド&ローのスタイルを実現しているのです。
実際にハリアーのエアロパーツ装着車を良く見てみると、標準車よりボリューム感が増しているものの、バンパーは標準仕様のままで、従来のようにそっくりバンパーごと交換して全体的にイメージを変えるものはなく、スポイラーやサイドステップなどパーツを足し、アクセントとして取り入れているものが基本であることに気が付きました。
カスタムパーツの変化の波は、進む安全技術の影響か?
その背景には、メーカー独自のアイコンを取り入れた新デザインを強調する狙いや変更箇所を最小にすることで価格を抑える、標準仕様の空力特性の向上などプロダクト的な理由もありますが、それ以上に影響を与えているのが、先進の安全運転支援機能の存在なのだそうです。

テールゲートの左右に小型スポイラーを追加しオリジナルデザインにメリハリを。小さな部品だが、印象はかなり変わる(TRDエアロパーツVer.1装着車)(大音安弘撮影)。
ACCや衝突被害軽減ブレーキなどに代表される先進安全運転支援機能装着車には、様々なレーダーやカメラ、もしくはその両方が装着されています。これらは対象物との距離を画像処理や発信した電波などの反射で計測をするため、正常なデータを得るためには、設計上決められた装着位置をキープする必要があるのです。このため、車高を変えるサスペンションパーツは、純正オプションとして用意されていないもの出てきたようです。
もちろん、エアサスペンション装着車など開発時に、車高の変化を盛り込んでいるものはこの限りではありませんが、もしすべての条件下でカバーをしようとした場合、新車開発同様のテストを行わなければならなくなるため、オプションアイテムとしてそこまでカバーするのは厳しいのが現状といえます。

純正同サイズのTRD製18インチを装着。標準車のホイールの大径化により、カスタマイズもインチアップがマストともいえなくなりつつある(大音安弘撮影)。
また静粛性や燃費向上など標準車も空力特性をかなり重視したデザインが採用され、さらに大径アルミホイールと低扁平タイヤの標準化など総合的に標準車のスタイルがスポーティになったことで、以前よりも全体的な雰囲気を変えることよりもスタイルの魅力をより引き出すアクセントとしてユーザーが必要なものだけを選び装着しやすいようにもなったようです。
見た目の嗜好は変わらずとも、その中身は大違い
そこで標準仕様の良さを引き出しながら、オプションパーツを部分的に交換もしくは装着することでボディのボリューム感を演出し、標準車より視覚的に車高が低く見えるようにデザインに工夫を凝らしているのです。これなら、先進安全運転支援機能への影響の心配もありません。

トータルコーディネートされるエアロパッケージ。単品装着も可能だが、空力特性はセットで装着した方が効果的(モデリスタVer.1エアロキット装着車)(大音安弘撮影)。
Hybrid仕様でも力強いデザインを演出し、スポーティなサウンドを奏でるマフラー。今も昔もカスタマイズの定番(TRDハイレスポンスマフラーVer.S装着車)(大音安弘撮影)。
もちろん、これらのエアロパーツは単に見た目を良くするものだけではなく、より空力特性の高めるように設計されており、フロント、サイド、リヤがパッケージとなっているものは、揃えて装着した方がより空力特性や走行安定性の向上などより高い効果を得られるそうです。

撮影時には「ハリアー」のほか、TRD仕様「アクア」、トムス仕様「プリウス」「C-HR」も。写真は「アクア」TRDエアロパーツ装着車(大音安弘撮影)。
時代に合わせて、カスタマイズも変化していくもの。ただその背景には、機能の向上による制約が生まれている現実があります。今後、クルマやパーツそのものの進化により様々な課題をクリアしていくことも可能かもしれませんが、愛車の機能や装着するパーツを正しく理解せずに、カスタマイズすることは、見た目ではわからない思わぬ影響を生む可能性があることを忘れてはいけません。
パーツ選びはもちろんですが、正しい技術や情報を持つ正規ディーラーやプロショップに相談することも、カスタマイズを愉しむうえで、より重要となっていくことでしょう。
